ゆーたんです♪
読者の方からリクエストいただきました、高分配(高配当)のREIT(不動産投資信託)を集めたETF、SRET(The Global X SuperDividend REIT ETF)について分析します。
SRETってどんなETF?
(Featured image by:Shutterstock)
利回りの高いREITの30銘柄を集めたETFで、ドイツの金融インデックスを開発する会社であるSolactive(ソラクティブ)社が提供する、Solactive Global SuperDividend REIT Indexに連動するよう設計されています。
提供しているのは、アメリカのGlobal X(グローバル X)社です。2008年設立と歴史の浅い企業です。2018年に、韓国の金融サービスを提供する企業である未来アセット(Mirae Asset)に買収されています。
銘柄数(2019年9月末) | 30 |
ファンド総資産額(2019年9月末) | 3.24億ドル(約355億円) |
実績PER(2019年12月26日) | 12.4倍 |
分配金(配当金)(直近12か月実績) | 1.1918ドル |
分配金(配当金)利回り(直近12か月実績) | 7.68% |
経費率 | 0.59% |
利回りの高いREITを集めただけあって、分配金(配当金)利回りは7%台と高水準です。もっとも経費率は0.59%と安くはありません💦
海外ETFは、運用資産残高大手3社(ブラックロック、バンガード、ステートストリート)のものがやはり有利ですね。規模の経済を生かして、経費率を極限まで下げているので、消費者も大手3社のETFを選好するメカニズムが働いていて、中堅以下の資産運用会社はなかなか活路を見出すことが難しくなっているかと思います。
SRETの構成上位銘柄
1 | INDEPENDENCE REA(IRT) | アメリカ・住宅 | 4.2% |
2 | ARBOR REALTY TRUST INC(ABR) | アメリカ・モーゲージ | 4.0% |
3 | STOCKLAND(SGP.AX) | オーストラリア・多様 | 3.8% |
4 | VEREIT INC(VER) | アメリカ・多様 | 3.7% |
5 | GAMING AND LEISU(GLPI) | アメリカ・ホテル/リゾート | 3.7% |
6 | STARWOOD PROPERT(STWD) | アメリカ・モーゲージ | 3.7% |
7 | KLEPIERRE (LI.PA) | フランス・小売 | 3.6% |
8 | PENNYMAC MORTGAG(PMT) | アメリカ・モーゲージ | 3.6% |
9 | CHIMERA INVESTMENT CORP(CIM) | アメリカ・モーゲージ | 3.5% |
10 | BLACKSTONE MOR-A(BXMT) | アメリカ・モーゲージ | 3.5% |
うーん…銘柄名だけ見ても全く分かりませんね。構成比率が一番低い銘柄でも2.6%あるので、特定の1銘柄に比重を置く形ではなく、均等に近い感じの構成割合になっています。定期的な入れ替えもあるので、個別の銘柄についてはあまり気にする必要はないかと思います。
SRETのセクター比率

主に住宅ローンに投資するモーゲージREITの割合が過半を占めていますね。REITというと、不動産に投資して、その賃料が収入となるというイメージがありますが、モーゲージREITの場合は、ちょっと性質が異なっていて、おおざっぱに言えば、住宅ローン返済にかかわる利息収入をメインとしています。
モーゲージREITは、投資家から調達した資金をもとに、住宅ローンの元本や利息の返済を裏付けとして発行された、住宅ローン担保証券(MBS)に投資します。そして、購入したMBSを再び担保(支払いができなくなったときに提供するもの)に入れて、さらにMBSを購入します。このサイクルを繰り返して、レバレッジを高めているので、高い利回りを実現できています。
また、このMBSのほとんどは、政府系金融機関によって発行されており、元本や利息を支払う保証がなされています。ただし、金利の低下などを理由に、住宅ローンの繰り上げ返済が行われれば、予定されていた利息が得られないばかりか、新たな投資先を見つける必要が出てきます。こうしたリスクがあるのも、高い利回りとなっている理由です。
SRETの分配金(配当金)推移

分配金(配当金)は横ばいで推移しています。毎月分配となっていて、月ごとのばらつきも小さいですが、12月最終週の分配金は、運用状況次第で、ややばらつきがあるようです。
SRETの株価チャート
S&P 500との比較(2015/3~)

SRETが設定されたのは2015年3月16日です。設定来のリターンはSRETはほぼ横ばい、同期間のS&P 500は+56.7%と大きく差がついてしまっています。
もっともこのETFは、値上がり益を期待すべきものではなく、分配金(配当金)込みのトータルリターンで比較するべき銘柄ですので、トータルリターンでも比較してみますね。
S&P 500との比較(2015年末からのトータルリターン)

もっとも、2015年末のトータルリターンで比較すると、SRETがS&P 500を上回っています✨
実際には税金や取引手数料がリターンを押し下げるため、それらを考慮すると、おそらくリターンは劣ってしまうかと思いますが、思ったよりもパフォーマンスは悪くないといえるのではないでしょうか。
まとめ
高分配という意味では魅力はありますが、最大のネックは、経費率の高さでしょうか。単純計算で10年で6%近くの手数料がかかる計算になります💦
高配当株式ETFの代表格であるVYM、SPYD、HDVが軒並み0.1%を下回っていることを鑑みると、「やはり投資対象にはならないかなあ…」というのが正直な印象です。
もっとも、もう資産の積み上げをあまり意識せず、資産の取り崩し、もしくは配当金で生活するという局面であれば、毎月分配で利回りも高いこのETFは選択肢の一つに入ってくると思います✨