2020年の税制改革(給与所得控除)について考える〜税制を知ることは大切なこと〜

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確定申告の季節が始まる!

さる1月6日より令和元年度確定申告書作成コーナーが公開されましたね。まだ確定申告自体は来月からですが、早速還付額や納税額を計算している投資家のみなさまは多いのではないでしょうか。


(Featured image by:Shutterstock)

私もふるさと納税による寄附金控除、そして外国税額控除を受けるために確定申告をします✨

国税庁のHPには、所得税の税率表が掲載されていますが、確定申告書作成コーナーを利用すれば、自動で計算してくれるので便利ですね♪

確定申告をされる方なら重々承知かと思いますが、ここでいう「課税される所得金額」というのは、年収(額面)のことではありません。

支払った年金や社会保険料、さらには各種控除が引かれた金額が課税される所得金額になります。各種控除とは、例えば、すべての人が対象となる基礎控除や、配偶者の所得が低い場合に受けられる配偶者控除、病気にかかった人の負担を軽くする医療費控除などです。私も確定申告するまで、控除の話とかは全く知りませんでした💦

なお、会社員・公務員など給与所得者には、特別に給与所得控除なるものがあります。この制度が2020年より少し変わります。今日はこの話について書いてみますね♪



給与所得控除ってそもそも何?

フリーランスや自営業者などは、事業にかかった費用を経費として、収入から差し引くことができます(すなわち税金が安くなる)。

もちろん給与所得者の場合も、例えば、スーツ代やクリーニング代、バッグ代など、仕事のためにかかってくる費用というのがあるのですが、これについては、実際に使った金額に関係なく、年収に応じた一定額を経費とみなすこととなっています。これが給与所得控除です。

2020年より給与所得控除は減額、年収850万以上は負担増に

2020年の税制改正で、給与所得控除の制度が変わり、基礎控除が10万円上昇する(ただし同時に総給与が2,400万円を超えると、基礎控除が段階的に引き下げられるようになりました)かわりに、給与所得控除が10万円減額となりました。

その分、トータルでは差し引きゼロなはずですが、給与所得控除の上限が220万円から195万円に引き下げられました。このとき、年収850万円を超えると、給与所得控除が減額される(すなわち課税される所得金額が上昇する)ので、実質的に増税となります(ただし、子育て世帯などは負担増にならないよう調整されます)💦

給与所得控除は徐々に改悪されてきた

この給与所得控除ですが、かつては、給与所得額に応じて無制限に増加していました。しかし、2013年に年収1,500万円を上限(245万円分)とし、それ以降はいくら年収が増えても、給与所得控除は頭打ちになりました。

そして、その上限額は年々引き下げられてきています。

  • 2013年 年収1,500万円が上限(245万円)
  • 2016年 年収1,200万円が上限(230万円)
  • 2017年 年収1,000万円が上限(220万円)
  • 2020年 年収850万円が上限(195万円)

もっとも、財務省は、給与所得控除の高さを問題視していて、今後も継続的に引き下げていく方針を掲げています。

詳しくはPDFをご覧ください。諸外国と比較して、給与所得控除の水準が高すぎることを問題視していますね。個人的には税制はトータルバランスで考えるべきものであり、一部分をことさらに強調する姿勢には疑問を感じざるには得ませんが…💦

「じゃあどこまで下がるの?」というところですが、現実的なターゲットは、フランス(142.5万円)あたりの水準でしょうか。ちなみに、今の給与所得控除の水準にあてはめると、年収442.5万円となり、ちょうど民間給与の平均(平成30年度、441万円)と一致します。

期待される基礎控除の拡充

今後も給与所得控除が引き下げられていくのは確実な情勢ですが、それにあわせて基礎控除の拡充が期待されます。

給与所得控除は、フリーランスで働く人は、その恩恵を全く受けられません基礎控除の拡充は、すべての人の税負担を減らす方向に働くので、個人的にはポジティブにとらえています。もちろん、セミリタイア生活を考えるうえでもプラス材料です。



あとがき

今回の給与所得控除にかかわる税制改正は、私にとっては直接の影響はあるわけではありませんが、将来的には、給与所得控除が引き下げられることは確実な情勢で、そうなると私自身も無関係ではいられません。

ただし、基礎控除が上がれば、その分セミリタイア後の生活に有利になるので、そうした動きは歓迎すべきことだと思っています。

消費増税のようなインパクトある増税は多くの人が注目するところですが、給与所得控除が減額されたといっても多くの人はピンとこないかと思います。

納税は国民の義務ですが、還付金については、申請しなければ戻ってこないなど、知らなければ損をしてしまうのが税制です。税制についての知識を学ぶことは、改めて大切だと思った次第です✨

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