ゆーたんです♪
今週の米国株ですが、私が保有しているAltria(アルトリア、ティッカー:MO)の第3四半期決算が発表されました。電子たばこを製造・販売するジュール(JUUL)への投資損失により赤字を計上、株価は2%を超える下落となりました💦
私はこの赤字自体はそれほど心配しているわけではありませんが…色々決算を見てみると、不安要因がないわけではありません。そんな第3四半期決算を紐解いてみますね。
第3四半期決算ハイライト
アルトリアについては銘柄分析も書いています。昨年までの業績・配当・株価などのデータはこちらをご覧ください♪

| (第3四半期決算) | 2019 | 2018 | 前年比 |
| 収益(売上高) | $68.6億 | $68.4億 | +0.3% |
| 営業利益率 | 42.9% | 37.4% | +5.5Pt |
| EPS | $(1.39) | $1.03 | (赤字転落) |
| 調整後EPS | $1.19 | $1.08 | +10.2% |
収益はほぼ横ばいですが、営業利益率が前年同期比で大幅に上昇しています。売上原価やマーケティング・研究費用の抑制が功を奏したようです✨
その成果もあって、特殊要因を除いた調整後EPSは前年同期比で10%以上上昇していますね。
EPSは赤字になっています。アルトリアは2018年12月にジュール株の35%、額にして128億ドルで取得することで合意しました。今回期待していたほどの収益が見込めないということで、45億ドル分の評価損を計上しました。つまり、128億ドルで購入した株式の価値が83億ドルしかなかった、いうなれば、ジュールの企業価値を高く見積もりすぎた(=高値掴みした)ことをアルトリアが認めた形になります。
私は9月にアルトリアを買い増ししたときの購入記事で、このように書きました。はからずも、その予測が当たってしまったことになりますね💦
ただし、ジュールやクロノスの動向次第では、さらなる減損を迫られ、EPSがさらに押し下げられる可能性があります。ジュールやクロノスへの出資が仮に失敗した場合、それは将来の成長を牽引するであろうエンジンを失ったことを意味するので、将来的にみた減配リスクは高まります。第3四半期以降の決算にも注目ですね。
配当支払いは大丈夫なの?
アルトリアの配当支払い状況について財務面からみてみますね。
| 配当 | EPS | 配当性向 | 調整後EPS | 配当性向(調整後EPS) | |
| 2019年第3四半期まで | $2.44 | $1.03 | 236.9% | $3.19 | 76.5% |
数字だけを見ると、配当性向(配当/EPS)が大きく100%を超えていますが、調整後EPSで見た配当性向は、80%を下回る水準におさまっていますね。
ジュールの評価損を計上したことはあくまでも会計上の話なので、通常のEPSで配当性向をはかることはあまり参考にはなりません。むしろ、いつまでも引っ張り続けるより、早めに評価損を計上して、投資家のジュールに対する期待値を下げたのは、個人的には良い選択だと思っています。
| (第3四半期まで) | 2019 | 2018 | 前年比 |
| 営業CF | $52.7億 | $65.7億 | -19.7% |
| フリーCF* | $51.1億 | $64.3億 | -20.5% |
| 配当金支払い額 | $45.0億 | $39.1億 | +15.1% |
| 配当金支払い額/フリーCF | 88.1% | 60.8% | +27.3pt |
| 自社株買い金額 | $3.46億 | $13.17億 | -73.7% |
| (配当金支払い額+自社株買い金額)/フリーCF | 94.7% | 79.6% | +15.1pt |
もっとも、キャッシュフローから配当金支払い状況を見てみると思ったよりも余裕がないことが分かります。設備投資にほとんどお金がかかっていないことは素晴らしいのですが、肝心の営業CF**が前年同期比で20%近く減少しています。
**ジュールの評価損は実際の支出を伴っていないので、営業CFにはプラスとして計算されています。つまり、ジュールの評価損は営業CFに直接影響は与えていません。
第2四半期時点では、フリーCF(23.1億ドル)<配当金支払い額(30.0億ドル)となっていたので、それに比べれば改善していることには違いないのですが…💧
ちなみに、長期債務は269億ドルとなっており、わずかに第2四半期からは減少していますが、それでもなお、アルトリアのフリーCF、5年分以上に相当する金額です。今のところはまだ大丈夫ですが、フリーCF<配当金支払い額という状態が続けば、減配リスクが意識されることとなります。
まとめ
- 第3四半期:収益は横ばいも、営業利益率・調整後EPSは上昇
- JUULの評価損計上それ自体は、業績への影響は小さい
- キャッシュフローは第2四半期より改善も、配当金支払いが財務を圧迫
アルトリアの第3四半期決算は、営業利益率・調整後EPSが上昇したため、比較的好意的に受け止められがちですが、キャッシュフローは第2四半期より改善とはいえ、まだまだ心配です。
もっとも、アルトリアは、50年を超える連続増配の実績をもつ企業であり、そのことをプレスリリースでも宣言していることから、株主還元意欲の高さは相当なものです。
経営陣も、何としてでも減配は避けたいでしょうし、あるいは最悪減配になったとしても、その影響を最小限にしようと舵取りをしていくのではないかと、割と楽観的に見ている面もあります。
ある株が高配当になっている要因は細かく見れば色々とありますが、基本的には①業績が低迷している、②事業の先行きや将来性が見通せないのどちらかに該当するケースが多いです。
さらに、配当の高さで投資家を惹きつけるため、利益以上の配当を出している(タコ足配当とよばれます)銘柄も少なくありません。特に、5%を超えるような高配当銘柄というのは、投資家が敬遠するしかるべき上記のような理由が必ずあります。
高配当株にはリスクはつきものですが、だからといって他の個別株ならリスクがないのかといったら全然そんなことはありません。個別株を保有する以上、企業の業績という不確定要素からは逃れられません。
個別株への投資は「リスクの高い投資」です。だからこそ、私は分散投資を徹底しつつ、高配当という果実を享受できればと思っています✨

