ETFを運営する資産運用会社についてまとめてみる♪~大手3社の寡占状態が続く~

【更新情報】(2023/3/17)
各種データを更新し、記事をリライトしました。

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ゆーたんです♪

ETFExchange Traded Funds)を運営する主要な資産運用会社についてご紹介しますね♪

目次

資産運用会社は3社の寡占状態

ETF純資産残高のシェア

1ブラックロック(BlackRock)31.9%
2バンガード(Vanguard)22.2%
3ステートストリート(State Street)11.6%
出典:BLACKROCK GLOBAL ETP LANDSCAPE(2022 年 12 月)

ブラックロックバンガードステートストリートの3社だけで占有率は65%を超えていることが分かりますね。

資産運用会社大手3社について

ブラックロック(BlackRock)

1988年に設立された会社で、運用資産残高(AUM)は8.6兆ドル(2022年12月末)と世界1位です。

iSharesというブランドを展開していて、ティッカー:BLKとしてNYSEに上場しています。東証にもiSharesシリーズとしていくつか上場していますね。

S&P 500に投資するETFであるIVVや、アメリカ・カナダ以外の先進国市場に投資するIEFA、米国総合債券に投資するAGGあたりが運用資産残高の大きいETFで、アメリカ株式市場に上場するETFは350を超えています。

iSharesの平均経費率は0.30%です(ETF.comによる)。IVVのように、運用資産残高の大きく、他社も同様のETFを出していて、激しい競争にさらされているETFは、経費率を切り下げるなどして競争力を保持する一方、特定の先進国や新興国に投資するETFなどのように、競合が少ないものは、経費率を高めに維持することで、バランスを取っています。

下記ロイターの記事によれば、資産流入額は2020、21年とバンガードに遅れをとりましたが、2022年は再びバンガードを追い抜いています。ETFのラインナップの豊富さは群を抜いており、競合が少ないETFでは、安定した収益を得ることができるので、今後も盤石な地位は揺るがないと思っています✨



バンガード(Vanguard)

1975年に設立された会社で、運用資産残高は7.2兆ドル(2022年12月末)と世界2位です。ちなみに非上場企業です。

残念ながら、東証には上場しているETFがありませんが、投資信託では楽天証券やSBI証券とタッグを組んで、VTIやVOOに連動する投資信託を出しています。

アメリカ株式市場に投資するVTI、S&P 500に投資するVOO、アメリカ除く先進国に投資するVEA、新興国株式市場に投資するVWOあたりが運用資産残高の大きいETFです。

アメリカ株式市場に上場しているETFの数は80を少し上回る程度しかありませんが、競争力のあるETFが多く、一つ一つの運用資産残高が大きいです。

競争力の源泉は圧倒的な低コストにあります。平均経費率は0.09%(ETF.comより)と非常に低水準です。多くのETFでは、経費率が年々引き下がってきています(ただ最近は経費率も下げ止まってきています。ゼロに近づいているので当然と言えば当然ですが…)

なぜバンガードの経費率は低いのか?

なぜこれだけバンガードが低い経費率を実現できているのか。それには独自のしくみがあります。

簡単にいえば、他の会社は「投資家≠株主」であり、投資家と株主の利益が一致しないことがあるのに対し、バンガードの場合は「投資家=株主」になり、投資家と株主の利益が一致するという点にあります。

例えば、ブラックロック社の場合は、私たちはETFに投資することで投資家になりますが、会社自体も株式市場に上場しているので、株式を購入して株主になることもできます。

このとき、経費率の引き下げは、投資家にとってはプラスですが、収益の減少につながるので、会社を保有する株主にとってはマイナスです。となると、どうしても株主のためにある程度の経費率を確保する必要に迫られます💦

一方、バンガード社の場合は、会社自体がアメリカのバンガードファンド・ETFによって保有されているため、そのファンド・ETFに投資している投資家が間接的に株主になります。

つまり、「投資家=株主」という関係が成立するので、こういった問題は生じません✨



ステートストリート(State Street)

ユニオンバンクという金融機関をルーツとしていて、その金融機関は1792年に設立されています。200年以上の歴史を誇る企業で、運用資産残高は3.5兆ドル(2022年12月末)と世界3位です。こちらもティッカー:STTとして、NYSEに上場しています。

運用資産残高が世界一のETFであるSPYを有します。経費率は0.0945%と競合のVOO、IVVよりも高くなっており、近年の資金流入ペースは大きく差をつけられているものの、取引量がかなり多く、抜群の流動性を誇っています。他には、金ETFであるGLDが運用資産残高の大きいETFです。

アメリカ株式市場に上場しているETFの数は140程度で、ETF.comによれば、平均経費率は0.27%です。1990年代後半頃までは、ほぼ独占状態に近いシェアを誇っていましたが、競合のブラックロックやバンガードに大きくシェアを奪われていて、シェアは長期的に下落傾向が続いています💦

もっとも、ステートストリートもただ手をこまねいているわけではありません。経費率の低いETFも多数用意し、シェア奪回を伺っています。

例えば、S&P 500とS&P中型株400指数、S&P小型株600指数を組み合わせたS&Pコンポジット1500指数をベンチマークとし、アメリカの株式市場の90%をカバーするETFであるSPTMをローンチしています。SPTMの経費率は0.03%です。ベンチマークは異なりますが、競合するであろうVTIの経費率と同じですね。

ステートストリート社は、SPYというお化けETFがあるとはいえ、上位2社と比較すると、競争力のあるETFが少なく、やや劣勢に立たされている印象を受けます。私もSPYDでステートストリート社の収益に少なからず貢献しているので、何とか踏みとどまってほしいですね。



まとめ

資産運用ビジネスは「規模の経済」が働きやすいビジネスだと考えています。「資産額が増える→経費率を下げる→さらに資産額が増える」という好循環が生まれるからです。

一方、資産額が少ない会社は、少ない資産から収益をあげなければならず、経費率を下げられない、だから資産も増えないという苦しい状況で、上位との差は広がるばかりです。

日本においても、投資信託で信託報酬の引き下げ競争がみられていますが、日本を主戦場としているだけでは、どうしても集められる資産に限界が出てきます。さらなるコストカットはなかなか難しいのではないでしょうか。

それなら、多額の資産を運用しているアメリカの資産運用会社が提供するETFを購入したほうが、「規模の経済」の恩恵を最大限享受できると考えています。できるだけ強い企業に乗っかる」これこそが、私がわざわざドル転してまで海外ETFを選好してきた理由です。

懸念材料もあります。資産運用会社が巨額の資産を運用している結果として、多くのアメリカ企業で大株主になっている点ですね。日本では日本銀行が株式を購入しすぎて、多くの日本企業で大株主になっている構図と似ていますね。今後も資産運用会社の株式保有割合が増えていくことが予想されます。将来的には何らかの規制を求める声が出てくるかもしれません。

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