ゆーたん@東大卒のセミリタイア物語♪

米国株(アメリカ株)中心の高配当株式投資で経済的自由・セミリタイア(FIRE)を目指す、一人の女性の物語♪

銘柄分析

【ABBV】(アッヴィ)~世界一売れている医薬品を有する製薬企業!~

投稿日:2019-08-25 更新日:

【更新情報】(2019/12/16更新)

アッヴィの配当データを更新♪

ゆーたんです♪

世界一売れている医薬品を有する製薬企業である、ABBV(アッヴィ、Abbvie)の銘柄分析です♪

アッヴィってどんな会社?

Abbvieアッヴィ)は、イリノイ州ノースシカゴに本社を置く、製薬企業です。2013年にアボット・ラボラトリーズから、医薬品事業の新薬部門を分社化する形で誕生しました。世界にある75以上の国で30,000人の従業員がおり、日本にも拠点を置いています。

Megafama_image

お恥ずかしながら、私は米国株(アメリカ株)投資を始めるまで、この企業のことは知らなかったです。ただ、収益(売上高)は約328億ドル約3.6兆円)であり、製薬企業の中で世界第8位となっています。同じアメリカのファイザーやメルクにはかないませんが、メガファーマ(日本語でいう巨大な製薬企業)の一角です。

製薬企業といえば、日本の業界最大手である武田薬品工業を思い浮かべる人が多いと思います。それでも、2018年の収益は約194億ドル約2.1兆円)であり、アッヴィとはかなり開きがあります。

アッヴィの主力となる医薬品は、関節リウマチ治療薬「ヒュミラ(HUMIRA)」です。2002年にアメリカで、関節リウマチ治療薬として承認されたのが始まりですが、その後、乾癬やクローン病、潰瘍性大腸炎、非感染性ぶどう膜炎など、免疫にかかわる病気に対する治療薬として世界各地で幅広く使用されています。何とその収益は約199億ドル約2.2兆円)に達しており、世界一売れている医薬品になります♪

アッヴィの業績

※グラフはIRデータより作成。

収益、営業利益、純利益

ABBV_Revenue_2008-18

(注)2012年以前のデータは、アボット・ラボラトリーズの財務諸表からアッヴィとしての事業分を算出しています。2008・09年の営業利益および営業利益率はデータ抽出できず。

収益は順調に伸びてきており、直近10年間で2倍以上、年率換算で約8.7%もの成長を遂げてきました。収益の地域別内訳は、約65%がアメリカ国内、残りの約35%が海外といった具合です。

営業利益率はムラがあります。2018年の営業利益率が20%を割り込んでいますが、これは新薬の開発を担う研究開発(R&D)のための費用が約103億ドルに膨らんだためです。

具体的には、2016年にアメリカのがん治療薬メーカーStemcentrx(ステムセントルクス)買収の際に、資産として認識していた仕掛研究開発(IP R&D)費用を減損処理したからです。おおざっぱにいえば、研究成果が新薬開発につなげられそうだということで資産として計上したけれど、実際には新薬開発につなげられずに失敗したという感じでしょうか💦



新薬開発はハイリスク・ハイリターン

R&D_image

もともと製薬企業は、新薬の開発のために、研究開発費がどうしても多くかかりがちです。AmazonやApple、Google、Microsoftといった大手ハイテク企業ほどではありませんが、製薬企業の研究開発費はそれらの企業に次ぐ水準です。

新薬開発が成功すれば、多額の利益を企業にもたらしますが、多額の研究開発費をかけたにもかかわらず、十分な安全性や有効性が確認できなかったために、製品化に至らなかった事例は、枚挙にいとまがありません。製品化できなければ、収益はゼロです。その意味で、新薬開発は、ハイリスク・ハイリターンの厳しい世界です💧

今日では、医療技術の進歩もあって、多くの病気で有効な治療薬が製品化されてきています。逆に言えば、まだ製品化されていないものは、現在の医療技術をもってしても治療が困難な病気ばかりです。ということは、それだけ研究開発費もかかりますし、新薬開発のハードルも高くなります。

なかなか、自社内の研究だけでは収益を期待できる新薬を開発することが難しい状況になってきています。そのため、大学や研究機関と連携したり、企業どうしの枠を超えて、共同して開発に取り組む動きも盛んです。研究開発には資金力のある大企業ほど有利なことから、M&A(合併・買収)も積極的に行われています。

Abbvie の製品別収益(2018年)

ABBV_Revenue_Product_2018

ここからは、アッヴィの収益構造について少し詳しく見ていきます。先ほど、ヒュミラの収益が約199億ドル(約2.2兆円)と書きましたが、これはアッヴィの収益の約6割に相当する金額です。いかにヒュミラへの依存度が大きいかがわかると思います。

2位のイブルチニブは慢性リンパ性白血病の治療薬です。2015年の販売以降、順調に収益を増やしてきました。2019年はまだ第2四半期までしかデータが揃っていませんが、前年と比較して+30%以上の高い伸びを示しています。

3位のマヴィレットはC型肝炎治療薬になります。2017年に販売開始された医薬品で、翌2018年に一気に収益を増やしましたが、2019年第2四半期時点では、前年比で10%程度のマイナスとなっています。

ヒュミラの収益推移と今後について

ABBV_HUMIRA_2010-18r2

アッヴィの屋台骨であるヒュミラの収益について、少し掘り下げます。ヒュミラの収益はこの8年間で3倍以上になっています。アッヴィの成長はヒュミラなしではありえず、「ヒュミラなくしてアッヴィなし」といえるのではないでしょうか。2014年以降は、収益に占める割合は約60%で推移しています。

そのヒュミラですが、2019年に入ってやや減速の兆しが見えています。第2四半期までのデータで見ると、前年比で6%のマイナスとなっています。その原因は国外市場での収益減少です。国外市場に限っていえば、何と32%のマイナスとなっています。その背景には欧州でのバイオシミラーとの激しい競争があります。

バイオシミラーとは、先に発売されたバイオ医薬品と、同等・同質の品質・安全性・有効性が確認された、後発のバイオ医薬品を指します。ジェネリック医薬品と似たような感じですが、ジェネリック医薬品はいわば有効成分や効果が「同一(まったく同じ)」の医薬品であるのに対し、バイオシミラーは「同等・同質(同じような)」となっています。バイオ医薬品の場合は構造が複雑で、完全に同一の医薬品を作成することが困難だからです。

ヒュミラの特許は2016年に切れています。これだけの収益をもたらす医薬品が特許切れとなれば、他の企業も黙ってはいません。幸いにしてアメリカ国内では、バイオシミラーの販売が2023年になるということで、それまでは独占した地位を築くことができるでしょうし、収益も伸び続けるでしょう。

しかし、2023年以降、アメリカでもバイオシミラーが発売されれば、大幅な収益減は避けられません。そこでアッヴィがとった策が、Allergan(アラガン)の買収です。

2019年のAllergan(アラガン)買収

2019年6月、アッヴィが、アイルランドの医薬品・医療機器大手のAllergan(アラガン)を約630億ドル(約6.7兆円)で買収することが報じられました。買収額は、アッヴィの純利益(約57億ドル、2018年)11年分に相当するほど巨額であり、アラガンの現時点の株価に、およそ45%ものプレミアムを上乗せする形です。

これにより、アラガンの株価は急騰する一方、アッヴィの株価は暴落し、前日比で-16.4%もの強烈な下げを記録しました。ついつい私も脊髄反射的に買いを入れてしまいました。買収による株価の下落は、去年のIBMによるレッド・ハット買収でも経験していますが、その下げっぷりは今回のほうがはるかに上です💧

アラガンは、ドライアイ治療薬に使われるシクロスポリンなどのアイケアや、しわ取り薬のボトックスなど美容医療に強みを持つ医薬品・医療機器メーカーです。2018年の収益は約158億ドル約1.7兆円)となっています。

今回の買収により、単純計算で、収益は約486億ドル約5.3兆円)となり、同じアメリカのメルクを抜いて、4位に浮上することになります。これにより、ヒュミラへの依存度は約40%まで下がる見通しです。

今後は、アメリカでバイオシミラーが発売されるであろう2023年までに、どれだけヒュミラに頼らない収益構造を確立できるかが、アッヴィに投資するうえで着目すべきポイントになると思います。



EPS、BPS、ROE

ABBV_EPS,BPS,ROE_2013-18r

調整後EPSの数値は、2013年以降右肩上がりとなっています。他方でBPSは、2018年に入っての積極的な自社株買いもあって、マイナスに転落してします。2018年の自社株買いの額は122億ドル約1.3兆円)という大きさで、純利益の2倍以上にも相当する額です。

キャッシュフロー(CF)

ABBV_CF_2010-18

キャッシュフローは問題ないですね。設備投資の金額が少ない点がやや気がかりではありますが💧



アッヴィの配当

ABBV_Dividend_2013-20e

分社化した2013年以降の配当ですが、好調な業績を背景に、わずか5年間で2倍以上となっています。2020年も四半期あたり$1.07→$1.18への増配を発表しており、増配率は10.3%となっています。

配当性向の数値だけ見ると、あまり増配余地がないという印象を受けますが、会社が独自に発表している、特別要因を除いた調整後EPSで配当性向を見ると、その数字は50%程度で安定しています。

ただし、Abbvieの過去5年の決算は、すべて調整後EPS>EPSとなっています。毎年のように利益を押し下げる特別要因が何らかの形で働いていることには注意したいですね。

アッヴィの株価チャート

S&P 500との比較(2013/1〜)

ABBV_Chart_20191012

ABBVの株価は、2018年1月に123ドル台を付けていましたが、その後は一転して下落トレンドに転換しており、19年8月時点では65ドル台と、最高値から5割近く下落しています。2013年以降、S&P 500を一貫して上回ってきましたが、2018年に入っての下落で、貯金をほぼ吐き出してしまっています。

2019年の調整後EPS見通しで見たPERは7.4倍、GAAP(米国会計基準)ベースのEPSで見たPERも11.5倍と割安になっています。株価下落の背景には、ヒュミラに依存した収益構造が続いていることや、多額の借金などがあげられます。

2019年の決算はそれほど悪くありませんでしたが、ヒュミラの海外市場での不振が気がかりです。記事執筆時点(2019/8/24)の配当利回りは6.48%となっており、S&P 500構成銘柄の中でも、屈指の高利回りです。

トータルリターンについては、具体的な数値が出ていなかったため、グラフ化はできませんでしたが、2014~18年に限っていえば、S&P 500のおよそ+50%のプラスに対し、ABBVはおよそ+110%のプラスと大幅に上回っています。

まとめ

プラス要因

EPSや配当利回りで見た指標が割安

調整後EPSは7倍台、配当利回りは6%超えとなっており、諸々のリスクを勘案しても、投資妙味のある水準になってきています。アメリカでバイオシミラーが発売されるであろう、2023年頃までは業績も好調を維持するのはないかと思われます。

ヘルスケアセクターは長期的に成長が見込める可能性が高い

ジェレミー・シーゲル著『株式投資の未来』によると、ヘルスケアセクターは、1957~2003年の間で見て、全セクターの中で14.19%という最も高いリターンをたたき出しています(S&P 500の平均は10.85%)。

ヘルスケアセクターは、総じて配当利回りが低めですが、製薬企業は、比較的PERが低めで配当利回りも高い企業が多いです。それは今まで述べてきたように製薬企業が、研究開発費の高騰や新薬開発のハードルの高さなど、さまざまなリスクに直面しているからです。

世界全体で見ても、今後高齢化がじわりじわりと進んでいく中で、個人的にはヘルスケアセクターの将来性は高いと考えていて、アッヴィもその波に乗っかる形で成長していくことが見込まれます。

マイナス要因

ヒュミラに頼らない収益構造を確立できるかどうかへの不安

2019年にアラガンを買収したとはいえ、依然として収益の約4割はヒュミラによって占められています。2023年にアメリカでバイオシミラーが発売されれば、収益にマイナスの影響をもたらすのは確実な情勢であり、残された時間はそう多くありません。

借金が多く、財務状況に不安が残る

2018年に多額の自社株買いや大幅増配を行うなど、株主還元も強化しているアッヴィですが、借金が多いのが気がかりです。

長期借入金(含:リース債務)は、2018年末時点で約366億ドル約4兆円)と巨額です。アッビィの収益1年分以上の金額であり、フリーCFの3年分に相当する水準です。2019年のアラガン買収により、さらに債務は増えることが予想されます。営業CFは順調に伸びているので、さほど心配はいりませんが、早めの債務圧縮が望まれるところです。

私の保有状況・所感

私は40株保有しています。ETFでの保有分(SPYD、VYM)も考慮に入れると、ポートフォリオの2%強を占めている銘柄です。

ヒュミラに依存した収益構造、借金の多さ、製薬企業特有のリスクなど、問題点は少なくありません。それを差し引いても6%台の配当利回りは魅力的に映ります。それにヘルスケアセクターの高配当銘柄は貴重です。

アラガン買収は、確かにお金をかけすぎな面はあるかもしれませんが、収益構造を多角化しようとする前向きな姿勢は感じられます。さらに下押しするようであれば、買い増しを検討したい株ですね♪

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