ゆーたんです♪
たまたま、あるビジネス誌を読んでいたところ、こんな記述を見つけました。
「日本はまだデフレから脱却しきっていない」
この記述は半分正しくて、半分間違っていると思います。今日はこの話について書いてみますね♪
そもそもデフレって何?
デフレとは、物価(さまざまな商品の価格の平均)が継続的に下落する状態を指しています。
(Featured image by:Shutterstock)
もしかしたら「物価が下落するっていいことじゃない?」と思う人もいるかもしれません。
でも物価が下落するということは、商品が売れても企業の収益は減少することになります。すると、労働者に支払われる賃金も減っていきます。
労働者は、消費者としての側面もあります。お金に余裕のなくなった消費者は、商品をあまり買わなくなります。そうなると、ますます商品が売れなくなるので、企業はさらに商品価格の引き下げを迫られる(=物価が下落する)ことになります。(以下ループ)
すなわち経済活動が縮小していくことになります。これこそがデフレの弊害です💧
デフレ脱却をめざして
日本は1990年代後半から2010年代前半にかけて、デフレが長引き、賃金も中々上がらない状況が続きました。マクドナルドのハンバーガーは、一時期何と59円で販売されていました。そんな状況ではとても賃金が上がるはずはないですね💦
そこで、2013年4月、長引くデフレから脱却するため、日銀の黒田総裁は、強力な金融緩和政策の実施に踏み切りました。消費者物価の前年比上昇率が安定的に2%に達するまで、2年程度の期間で金融緩和を行うこととされました。
しかし、2年経っても、目標は達成されることなく、気づけば6年がたった今日でも金融緩和が続けられています。
そうした事情もあるので、「日本はまだデフレなんだ」と勘違いする人が出ても不思議ではありません。事実、政府も2009年11月に「日本経済は緩やかなデフレ状態にある」と宣言して以降、今日までデフレ脱却宣言をしていません。
最新(2019年9月)の月例経済報告でも「デフレからの脱却を確実なものとし」と記されています。ただ「確実」と書かれていることからもわかるように、既にある程度デフレ脱却は実現していることがここから読み取れます。そのことを次のグラフから見てみますね。
消費者物価指数(コアコアCPI)の推移
消費者物価指数にもさまざまな種類がありますが、ここではコアコアCPIを取り上げます。コアコアCPIとは、価格変動が大きく、天候に左右されやすい生鮮食品や原油相場等に左右されやすいエネルギーを除いた物価指数です。そのため、物価の状況をよく表す指数として知られています。
1997年と2014年で数値が急伸しているのは消費税増税の影響です。しかし、2014年以後もじりじりと物価上昇が続いていることがわかります。直近5年間の物価上昇率は2.4%で、年率に換算すると0.6%です。
私はランチタイムは同僚と外食するのですが、本当に年々高くなっていることを実感しています。税込価格が価格据え置きのまま税抜価格になったり、ある日突然価格が100円上がっていたりということを頻繁に目にしてきました。投資を始めて節制を心がけるようになってから、嫌でも価格変動に敏感になりましたね💦
既に預金金利は実質的にマイナス
2019年に入り、日本銀行が金融緩和策として導入しているマイナス金利がさらに深掘りされるのではと予測されるなか、銀行の口座管理に手数料を導入するかどうか、騒がれています。
今日では、銀行口座に預金を預けていても、利回りはわずか0.001%、10万円を1年間預けても利子はわずか1円です。私が預けている楽天銀行はその100倍の利回り、すなわち0.1%ですが、それでも10万円を預けて1年間で100円にしかなりません。
先ほどコアコアCPIは年率0.6%上昇していると書きました。ということは、銀行口座に預金を預けると、名目上(見た目)の金額は変わりませんが、毎年購買力が0.6%ずつ目減りしていくことになります。物価変動の影響を取り除いた実質値で見ると、預金金利は既にマイナスであり、お金の価値は毎年0.6%ずつ目減りしている計算になります。
ましては黒田総裁は消費者物価指数の前年比上昇率2%を実現するために、金融緩和を続けています。この金融緩和が続く限り、消費者物価指数の上昇基調は続くのではないでしょうか。
まとめ
いまだに日本では「現預金=元本保証で安全」という考えが根強いです。
確かに過去20年近くデフレ下にあった日本では仕方ないのかもしれませんが、少なくとも足元の日本経済はとてもデフレといえる状況にありません。
デフレ下では現預金を保有することは理にかなった戦略ですが、少なくとも今日においては、現預金だけを保有し続けていると、政府の方針もあいまって、(実質的な)資産の目減りは避けられないと思います💧