【MMM】(スリーエム 、3M)の第4四半期決算振り返り〜業績は低空飛行が続く〜

ゆーたんです♪

私が保有しているスリーエム (3M 、ティッカー:MMM)の第4四半期決算が発表されました。第3四半期決算に続いての記事になります。

EPSは大幅に予想を下回る結果、収益も予想をわずかに下回るなど、率直にいって酷い決算で、株価は5%を超える下落となりました。最近もうずっと期待を裏切る決算が続いていますね💦

Financial Statement_image
(Image By:Adobe Stock)

第4四半期の決算について振り返りつつ、今後の保有方針についても少し書いてみますね。

目次

第4四半期決算ハイライト

スリーエムについては銘柄分析も書いていますので、昨年までの業績・配当・株価などのデータはこちらをご覧ください♪

(第4四半期決算)20192018前年比
収益(売上高)$81.11億$79.45億+2.1%
営業利益率16.3%22.4%-6.1pt
EPS$1.66$2.27-26.9%
調整後EPS$1.95$2.31-15.6%

収益は前年比で増加しましたが、その主因は医療技術企業のアセリティ(Acelity)の買収によるもので、為替影響などの要因を取り除いて考えると、2.6%の減収です。

営業利益率も、売上原価や販売費および一般管理費の増加により、悪化しました。

当然、EPSや調整後EPSも前年比マイナスとなっています。訴訟関連費用やリストラなど構造改革費用が重さになっています💦

部門別収益にみてみましょう。唯一収益がプラスだったのは、消費者向けのコンシューマー部門だけでした。とはいえ、わずか0.2%の増収です。キッチン用品などのホームケアやDIY製品が好調でした。

歯科用製品などをはじめとするヘルスケア部門は、収益は伸びましたが、アセリティ買収の影響を除くと0.2%の減収でした。オーラルケア部門が足を引っ張りました。

そして、第3四半期でも低調だった、作業現場向けの製品などのインダストリアル&セーフティ部門が2.8%の減収となっています。屋根に使われる色砂、個人用保護具を除き、軒並み減収となりました。

一番酷かったのが、電子部品や自動車・交通関連製品などのトランスポーテーション&エレクトロニクス部門で5.9%の減収です。なかでも、自動車・航空宇宙部門が8.4%の減収と大きく足を引っ張りました(割合はいずれも為替変動の影響を取り除いた数字です)。

こうしてみると、いわゆる製造業が第3四半期に続いて苦戦していますね。景気循環的なものもあるとは思いますが、ここまで減収が続き、その幅が大きいとなると、スリーエムの商品の競争力にも陰りがみられているのかもしれません。

地域別の売上高を見ると、具体的な数字までは分かりませんでしたが、中国は意外にも0.8%の増収なんですよね。国別で最大の売上高を占めるアメリカが2.9%の減収です。売上高に占める割合はそれほど高くないと思いますが、日本が-6.9%と足を引っ張りました💧



2019年累計の業績

2019年累計20192018前年比
収益(売上高)$321.4億$327.7億-1.9%
営業利益率19.2%22.0%-2.8pt
EPS$7.81$8.89-12.1%
調整後EPS$9.10$10.46-13.0%

2019年累計で見ると、収益・営業利益率・EPSともに軒並み前年比でマイナスでした💦

スリーエムは、2020年の調整後EPSを9.3〜9.75ドルと見込んでいます。

2020年の調整後EPS見通しで見た予想PERは17.4倍であり、高くもなく低くもなくという具合でしょうか。もっとも、業績が低迷しており、EPS見通しが切り下がる可能性もありますが…💦

スリーエムの配当は大丈夫なの?

配当の支払い状況について、EPSとキャッシュフロー(CF)の両面から見てみます。

配当EPS配当性向調整後EPS配当性向(調整後EPS)
2019年$5.76$7.8173.8%$9.1063.3%

配当性向の割合は60%強、EPSで見ても75%弱におさまっています。配当の支払いは問題ありませんが、年々配当性向が上昇してきており、年々増配余地が小さくなっている点が気がかりです。

2019年は1株あたり1.44ドル(0.08ドルの増配)でしたが、今年の業績を見る限り、前年以上の増配は困難でしょう。おそらく、2020年は1株あたり1.50ドル(0.06ドルの増配)あたりがターゲットでしょうか。

(累計)20192018前年比
営業CF$70.7億$64.4億+9.8%
フリーCF*$53.7億$48.6億+10.5%
配当金支払い額$33.2億$31.9億+4.1%
配当金支払い額/フリーCF62.4%65.6%-3.2pt

*営業CFから設備投資を除いた額

営業キャッシュフロー、フリーキャッシュフローは、予め訴訟関連費用を計上した(実際の支出を伴っていない)事情もあって、前年よりも増加しています。

配当金支払いの観点からみれば、まだまだ余裕はあります。キャッシュフローの面では、配当金支払いを心配する必要はなさそうです。



まとめ

  • 営業利益率は20%を割り込む。主力の製造業部門が需要の落ち込みに苦しんでいる。
  • 配当性向は60〜70%台。減配リスクは小さいが、増配余地は小さくなってきている。

スリーエムの決算はもうずっとパッとしないですね。第1四半期は悪夢というほかありませんでした。第2四半期は市場予想よりは良かったけれど、減収減益に変わりはありませんでした。

第3四半期の決算はそれほど悪くないと書きましたが、第4四半期の決算はかなり悪いなと思っていて、正直、売りを考えるレベルです。

連続増配60年の実績はピカイチですし、配当性向にはまだ余裕があります。もっとも、配当利回りは3%台半ばにとどまり、配当所得(インカム・ゲイン)狙いであれば、そこまで魅力的とはいえません。

高配当株投資を本格的に意識するようになってから、「スリーエムやジョンソン・エンド・ジョンソンはそれほど配当利回りが高くないし、わざわざ個別株でもつくらいなら、高配当株式ETFのVYMでも十分じゃない?」とは思っていましたが、連続増配50年超(配当王)の実績を重視し、少ない数ながらも保有を続けてきました。

しかし、第4四半期の決算は、ジョンソン・エンド・ジョンソン、スリーエムともに満足できるものではありませんでした。それでいて、割安感もなく、配当性向は余裕があるとはいえ、配当利回りもそこまで高くない。

つまり、個別株で保有するリスクにみあったリターンが得られないと感じています。ジョンソン・エンド・ジョンソンはともかく、スリーエムは、業績改善の兆しがなかなか見えてこないこともあり、今回の決算で売り目線に傾いています。

すぐに売ることはしませんが、買い増しは見送り、動向を見守りたいと思います。

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