ゆーたんです♪
米国連続増配株式ETFであるVIG(Vanguard Dividend Appreciation ETF、バンガード・米国増配株式ETF)について、分析します♪
VIGってどんなETF?
(Image By:Adobe Stock)
米Vanguard(バンガード)社が提供する、アメリカ株式市場のうち、連続増配10年以上の実績をもつ銘柄を組み入れたETFです。
大型株が中心となっていますが、増配の可能性が低いとされる銘柄は除外されているため、連続増配10年以上の実績があるからといって必ずしも組み入れられているわけではありません。
VIGの基本情報
銘柄数 | 182 |
ファンド総資産額 | 409億ドル(約4.45兆円) |
実績PER | 25.5倍 |
配当金(分配金)(直近12か月実績) | 2.1339ドル |
配当利回り(直近12か月実績) | 1.70% |
経費率 | 0.06% |
銘柄数は約180程度です。米国高配当株式ETFのVYMが約400であることを考えると、それだけ投資対象となる銘柄が限られることを意味しています。
ファンド総資産額は400億ドルを超えており、バンガード社のETFのなかでも上位にランクインする規模です。配当利回りは1.70%で、1.84%のS&P 500と比較しても低くなっています。組み入れ銘柄は、あくまで増配株であって、配当利回りが1~2%台前半の株も多いです。その点には注意が必要ですね。
VIGの経費率ですが、段階的に引き下げられていて、2013年に0.13%→0.1%、16年に0.1%→0.09%、17年には0.09%→0.08%、そして19年2月に現在の水準まで引き下げられました。総資産額が拡大するにつれて、今後も経費率の引き下げが期待されます✨
VIGの構成上位銘柄
1 | Microsoft Corp.(マイクロソフト) | テクノロジー | 4.7% |
2 | Procter & Gamble Co.(P&G) | 消費財 | 4.4% |
3 | Visa Inc.(ビザ) | テクノロジー | 4.3% |
4 | Walmart Inc.(ウォルマート) | 消費者サービス | 4.2% |
5 | Johnson & Johnson(ジョンソン・エンド・ジョンソン) | ヘルスケア | 3.5% |
6 | Comcast Corp.(コムキャスト) | 消費者サービス | 3.5% |
7 | Abbott Laboratories(アボット・ラボラトリーズ) | ヘルスケア | 2.6% |
8 | Medtronic plc(メドトロニック) | ヘルスケア | 2.6% |
9 | McDonald’s Corp.(マクドナルド) | 消費者サービス | 2.6% |
10 | Costco Wholesale Corp.(コストコ・ホールセール) | 消費者サービス | 2.3% |
TOP10のうち6社がダウ工業株30種に採用されていることからもわかるように、長期保有したいと思えるような超優良銘柄をこれでもかってくらい並べています。
組み入れ割合1位はマイクロソフトですが、2位のP&G、3位のVisaとは僅差です。基本的には時価総額に比例する形で構成されていますが、1銘柄の保有比率の上限が4%となっているからです。4%を超える分は、3月のリバランスの際に調整されます。時価総額上位の企業にウェイトが偏りすぎないため、より分散度合いの高いETFということができますね♪
ダウ平均採用銘柄でない4つの銘柄について簡単に紹介しますね。
組み入れ割合6位のコムキャストは、ケーブルテレビ・衛星放送、インターネット、固定電話・モバイル事業などを担うメディア・コングロマリットです。USJの親会社でもあります。2009年以降連続増配となっています。
組み入れ割合7位のアボット・ラボラトリーズは医療機器をはじめ、栄養食品やジェネリック医薬品など、幅広く事業を展開しています。配当利回りは1%台半ばですが、1973年以降連続増配となっている配当貴族(25年以上連続増配)です。
組み入れ割合8位のメドトロニックは、世界有数の医療機器メーカーです。配当利回りは1%台後半ですが、こちらも1978年以降連続増配となっている配当貴族です。
組み入れ割合10位のコストコは倉庫型店舗が特徴の会員制ディスカウントチェーンです。配当利回りは1%を下回っていますが、2004年以降連続増配となっています。7月時点では鉄道会社のユニオン・パシフイックが10位に入っていましたが、入れ替わってランクインしています。
VIGのセクター比率

資本財セクターが一番多く、次いで消費者サービスセクター(小売店、メディア、旅行・レジャーなど)となっています。資本財は景気変動に敏感なセクターですから、好みが分かれそうです。
電気通信セクターはわずか0.0%とあってないようなものです。すなわち高配当かつ連続増配銘柄でもあるT(AT&T)やVZ(ベライゾン)は入っていません。
また、石油&ガスセクターにいたってはゼロであり、同じく高配当かつ連続増配銘柄のXOM(エクソンモービル)、CVX(シェブロン)なども入っていません。そんなに増配の可能性が低いとみなされているんでしょうか💦
(参考)VTIのセクター比率

アメリカ株式市場全体に投資するVTIと比較すると、資本財、消費者サービスといったセクターの割合が高く、金融、テクノロジーといったセクターの割合が低くなっていますね。やはりVTIと比較してみても、VIGのセクター比率にはやや偏りがあるといえるのではないでしょうか。
VIGの配当金(分配金)推移

配当金は、連続増配銘柄を集めたETFだけあって、安定して増加しています。リーマン・ショック時の落ち込みが小さくなっている点が素晴らしいですね✨
年平均増配率(2007~19)は+7.7%と高水準で、同期間のVYM(+6.4%)、VTI(+6.9%)よりも優れています。もっとも、直近5年(2014~19)の増配率は+6.1%にとどまっていて、同期間のVYM(+8.3%)、VTI(+9.2%)には劣ります。
VIGの株価チャート(2006/4~)
VIG VS S&P 500

VIGが設定されたのは2006年4月21日です。S&P 500とほぼ同じ推移をしていますね。
VIG VS S&P 500(トータルリターン)

先ほど、取引値で見たリターンは、S&P 500をわずかに上回りましたが、トータルリターンでみても互角の勝負です。ほとんどS&P 500と同じ値動きをしていますが、わずかながらに上回っています。設定来のトータルリターンは年率+9.1%です。
まとめ
VIGは、連続増配銘柄を集めたETF、優良企業の集合体というだけあって期待していましたが、いざデータを集めてみると、トータルリターンは、S&P 500とほぼ同じ、増配率も思ったほどS&P 500と差がないという状況で、つまるところ「S&P 500でいいんじゃない?」というような結果になってしまいました💧
しかし、将来のことは分かりません。一つ言えることは、VIGであろうが、S&P 500であろうが、アメリカ経済が成長していけば、今後も間違いなく恩恵を受けられるETFであるということです✨