「オルカン一択」で本当にいいのか。私がインデックス投資に少しだけ違和感を持つ理由

*この記事は8/23にX記事に投稿したものをリライトしたものです。

日経新聞の「オルカン一択でいいのか」という記事を読みました。

結論からいえば、私は「オルカンだけ買っておけば、あとは何も考えなくていい」という風潮には少し違和感があります。

もちろん、オルカンそのものを否定したいわけではありません。

私自身、NISAのつみたて投資枠ではS&P 500に連動する投資信託を保有しています。つみたて投資枠では個別株を買えないので、半ばやむなくではありますが(笑)。

一方、それ以外の資産については、NISAの成長投資枠も含め、米国株を中心とした外国株の個別株でポートフォリオを組んでいます。

ETFも投資信託もほとんど持たず、何十銘柄もの個別株を保有する投資家は、今となっては絶滅危惧種かもしれません。

それでも、オルカンは非常に優れた商品だと思っています。

世界中の株式に低コストで分散投資できますし、ジェレミー・シーゲルの『株式投資の未来』などで示されているように、長期で見れば株式はインフレを上回るリターンを生み出してきました。

私自身がポートフォリオのほぼ100%を株式で構成しているのも、長期的には株式市場が成長していくと考えているからです。

では、何に違和感があるのか。

目次

オルカンも結局は「株式」である

「全世界」という名前から、オルカン一本であらゆるリスクに対応できるような印象を持っている人もいるかもしれません。

しかし、オルカンも中身は株式です。

世界中の企業に分散しているとはいえ、世界的な金融危機が起これば大きく値下がりする可能性があります。

最近は株価が下落しても比較的短期間で戻る局面が多かったこともあり、

「オルカンを積み立てておけば資産形成は終了」

という雰囲気が以前より強くなったように感じています。

でも、株式市場が今後数年間にわたって横ばいになる可能性もありますし、大きな下落から回復まで長い時間を要する可能性もあります。

大切なのは、「オルカンだから安全」と考えることではなく、「自分は株式がこれだけ下落しても保有を続けられるのか」を理解しておくことではないでしょうか。

その意味では、日経の記事が株式だけでなく債券なども含めた「資産クラスの分散」を改めて取り上げていることには賛成です。



「分散している」=「偏りがない」ではない

もう一つ気になるのが、「たくさんの銘柄を持っていること」と「偏りがないこと」が同じように扱われていることです。

例えばS&P 500では、2026年7月末時点で情報技術セクターだけで約37%を占めています。

さらにAlphabet(Google)やMeta Platforms、Amazonなど、GICS上では情報技術以外に分類される巨大テック企業もあります。

そのため実際には、米国の巨大テクノロジー企業の業績や株価がS&P 500全体に与える影響は、単純な「情報技術37%」という数字以上に大きいと私は考えています。

もちろん、それ自体が悪いわけではありません。

巨大テック企業は実際に莫大な利益を生み出しており、その結果として時価総額が大きくなっているからです。

ただ、「500社に分散しているから偏っていない」とは限りません。

株価上昇には「利益成長」と「PER上昇」がある

もう一つ意識しているのがバリュエーションです。

株価が上昇する理由は、企業の利益が増えることだけではありません。

同じ利益に対して投資家がより高い価格を支払うようになり、PERが上昇することでも株価は上がります。

例えばEPSが変わらない企業のPERが20倍から30倍になれば、株価は50%上昇します。

逆に、その後PERが30倍から20倍に戻れば、企業利益がまったく減っていなくても株価は約3分の1下落します。

もちろん、「PERが高いから株価は下がる」というほど投資は単純ではありません。

PER30倍の企業が40倍、50倍まで買われることもあります。

そのため私は、PERだけを理由に売買のタイミングを判断することには否定的です。

ただし、利益成長以上に株価が上昇し、PERの拡大がリターンを押し上げている局面では、「この状態が永遠に続くわけではない」ということは頭の片隅に置いています。

時価総額加重では、値上がりした企業の存在感が大きくなる

S&P 500やオルカンが採用する時価総額加重型の指数には、もう一つ特徴があります。

株価が上昇し、時価総額が大きくなった企業ほど指数に占めるウェイトも大きくなります。

ここは誤解されやすいところですが、インデックスファンドが「PERの高い株だから買おう」と判断しているわけではありません。

時価総額に応じて機械的にウェイトが決まります。

ただし結果として、

株価が大きく上昇する
↓
時価総額が大きくなる
↓
指数の中でのウェイトが上昇する
↓
指数に連動する資金の中でも大きな存在になる

ということは起こります。

これをもって「インデックス投資がバブルを生んでいる」とまで言うのは、さすがに言い過ぎでしょう。

むしろ時価総額加重には、成長して時価総額を拡大した企業を自然に大きく保有できるという非常に合理的なメリットがあります。

NVIDIAを早い段階で小さくしか保有していなかったとしても、株価上昇とともに指数内のウェイトが自然に高まっていく。

これは時価総額加重の大きな強みです。

一方で、世界中に分散していることと、割高な資産を保有していないことは別の話です。



Appleは超優良企業。でも約37倍のPERをどう見るか

例えばAppleです。

NVIDIAなどと並ぶ世界最大級の企業で、誰もが認める超優良企業でしょう。

私自身もかなりのAppleユーザーです。一方、現在のPERは約37倍まで上昇しています。

かつてAppleは「スマートフォンなどのハードウェアを販売する会社」と評価され、もっと低いPERで取引されていました。

その後、App Storeをはじめとしたサービス事業が成長し、継続的に収益を生み出せる企業として評価されるようになったことで、バリュエーションも切り上がってきました。

さらに、コスト上昇を消費者に価格転嫁できるブランド力の強さも評価されているのでしょう。

それでも、約37倍というPERを見ると、私は少し不安になります。

高いPERそのものが問題なのではありません。

問題になるとすれば、市場が期待しているほど利益が伸びなかったときです。

利益成長の鈍化とPERの低下が同時に起これば、優良企業であっても株価は大きく調整する可能性があります。

だから私は、インデックスとは違うポートフォリオを持つ

特に現在のように巨大テック企業の存在感が大きい局面では、

「500社に分散している」

「世界中に分散している」

という銘柄数や地域だけでなく、実際にはどの企業、どの業種、どのバリュエーションに自分のお金が集中しているのかを見ることも重要だと思っています。

だから私は、株式をほぼ100%保有しながらも、ヘルスケアや生活必需品などのディフェンシブ株を多めにしています。

比較的PERの低いバリュー株にも資金を分散しています。

最近は情報技術株の比率も少し増やしていますが、何でも買っているわけではありません。

MicrosoftやAccentureのように、株価が調整し、市場の評価が以前より低くなった局面で買い増すことを意識しています。

その結果、私のポートフォリオはS&P 500やオルカンとはかなり違った構成になっています。

でも、それで構わないと思っています。

将来、巨大テック株がさらに上昇し、S&P 500が私のポートフォリオを大きく上回ることも十分にあるでしょう。

私は、その上昇をすべて取りにいくことよりも、自分が想定していなかったことが起きたときにも、ポートフォリオ全体が壊れないことを重視しています。

将来何が起こるのかは誰にも分かりません。

だからこそ、一つのシナリオに賭けすぎないことのほうが、私にとっては大切です。

それでも、私は債券を持とうとは思わない

一方、「株式だけでは危険だから債券を持ったほうがいい」という考えについては、私は必ずしもそう思っていません。

もちろん、値動きを小さくしたい人や、数年以内に使う予定のお金を運用する人にとって、債券を組み合わせる意味は大きいと思います。

しかし私は、長期的には株式市場が成長していくことを前提にしています。

そして自分自身のリスク許容度を考えた結果、資産のほとんどを株式で運用しています。

重要なのは、「債券を持つこと」そのものではなく、自分の目的とリスク許容度に合った資産配分になっているかではないでしょうか。

私の場合は、異なる資産クラスに分散するのではなく、株式という資産クラスの中で、業種、銘柄、地域、バリュエーションを分散させるという考え方を取っています。



「これだけ円安になったから、次は円高」とは限らない

日経の記事でもう一つ気になったのが、為替についての議論です。

「これまで円安が進みすぎたから、今後は円高になる可能性がある」という考えについて、私はかなり慎重に見ています。

むしろ個人的には、短期的に円高になる局面があったとしても、中長期的にはさらに円安が進む可能性も十分にあると考えています。

ただし、「これから一直線に円安になる」と予想しているわけではありません。

為替には金利、物価、経済成長、金融政策、財政、投資家心理など、さまざまな要因が絡みます。

1年後のドル円がいくらになっているかを正確に予測することなど、私にはできません。

長期的には円安になると考えていたとしても、その途中で1ドル120円、130円まで円高になることだって十分にあり得ます。

だから、「1ドル100円から150円になった。上がりすぎたから次は125円に戻るはずだ」という考えだけで外国株を減らすことには賛成できません。

150円から170円、180円へ進む可能性だってあります。

為替には、「大きく動いたから、そろそろ反対方向に戻らなければならない」というルールはありません。

私は中長期的な円安の可能性を意識して外国株を多く保有しています。

しかし、「もっと円安になるはずだから外国株を一気に増やそう」とも考えません。

それを始めれば、結局は為替のタイミングを当てにいく投資になってしまうからです。

自分なりの長期的な見通しを持つことと、その見通しが必ず当たることを前提にポートフォリオを組むことは別です。

株価についても為替についても、私は予想を完全に放棄しているわけではありません。

ただ、予想を当てることに依存するより、予想が外れても投資を続けられるようにしておく。

こちらのほうが大切だと思っています。

大切なのは「何を買うか」より「なぜ持っているのか」

そう考えると、今回の記事を読んで改めて思ったのは、「オルカン一択が正しいか、間違っているか」という議論そのものが、本質ではないということです。

オルカン一本で投資する。

S&P 500一本で投資する。

個別株を何十銘柄も保有する。

株式と債券を組み合わせる。

どの方法にもメリットとデメリットがあります。

そして投資に、すべての人に共通する唯一の正解があるわけではありません。

重要なのは、

自分は何のために投資しているのか。

どの程度のリスクなら受け入れられるのか。

そして相場が思った方向に動かなかったときにも、その投資を続けられるのか。

ということです。

「オルカンを買っているから世界中に分散できている。だから安心」

そこで思考を止めるのではなく、自分のお金が実際には何に投資されているのかを理解する。

オルカン人気がここまで高まった今だからこそ、一度立ち止まって考えてみてもいいのではないでしょうか。

私はこれからも、たぶんオルカン一本にはしません。

何十銘柄もの決算を追いながら、業種やバリュエーションを考え、自分なりのポートフォリオを作っていくつもりです。

効率だけを考えれば、ずいぶん面倒な投資方法なのかもしれません。

それでも、「なぜこの株を持っているのか」を自分の言葉で説明できるポートフォリオでありたい。

それが、私の投資スタイルです。

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