ゆーたんです♪
保有株の一つ、オーストラリアの都市銀行で高配当で有名なウエストパック銀行(Westpac、ティッカー:WBC/WBK)が減配を発表しました。さらに、25億豪ドルの増資を発表したことで、オーストラリア市場では株価が2.55%下落しています💦

高配当株投資家にとって、減配はとてもつらいものですが、避けては通れない道です。ウエストパック銀行の決算について振り返りながら、今後の保有方針等についても書いてみますね。
2019年通期決算ハイライト

(Image By:Adobe Stock)
ウエストパック銀行については銘柄分析も書いています。2019年の業績・配当・株価などのデータも反映しています✨
業績や配当、株価などの長期時系列データについては、銘柄分析をご覧ください♪

| ※単位は豪ドル | 2019 | 2018 | 前年比 |
| 収益 | $206.49億 | $220.07億 | -6.2% |
| 営業利益率 | 51.1% | 56.5% | -5.4Pt |
| 純利益 | $67.9億 | $80.99億 | -16.2% |
| EPS | $1.895 | $2.301 | -17.6% |
数字だけ見ると、大変厳しい決算ですね。収益だけでなく、営業利益率や純利益、EPSも大きく落ち込んでいます💧
背景には、銀行の不正行為に端を発する顧客への補償や訴訟関連費用の増加があります。具体的には、誤解を招くような金融アドバイスを行ったり、融資可能額を水増ししたり、金利や手数料を余計に徴収してしまっていたりというような具合です。これは何もウエストパック銀行に限った話ではなくて、オーストラリアの銀行業界を支配する四大銀行全体の話になります💦
そうした不正行為が相次いで発覚したことで、ウエストパック銀行の株価も2013年以降、軟調に推移してきましたが、ついに株主には株価下落だけでなく、減配という形で痛みを分かち合うことになってしまいました。減配は、2009年以来10年ぶり*になります💧
*2013年は特別配当0.2豪ドルが上乗せされており、ここではそれを除いて考えています。
収益の内訳
| ※単位は豪ドル。数値は純額。 | 2019 | 2018 | 前年比 |
| 金利収益 | $169.07億 | $165.05億 | +2.4% |
| 手数料収益 | $16.55億 | $24.24億 | -31.7% |
| 資産管理サービス・保険部門からの収益 | $10.29億 | $20.61億 | -50.0% |
収益は前年比で減少していますが、銀行の収益の源泉ともなっている金利収益はむしろ増えています。
しかし、これにはカラクリがあって、それまで手数料収益に分類されていた項目(商業・ビジネスローンに適用される、信用枠を維持するために銀行に支払う手数料)を金利収入に分類しなおしたからです。その結果として、手数料収益が大きく減少しています。
また資産管理サービス・保険部門からの収益が大幅減となっていますね。特にこの部門は、銀行の不正行為による顧客への影響が大きく、5.3億豪ドルものお金が顧客への補償などにあてられていることによるものです。
営業費用の内訳
| ※単位は豪ドル | 2019 | 2018 | 前年比 |
| 人件費 | $50.38億 | $48.87億 | +2.4% |
| 施設費(店舗の賃料など) | $10.23億 | $10.33億 | -1.0% |
| 技術費 | $23.19億 | $21.1億 | +9.9% |
| その他費用 | $17.26億 | $15.36億 | +12.4% |
全体的に費用が増えてしまっていて、2018年と比較すると、5.4億豪ドルの費用増になっています💧
実は、ウエストパック銀行の営業費用は3年連続で増加しています。去年までは収益が増加していたので、営業利益率も50%台半ばをキープできていましたが、今年は収益が減少したので、営業利益率も大きく悪化することとなりました(それでも50%超はキープしていますが…)💦
営業費用の内訳の詳細は複雑で分かりにくいのですが、全体としては、資産管理サービス事業の再構築(不正が続発したことを受け、自社で金融アドバイスを行わず、金融アドバイザーを紹介するビジネスモデルに移行する、などの体制変更)に関連する費用増が2.4億豪ドル、顧客への補償・訴訟費用などの費用増が1.1億豪ドルというように、銀行の不正行為によるツケが重くのしかかっています。
配当は今後どうなるの?
ウエストパック銀行は年次報告書で配当性向を88.8%(2018年:79.5%)と報告しています。
もともとウエストパック銀行は、連続増配ではありません。配当性向は100%を超えない範囲でコントロールされているため、利益が十分にあげられなければ、減配が行われます。
もっとも、リーマン・ショック時の2008→09年は、大幅に配当を削減、もしくは無配に転落した銀行が多いなか、ウエストパック銀行は18%の減配にとどまりました。
ウエストパック銀行のCEOも、収入を配当に頼っている株主が多いであろうことを認識したうえで、今回の減配は、中長期的に安定した配当性向を維持していくためと述べています。
業績に応じた配当のため、今後も減配はあるでしょうが、なるべく高配当を維持しようという姿勢を感じ取ることはできますし、今回の決算で、顧客への補償が一段落すれば、業績の好転が見込める可能性もあるのではないでしょうか✨
あとがき
高配当株というのは、悪い言い方をすれば「不人気銘柄」であり、しかるべき理由があって、投資家から敬遠されて不人気になっています。
今回のウエストパック銀行の例でいえば、オーストラリアの銀行業全体として、①利益を追求するあまり、数多くの不正行為が行われていたこと、②不正行為に端を発する顧客への補償や訴訟関連費用が、利益を押し下げるという懸念があったことが主な理由でしょうか💧
ウエストパック銀行は残念ながら今回減配となってしまいましたが、それでも2019年実績でみた配当利回りは依然として6%を超えています。これだけ高い配当利回りなのも、そうした事情があってのことです。
ウエストパック銀行は、私が保有する個別株で、最も保有割合の高い株でしたが、保有比率は3%程度だったため、今回の減配により、配当金受取額の見通しは2,500円程度の減少にとどまりました。
あくまでも個人的な意見であることを前置きしておきますが、顧客への補償や訴訟関連費用がかさむ中でも、これだけの利益をあげている点を評価しています(営業利益率はいまだ50%超で他銀行を大きく上回る)。そして、配当性向は高水準ですが、裏を返せば、株主還元意欲の高さを表していて、その点も評価しているので、現時点で売却する予定はありません。
もっとも、今回の例のように、高配当の個別株にはどうしても減配というリスクが付きまといます。だからこそ、分散投資をより一層心掛けたいですね✨

