医療制度改革について考える~これからの日本での暮らしはハードモードになるかもしれない~

ゆーたんです♪

医療制度改革の一環として、75歳以上の医療費の窓口での自己負担が、近いうちに2割になるかもしれません💦

そして、風邪薬や花粉症の治療薬など、市販されている医薬品で、病院で処方される医薬品でなくても対処が可能なものは、公的医療保険の対象から除外して、全額自己負担とする方向で検討することも報じられています。

すぐにここに挙げた内容が実現するというわけではありませんが、制度が変わるのはもう時間の問題だと思います。

社会保障というと、どうしても年金に注目が集まりますが、今回クローズアップされたように、「医療費の増大にどう対処するか」という問題が今後ますます大きなものになってくると思います。今日はこの件について書いてみますね。


(Featured image by:Shutterstock)

目次

医療給付費は今後も伸び続ける

Syakai_Hosyou_Forecast
(医療給付費の①②は、単価の伸び率の仮定の違いによる。出典:内閣府 平成30年第6回経済財政諮問会議資料

ここでいう計画ベースというのは、医療・介護サービスの提供体制の改革や適正化が実現した場合の数値で、現状投影ケースというのは、現時点の年齢別受療率や利用率をもとにして機械的に算出した数値になります。

とはいっても、計画ベースになったからといって、劇的に医療給付費がおさえられるわけではありません。

計画ベースの見通しで見ても、医療給付費は今後急速に伸びていくことが予想されます。2025年度は2018年度比で1.2倍、2040年度は1.7倍にまで増えており、2018年度と比較すると27.5~29.3兆円増加する計算になります。

一方の年金給付費は、2025年度は2018年度比で1.06倍、2040年度は1.3倍であり、2018年度と比較しても16.5兆円の増加にとどまります。もちろんこの数字も巨額ではありますが、医療給付費ほど伸びは大きくありません。

あくまでも見通しではありますが、この先人口減少が進んで、社会保障の支え手が少なくなっていくなかで、高齢者は増え、これだけ給付額は増えていく…このままでは大幅に給付を削減するか、負担を増やすかしないと、制度として持続していくことができません。

だからこそ政府は、高齢者にも社会保障の支え手になってほしいわけで、「今の高齢者は昔より若い!」「高齢者の定義を変えよう!」というのも頷けます💦



75歳以上の医療費は全体の4割弱を占めている

日本の年齢別人口構成比(2018年10月)

Japan_Population_201810r
(出典:総務省統計局より作成)

日本の年齢別国民医療費の構成割合(2018年度)

Japan_medical expenses_2018
(出典:厚生労働省)

「高齢者のほうが医療費がかかる」というのは直感的にわかるかと思いますが、グラフにすると、その差が如実に分かります。

日本の人口における65歳以上の比率は28.1%ですが、医療費に占める割合は60.3%です。そして、75歳以上の比率は14.2%ですが、医療費に占める割合は37.4%です。

75歳以上となると、個人差はあれど、病気にかかる回数が増え、病院の受診回数は増えます。その一方で、退職して年金で生活する人が多いために収入も少ないです。だからこそ、窓口での自己負担が1割に抑えられてきたという経緯があります。

とはいっても、その財源は、患者負担を除けば、公費が5割、若年者(0~74歳)の保険料が4割で、高齢者(75歳以上)の保険料はわずか1割です。

そう考えると、医療制度も、年金制度と同様に「世代間の支えあい」によって成り立っているといえるでしょう。

昔のように、人口が増えていて、若い世代が多いような人口構成だったら何も問題はないのですが、少子高齢化が進むなかで、高齢者の給付水準を維持しようとすれば、現役世代の負担は増すばかりです。

それまで高齢者の負担を増やすことは、選挙での投票率が高い高齢者層の支持を失うのではないかという恐れから、なかなか踏み込んだ政策がとられにくかったという事情もあります。それでもこういった話が出てくるあたり、「もうそんなことも言ってられないんだな…」と思わずにはいられません。



あとがき

今回の窓口での自己負担割合引き上げは、国民皆保険制度を維持していくためにも、いずれは必要なことなのではないかと思う一方、高齢者にとっては、自己負担が引き上げられることで、病院への受診を控えるようになり、かえって症状が悪化する、健康を損ねるということも十分考えられます。

いくら「国民皆保険制度」があるといっても、自己負担割合が今後も引き上げられるようなことがあれば、病院を受診できない高齢者が増えてしまい、「国民皆保険制度」は名ばかりの制度となってしまうでしょう。

医療の問題も、年金の問題も、結局は人口構成のゆがみによるものです。そして、このゆがみを解消するには長い時間がかかりますし、このゆがみがある以上、「給付水準は減る」「負担は増える」というように、どうしても私たちの生活は苦しいものにならざるを得ません。

自分だって本当はあんまりネガティブなことを書きたくはありません。でも、一歩ずつではありますが、確実に日本は「働いても豊かになれない社会」になりつつあると実感しています。

セミリタイア後も日本に住み続けたいとは思いますが、何だか日本で暮らしていくことがすごいハードモードになってしまう気がしていて…私の心配が杞憂に終わることを願っていますが、万が一に備えて色々と考えておくことは必要なことかもしれません💦

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

  • URLをコピーしました!
目次