ゆーたんです♪
サブスクリプション(定額制)の先がけ的な存在である、Adobe(アドビ)の銘柄分析です✨
Adobe(アドビ)ってどんな会社?
アドビ(Adobe Inc.、ティッカー:ADBE)は、カリフォルニア州サンノゼに本社を置く、1982年に設立された企業で、ソフトウェアの開発・販売を手がけている企業です。
もともとは、アドビシステムズという会社名でしたが、2018年10月に現在の社名に変更しています。
パソコンやOSに関係なく、元の文書を表示できるという特性から、今日ではデジタル文書のフォーマットとして定着しているPDFも、もともとはAdobeが開発したものですね✨
2019年の収益は111.7億ドルで、クリエイティブ系ソフトウェアのCreative Cloud(クリエイティブ・クラウド)が最大の収益の柱です。
そのほか、顧客体験向上のための企業向けサービスであるExperience Cloud(エクスペリエンス・クラウド)、PDFの他フォーマットへの書き出しや直接編集が可能になる作業効率化ソフトウェアのDocument Cloud(ドキュメント・クラウド)で三本柱を構成しています。
Adobe(アドビ)の業績・財務
収益、営業利益、純利益
収益は2011-14年にかけてほぼ横ばいで推移していましたが、それ以降の収益の伸びが著しく、5年平均成長率(2014-19)は+21.9%という驚異的な数字です。
営業利益率も2013-14年を境に急回復していて、30%を突破してきています。これだけ業績が成長している背景には、それまでの売り切り型のビジネスモデルから、サブスクリプション(定額制)型へのビジネスモデルの転換が背景にあります。
2014年に50%だったサブスクリプションの割合は、2019年には89.5%まで上昇してきています。
Adobeの収益を支えているCreative Cloudですが、かつてはCreative Suiteという名前で、売り切り型のソフトウェアでした。
1~2年間隔で新製品が発売されていたのですが、一度購入さえしてしまえば永続的な利用が可能でしたので、新製品が出ても、以前のバージョンの製品を引き続き使っているクリエイターさんも多かったです。
しかし、現在では売り切り型のCreative Suiteは提供しておらず、既にサポートも終了しています。Windows 10でも、以前のバージョンが使えるようですが、将来的に使えなくなるのも時間の問題でしょう💦
パソコンのOSでWindowsが世界標準となっているように、クリエイティブ系ソフトウェアはAdobeが世界標準としての地位を確立しています。Adobeの優位性はしばらく揺るがないかなあと思います。
Adobe(アドビ)の部門別収益(2019)
Adobeは、事業を3つの部門に分類しています。
デジタルメディア部門は、Creative CloudとDocument Cloudで構成されています。
Creative Cloudは、Adobe全体の収益の58%を占めていて、先ほど述べたようにクリエイティブ系の仕事をするには欠かせないソフトウェアです。
画像編集ソフトのPhotoshop(フォトショップ)や、図版やイラスト作成ソフトのIllustrator(イラストレーター)、動画編集ソフトのPremiere Pro(プレミアプロ)、レイアウト作成ソフトのIndesign(インデザイン)などが含まれます。
Document Cloudは、Adobe全体の収益の11%を占めています。なお、Creative Cloud・Document Cloudが収益に占める割合は、過去3年間で大きな変化はありません。
デジタルエクスペリエンス部門は、顧客体験の向上をうたったソフトウェアのAdobe Experience Cloudを指しています。
顧客の支持がなければ、企業はビジネスを続けていくことができません。顧客のデータ分析から、コンテンツ提供、マーケティング・キャンペーン展開までをワンストップで手がけています。
デジタルメディア・デジタルエクスペリエンス部門ともに、収益は右肩上がりで、2016→19年の間に収益は2倍近くにまで成長しています。
パブリッシング部門は、高品質の印刷サービスなど、レガシー(旧来)の製品・サービスであり、収益に占める割合はわずかです。
Adobe(アドビ)の地域別収益(2019年)
アメリカだけで過半数を占めていますね。その他アメリカとは、カナダなど、アメリカ大陸にあるアメリカ以外の国を指しています。
日本の収益は6.7%です。日本では、1992年以来、事業を展開しています。アメリカ以外で、唯一、単独の国としてで決算書に記載されているあたり、大きな存在感を占めていることが分かりますね✨
EPS、BPS、ROE
収益の伸びに合わせて、EPS(1株あたり利益)も順調に右肩上がりとなっています。特殊要因を除いた調整後EPSの成長率は、直近5年(2014-19)で+62.5%というありえないくらいの高成長です。経営の効率性をあらわす指標であるROE(自己資本利益率)も上がってきていますね✨
BPS(1株あたり純資産)も、EPSほどのペースではありませんが、順調に積み上がってきています。
キャッシュフロー(CF)
IT企業だけあって、設備投資はほとんどかかっておらず、営業CFの大部分がフリーCFという理想的なキャッシュフローになっています。
営業CFを収益で割った、営業CFマージンも40%付近まで上昇してきていて、効率よくキャッシュを稼げていることが分かります。
Adobe(アドビ)の株主還元状況
Adobe(アドビ)は、無配となっています。「近い将来、配当を支払うことはない」とも宣言しているので、当面は無配が続きそうな状況です。
自社株買い状況
EPSが低迷していた2013・14年の総還元性向は100%を大きく超えていますが、近年は100%を下回る水準で推移しています。2019年は自社株買いに27.5億ドルをあてていて、自社株買いを配当に回したと仮定すると、その利回りは1.7%になります(2019年末の株価水準で算出)。
Adobe(ADBE)の株価チャート
ADBE VS S&P 500(1986/8~)
S&P 500が横ばいに見えるくらいの強烈な上がり方ですね。もっとも、これだけ上昇していたら、私だったら途中で売ってしまいそうな気がします…(笑)
ADBE VS S&P 500(直近5年)
直近5年で見ても、S&P 500を大きく上回る上昇率を記録しています。これだけ業績が急上昇していれば、人気が出るのも頷けますね。
Adobeがサブスクリプションサービスを始めたのは、2012年でした。その時から株価は10倍以上(テンバガー)になっています✨
まとめ・所感
Adobe(アドビ)は無配なので、本来ならば投資対象外ですが、私自身も仕事柄、PhotoshopやillustratorなどのAdobeソフトウェアはよく使っています。
クリエイティブ系ソフトウェアでは世界標準としての地位を確立していて、他の追随を許さないAdobeの強さは嫌というほど実感しているので、今回記事としてまとめてみました。
もっとも、記事執筆時点の実績PERは46.5倍(調整後EPSベース)であり、いくら成長企業とはいえど、ここから買いを入れるのは勇気がいります。
個人的には配当が出るようになってから買いたいと思っていますが、「自分が普段から使っているサービス」の一つであることには間違いないので、引き続き株価動向や業績をチェックしていきたい企業の一つです✨
(Featured Image by:ShutterStock)