ゆーたんです♪
HDV(iShares Core High Dividend ETF、iシェアーズ・コア 米国高配当株ETF)について、分析します♪
HDVってどんなETF?
(Image By:Adobe Stock)
アメリカ株式市場のうち、比較的高配当かつ高品質で財務が健全な銘柄を組み入れたETFで、モーニングスター配当フォーカス指数をベンチマークとしています。
提供会社は、世界1位の資産運用会社である、米BlackRock(ブラックロック)社です。
HDVの基本情報
銘柄数 | 75 |
純資産額 | 130億ドル(約1.74兆円) |
実績PER | 17.9倍 |
配当金(分配金)(2021年実績) | 3.51ドル |
増配率(5年平均、2017〜21) | 4.4% |
増配率(10年平均、2012〜21) | 5.9% |
トータルリターン(5年)※2022年5月末 | 9.2% (参考:S&P 500 13.4%) |
トータルリターン(10年)※2022年5月末 | 10.5% (参考:S&P 500 14.4%) |
経費率 | 0.08% |
設定日 | 2011年3月29日 |
HDVは、表向きは指数(インデックス)に連動しているETFですが、その指数は、モーニングスター社が、経済的な堀の広狭、ビジネスモデルの不確実性の程度、そしてデフォルトの確率を独自のモデルで算出して、一定以上の品質をもち、デフォルト(債務不履行)の確率が(相対的に)低い銘柄で構成されています。
個別株を保有するうえで一番避けたいのが、保有している株が紙切れ(無価値)になるリスクです。その観点からもデフォルトの確率が低い銘柄を組み入れてくれるのはありがたいですね✨
リバランスは四半期ごとに行われ、基準を満たした企業のうち、配当利回り上位75社が組み入れられます(厳密にはリバランス以前に含まれていた銘柄は上位100社までに入れば、引き続き残るようです)。
モーニングスター社が独自のモデルで銘柄をスクリーニングし、四半期ごとにリバランスを行っている性質上、アクティブ運用の色彩が濃いETFになりますね。
経費率は0.08%です。米国高配当株式ETFとしてライバルになる、経費率0.06%のVYM、0.07%のSPYDと比較すると高いですが、気にしなくてよい範囲だと思います。
HDVの構成上位銘柄
1 | Exxon Mobil Corp.(XOM、エクソンモービル) | エネルギー | 7.5% |
2 | Abbvie Inc.(ABBV、アッヴィ) | ヘルスケア | 6.8% |
3 | JP Morgan Chase & Co. (JPM、モルガン・チェース) | 金融 | 6.2% |
4 | Johnson & Johnson(JNJ、ジョンソン・エンド・ジョンソン) | ヘルスケア | 5.8% |
5 | Chevron Corp.(CVX、シェブロン) | エネルギー | 5.5% |
6 | Verizon Communications Inc.(VZ、ベライゾン・コミュニケーションズ) | 通信サービス | 5.1% |
7 | Procter&Gamble Co.(PG、P&G) | 生活必需品 | 4.3% |
8 | Philip Morris International Inc. (PM、フィリップ・モリス) | 生活必需品 | 3.8% |
9 | Merck & Co. Inc. (MRK、メルク) | ヘルスケア | 3.6% |
10 | Broadcom Inc.(AVGO、ブロードコム) | 情報技術 | 3.6% |
アメリカの超優良企業ばかりを詰め込んだETFになっています。TOP 10は私が全部銘柄分析を書いている企業です。
どの銘柄も個別株で保有している投資家の方も多いと思いますが、一つ一つ買い付けるくらいなら、「もうこのETFでいいんじゃない?」と思ってしまうようなETFですね♪
ちなみに2年前と比較すると、銘柄は結構入れ替わっています。ABBV、PG、PM、MRK、AVGOが新たにランクインしていますが、T(AT&T)、PFE(ファイザー)、WFC(ウェルズ・ファーゴ)が構成銘柄自体から外れていますね。
(参考)VYMの構成上位15銘柄のうち、HDVにない主な銘柄
金融 | Bank of America Corp.(BAC、バンク・オブ・アメリカ)、Wells Fargo & Co.(WFC、ウェルズ・ファーゴ) |
ヘルスケア | Pfizer Inc.(PFE、ファイザー) |
一般消費財 | Home Depot Inc.(HD、ホームデポ) |
2022年2月末現在のデータになります。VYMの上位15銘柄中、11銘柄がHDVに含まれています。
BAC、WFCは配当利回りが2%を下回っているので、外れているのだと思います。HDは配当利回りが2%台中盤ですが、年初来からの値下がりと2月に行われた15%の増配によって配当利回りが嵩上げされているので、次回のリバランスでは入る可能性があります。PFEはうーん…以前は構成銘柄に入っていましたが、コロナワクチンで業績が大きく伸びてしまったので、今後の業績見通しが不確実だから外れたのでしょうか💦
HDVのセクター比率

HDVの構成銘柄は頻繁に入れ替わり、それによってセクター比率も大きく変わるため、あまり参考にはならないのですが、現時点のものを掲載してみます。
同じ高配当株式ETFのVYMと比較すると、かなりセクターで偏りがみられる印象です。ヘルスケア、エネルギー、生活必需品で過半数を占めている反面、情報技術は約9%、一般消費財は約1%となっています。
2年前と比較すると、ABBVやMRK、PGが組み込まれたことでヘルスケア(16.4%→22.8%)、生活必需品(10.6%→16.9%)の割合は大きく増えている反面、Tが外れたため通信サービスの割合は大きく落ち込んでいます(17.3%→5.2%)。
エネルギーの割合は若干下がっていますが(21.5%→18.3%)、スーパーメジャーのXOM、CVXが含まれているため、割合が大きくなっています。XOM、CVXは自己資本に対する負債比率が低く、財務状況は健全です。エネルギーセクターの比率が高い状況はしばらく続くと思われます。
HDVの配当金(分配金)推移

HDVの配当金は、基本的には右肩上がりの傾向を示していますね。2012年からの9年間では約1.68倍になっています。
増配率も悪くなく、10年平均増配率(2012〜21)は+5.9%となっています♪
配当は年4回で、配当月は3月、6月、9月、12月の中旬~下旬となっています。実際に証券口座に入金されるのが翌月となる場合があります。
2021年の配当金は3.51ドルで前年比1.5%の減少となりました。ETFの配当金は株式数や構成銘柄の権利落ちのタイミングで変動するので、あまり心配はいらないと思います。2020年のコロナショックに見舞われたときも、配当が増えている点はモーニングスター社の銘柄選定の素晴らしさだと思います(エネルギーセクターのXOM、CVXも結果的に増配でしたもんね✨)
HDVのトータルリターン
VS S&P 500、VYM

参考のために、高配当株式ETFのなかではライバル的な存在であるVYMとも比較しています。

HDVの株価は設定以来で3.07倍となりましたが、同期間のVYMは3.57倍、S&P 500は4.22倍とやや差をつけられている状況です。2017年以降、VYMとは差が広がっていますが、VYMと比較してエネルギーセクターの組み入れ割合が大きかったことも影響しているかと思われます💦
まとめ
- 品質や財務状況が芳しくない企業を投資対象から除外できる。投資先も超優良企業ばかりで、ETF1本で高配当株投資を完結させたい人にお勧め。
- 銘柄数が少ないので、1銘柄の保有割合が最大10%弱と比較的大きめで、セクターの偏りも大きくなりがち。高配当の個別株を保有している人にとっては、バランスが崩れる可能性があり、注意が必要。
モーニングスターのアナリストが、競争上の優位性が高く、財務も健全で、持続的な配当が可能であるという優良企業を厳選しています。正直このETFさえあれば、個別の高配当株式は保有する必要はないと思っています✨
高配当株ETFであるVYMと比較すると、VYMは配当利回り1%台の銘柄も含まれていますが、HDVは財務健全性という基準があるとはいえ、配当利回り上位の銘柄を順に組み入れているので、少なくとも配当利回りは2%ないと、構成銘柄には入ってこない模様です。その分、高い配当利回りを追求できますが…構成上位銘柄の保有割合が大きい点や、リバランス頻度が高い点は好みが分かれそうですね💦
情報開示:この記事は私自身が書いたものであり、私の意見を表しています。私はこの記事から報酬を受け取っておらず、この記事で言及されている会社と直接のビジネス関係はありません。