【VIS】~隠れた優等生?資本財セクターETF!〜

【更新情報】(2020/1/2)

配当金データをはじめ、各種データ更新♪

ゆーたんです♪

資本財セクターETFであるVIS(Vanguard Industrials ETF、バンガード ・米国資本財・サービス・セクターETF)について、分析します♪

目次

VISってどんなETF?

アメリカ株式市場のうち、資本財セクターの銘柄を組み入れたETFです。提供しているのは、米Vanguard(バンガード)社になります。

資本財セクターは、飛行機や建設機械、各種設備など、企業向けの財やサービスを提供している企業を集めたセクターです。鉄道会社はどちらかというと消費者向けにサービスを提供している企業ですが💦

なお、ジェレミー・シーゲル著『株式投資の未来』によれば、1957~2003年の資本財セクターのトータルリターンは10.22%となっており、S&P 500の10.85%を下回り、全セクター中で7番目となっています。


(Featured image by:Shutterstock)

VISの基本情報

銘柄数357
ファンド総資産額37億ドル(約4,000億円)
実績PER21.6倍
配当金(分配金)(直近12か月実績)2.5925ドル
配当利回り(直近12か月実績)1.68%
経費率0.10%
2019年11月末、配当利回りは12月末現在(出典:Vanguard HPより作成)

VIS の構成上位銘柄

1Boeing Co.(ボーイング)航空防衛・宇宙6.2%
2Honeywell International Inc.(ハネウェル・インターナショナル)コングロマリット4.1%
3Union Pacific Corp.(ユニオン・パシフィック)鉄道3.9%
4United Technologies Corp.(ユナイテッド・テクノロジーズ)航空防衛・宇宙3.9%
5Lockheed Martin Corp.(ロッキード・マーティン)航空防衛・宇宙3.1%
6General Electric Co.(ゼネラル・エレクトリック)コングロマリット3.1%
73M Co.(スリーエム)コングロマリット3.1%
8United Parcel Service Inc.(ユナイテッド・パーセル・サービス)航空貨物・物流サービス2.6%
9Caterpillar Inc.(キャタピラー)建設機械・大型トラック2.6%
10Raytheon Co.(レイセオン)航空防衛・宇宙1.9%
2019年11月末現在。太字はダウ平均工業株30種採用企業(出典:Vanguard HPより作成

組み入れ割合1位のボーイングは、日本でも知っている人が多いと思われますが、中にはあまり知名度が高くないであろう企業も含まれています。

組み入れ割合7位のスリーエムは、私も保有しています。銘柄分析記事を書いてますので、よろしければご参照下さい♪

航空防衛・宇宙グループ

組み入れ割合1位のボーイングは、民間航空機や貨物機などの製造で有名な会社です。民間旅客機はフランスのエアバスと市場シェアをほぼ分けあっていて、貨物機は市場シェアの大半を占有しています。

また、宇宙船のほか、防衛・軍用機の製造なども手がけており、軍隊の活動に必要な物資を提供する軍需企業としての側面もあります。2009年からの10年間で株価は10倍テンバガー)となりましたが、18年以降は300〜440ドルでのレンジが続いています。配当利回りは2%台前半ですが、1988年以降減配なしというインカム・ゲインの面でも魅力的な銘柄です。

組み入れ割合4位のユナイテッド・テクノロジーズは、航空機は航空機でも、エンジンや飛行制御、着陸など内部のシステムを提供する企業です。事業内容は幅広く、他にもエレベーターやエスカレーター、空調システム、冷凍・冷蔵車の製造なども手がけています。こちらも配当利回りは2%台前半ですが、1994年以降連続増配となっており、2018年に配当貴族(連続増配25年以上)入りを果たしています。

組み入れ割合5位のロッキード・マーティンは、アメリカ政府向けに軍用機や防衛システムなどを提供する企業で、世界一の軍需企業です。軍需企業というのは、どうしても社会悪とみなされ、機関投資家からは敬遠されがちなイメージもあるのですが、株価は最高値を更新するなど、好調を維持しています。

組み入れ割合10位のレイセオンは、収益約271億ドル(2018年)の軍需企業です。2020年にユナイテッド・テクノロジーズとの合併を予定しています。

コングロマリット

組み入れ割合2位のハネウェル・インターナショナルは、飛行機内部のシステム関係や、防犯などのセキュリティシステム、ヘルメットなどの個人用の保護器具などを扱う、収益約405億ドル(2018年)の企業です。2008年までダウ平均工業株30種に採用されていました。

組み入れ割合6位のゼネラル・エレクトリックは、収益約1216億ドル(日本円で約13.3兆円、1ドル=109円換算、2018年)を誇る企業です。事業内容は、電力事業、飛行機や軍用機のエンジン、工作機械、医療機器など多岐にわたります。かつての時価総額1位企業でしたが、近年は赤字に転落するなど業績不振で、株価も低迷しています。配当も年0.04ドル(四半期0.01ドル)と、ほぼ無配といってもよい水準に転落してしまいました。

その他

組み入れ割合3位のユニオン・パシフィックはアメリカ中西部で事業を展開する、アメリカ最大級の鉄道会社です。

組み入れ割合8位のユナイテッド・パーセル・サービスは、宅配サービスや貨物の輸送などを国際的に展開する会社です。株価はここ5年レンジ相場(90~130ドル)が続いています。リーマン・ショック時(2008・09年)の配当据え置きを除けば、1999年の上場以来、増配を続けています。

組み入れ割合9位のキャタピラーは、建設機械を主力製品とする会社です。その収益は約547億ドル(日本円で約5.96兆円、1ドル=109円換算、2018年)と建設機械業界では世界1位で、世界2位のコマツ(約2.73兆円、2018年度)を大きく引き離しています。1994年以降連続増配となっており、2018年に配当貴族(連続増配25年以上)入りを果たしています。



VIS のサブグループ比率(上位8つ)

1航空防衛・宇宙24.2%
2コングロマリット11.8%
3産業機械11.1%
4鉄道7.9%
5建設機械・大型トラック5.9%
6電気部品・設備5.6%
7航空貨物・物流サービス5.1%
8建築製品4.1%
2019年11月末現在(出典:Vanguard HPより作成)

VIS の配当金(分配金)推移

VIS_Distribution_2004-19

2014年まで年1回の配当でしたが、2016年から年4回の配当となりました。リーマン・ショック後の2009年には35.6%の減配となっていますが、その後は多少の凹凸がありつつも、徐々に増えてきています。年平均増配率(2005~19)は+13.3%です。

配当利回りは1.68%(2019年末時点)とS&P 500の平均(1.84%)をやや下回ります。構成上位銘柄の配当利回りは2%台が多く、それほど悪くないのですが、高配当銘柄が少ないことも影響しているでしょうか。事実、S&P 500の配当利回り上位80銘柄で構成されるSPYDでは、資本財セクターはあまり組み込まれない傾向があります。



VIS の株価チャート(2004/10~)

VIS VS S&P 500

VIS_Chart_2004-19

VISが設定されたのは2004年9月23日です。設定来のリターンは+210.18%となっていて、S&P 500よりも上回っていますね✨

リーマン・ショックの下げはS&P 500と比較してやや大きかったようですが、それでもこの15年間で、ほぼ一貫してS&P 500を上回っているというのが素晴らしいですね。「情報技術やヘルスケアの陰に隠れているけど、実は、優等生なんじゃないか?」って思ったりもしています✨

VIS VS S&P 500(トータルリターン)

VIS_TR_2004-19r
税金や取引手数料は考慮しない(出典:Vanguard HPより作成)

株価ではS&P 500を上回っていましたが、トータルリターンで見ると、ほぼ同じ水準になっていて、辛うじて上回っている状況です。設定来のトータルリターンは年率+9.6%です。

税金や取引手数料があるため、上の図通りのリターンというわけにはいきませんが、愚直に配当再投資を繰り返していれば、15年後には資産が4倍になっているという計算になります✨

まとめ

資本財セクターに属する企業は、企業向けの財・サービスを生産しています。企業は不況になると、工場の建設や機械の拡充などといった設備投資を抑制することから、こうした財やサービスの需要も減少すると考えられます。つまり、資本財セクターは、一般的に景気変動の影響を受けやすいセクターです。

2018年以降、企業収益が伸び悩むなど、景気後退が意識されるようになるなか、海外収益比率の高いスリーエムやキャタピラーの株価は低迷しています。その一方で、同じ資本財セクターの中でも、国内市場が主体と思われるユニオン・パシフィックやロッキード・マーティンの株価は堅調であり、明暗が分かれています。

個人的な考えですが、不況だからと言って、政府が防衛予算を大幅に削減するわけでもなければ、人々が電車に乗らなくなるわけでもないので、資本財セクターだからといって「景気変動の影響を受けやすい」とひとくくりにしないほうがよさそうです。

2019年に入り、アメリカの景気拡大は10年を超え、史上最長となっています。確かにいつまでも景気拡大は続かないと思いますが、終わりがいつなのか、景気の谷がどれくらいになるかはわかりません。1年後かもしれないし、5年後かもしれません。資本財セクターへの投資は、アメリカの景気拡大がまだ持続すると考えるか、そろそろ終了すると考えるかによっても変わりそうです。

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