ゆーたんです♪
かんぽ生命の不適切な保険商品の販売問題で、昨日、郵政3社長による記者会見が開かれました(ニュース記事は現在リンク切れです)。
ニュース記事を色々と読んではいましたが、「寄生虫」というパワーワードに思わず目が釘付けになってしまいました…パワーハラスメント(パワハラ)の防止を義務付ける法律ができたというにもかかわらず、パワハラが本当に横行していますね💦
もちろん、こうしたことはあってはならないことですが、単に企業風土の問題として片づけられる問題ではなくて、ビジネスモデルが転換点に差しかかっている、すなわち、人口減少が進むなかで、国内市場をメインとする金融機関は限界を迎えていることのあかしなんだと、私は思っています。
今日はこの件について記事にしますね。
金融機関のビジネスモデル~金利差から収益を得る~
金融機関というのは、お金に余裕がある企業や家計から資金を預かる一方、お金を必要としている企業や家計に資金を貸し出す役割を果たしています。
(Image By:Adobe Stock)
そして、金融機関の収益の源泉となるのは、預けた時の金利(預金金利)と貸し付けた時の金利(貸付金利)の金利差です。しかし、1990年代後半以降、日本は思うようにデフレから脱却できず、景気を回復させるため、金利を引き下げる政策がとられました。これにより、家計や企業がより多くのお金を借り、経済活動が活発になることが目指されました。
そうした経緯もあって、預金金利がゼロ付近で張り付くなか、貸付金利は1990年代後半以降、2000年代後半を除いて、ほぼ一貫して低下し続けています。
金融機関が危機的な状況にあったリーマン・ショック時でも貸付金利と預金金利の差(利ざや)は1.5%前後ありました。2019年現在、その利ざやは0.75%前後まで低下してきています💦
海外事業に積極的に取り組んでいるメガバンクなど大手金融機関はまだよいのですが、国内事業をメインとする地方銀行(地銀)等の金融機関は本当に厳しいです。地方の人口減少も相まって、泣きっ面に蜂状態になっています(もっとも、頼みの海外事業も、ユーロ圏やオセアニア圏などをはじめ、世界的な金利低下現象がみられています)。
保険会社は顧客の保険料を元手に資産運用をしている
また金融機関のなかでも、保険会社は、顧客から預かった保険料を株式や公社債(国債や地方債、社債など)で運用しています。
しかし、リスクの高い運用をして、元本(もとのお金)を大きく減らしてしまっては、将来の保険金を支払うことができません。ですから、私みたいに、「株式にフルインベストメント!」なんていうことはありえず、その多くは、公社債で運用されています。
ちなみに、かんぽ生命の2018年度決算によれば、資産の約7割が国内の公社債、外国の公社債は約7%、株式にいたっては、1%以下です。
しかし、貸付金利が低下していることからもわかるように、国債の金利も低下し続けています。国債の金利はマイナス金利になっていることも多く、満期まで保有すれば逆に損失となる、今までの歴史では考えられなかった事態が生じています。
こうした状況下では、保険会社も思うような運用ができず、収益をあげることも難しくなるはずなのですが…実は、民間生命保険会社は、株式などのリスク資産に資金を配分することで、2018年度決算でも最高益を達成しています。
もっとも、かんぽ生命の場合は、民間のように、リスク資産に資金を配分することは難しい事情もあるのでしょう。ですから、保険料を引き上げたり、今回のように不適切な契約による手数料の確保を迫られたりすることになります💦
金融機関の収益源は失われつつある
以前のように、金利差から収益を得ることが難しくなっているなか、金融機関の収益源は失われつつあります。
他の収益源を確保する方法としては、①株式などリスク資産の運用を増やす、②手数料収入が期待できる保険や投資信託の販売を増やす、③口座維持手数料の導入などで、顧客にもサービスの対価を負担させる、などがあげられます。
しかし、株式などリスク資産の運用を増やせば、株価急落時に大きく資産が毀損するリスクがありますから、無制限にリスク資産を増やすわけにもいきません。もっとも、地銀は高リスク資産への投資に結構踏み込んでいるようですが…
口座維持手数料については、三菱UFJ銀行が検討を始めたとありますが、現時点では、新規開設分かつ2年間取引がない口座が対象であり、かなり限定的になりそうです。
となると、残された選択肢は、②手数料収入が期待できる保険や投資信託の販売を増やす、になります。ゆうちょ銀行も投資信託販売で不正があったようですが、リスク資産の運用増加には限界があるし、口座維持手数料は導入できそうにもない…となると、投資信託を売らざるを得ないということでしょう💦
あとがき
少子高齢化と、それに伴う国内の資金需要の減少もあり、特に国内をメインとする金融機関を取り巻く環境は厳しさを増しています。ビジネスモデルの転換が迫られているにもかかわらず、今までのやり方で成果を出そうとした結果、このような歪みが生じたのだと思います。
この先、金融機関を取り巻く環境は、ますます厳しくなっていくでしょう。今後は、地方銀行を中心にさらなる統廃合が進んでいくことが予想されます。
これは余談ですが、私は、証券会社に勤めていた両親から「手数料稼ぎのために、顧客のメリットなど考えずに金融商品を販売している」とよく聞かされていました。とはいっても、今日の証券会社は、金融庁の監視の目もあって、最大手の野村証券をはじめ、預かり資産額を重視する方針に転換してきています。
そうしたなか、手数料稼ぎのために、顧客のメリットを考えない金融機関がいまだに存在していることは素直に残念です。
あとは何といってもパワハラですね。たぶん他の企業でもたくさんこういうことはあって、氷山の一角なんだろうな…と思います。幸いにして、私はこうしたパワハラに遭遇したことはありません。しかしながら、いつ何時、こうした理不尽なことがあったらすぐに対応できるように、会社に頼らず自分の力で自立できるようにしておくことが重要だと思った、今日この頃です✨