ゆーたんです♪
私のポートフォリオは99%以上が外貨建て資産で構成されています。現金をほとんど持たないフルインベストメントなので、日本円の比率は1%以下です。
外貨建て資産を保有することには為替リスクがあります。例えば、600万円を1ドル=120円のときにドルに替えて、5万ドルを運用、1年後に5.5万ドルになりましたが、為替が1ドル=100円と円高にふれた場合、円建ての資産額は550万円となってしまいます。このように為替相場が変動することで、保有する外貨建て資産の円換算した評価額が上下する可能性があることを為替リスクといいます。
為替リスクが怖ければ、資産をなるべく日本円で持つことが正解になりますが、私はむしろ逆で「日本円を持つことだけのリスク」を強く意識しているがゆえ、資産のほとんどを外貨建てにしています。今回はその理由について書きますね。
日本円の弱まる「安全通貨」として性質
日本円といえば、株価が急落した時など、投資家心理が悪化した時に買われる傾向がある「安全通貨」としての性質を強く持っていました。
私は2014年にFXを始めたのですが、この頃は、日銀の異次元緩和により円安が進んでいたとはいえ、私自身も日本円は「安全通貨」というイメージを持っていました。
例えば、2016年6月にはイギリスのEU離脱を問う国民投票が行われたのですが、当初の予想に反してEU離脱が優勢となったことで、世界経済の先行き不安が広がり、強烈な円高が進んで一時1ドル=100円割れとなったことをよく覚えています。
しかし、2020年のコロナショックでは、3月上旬に一時1ドル=101円台をつけたものの、株価が最安値をつける前にあっという間に為替は反発してしまいました。そして、22年のロシアのウクライナ侵攻では、日本円も買われてはいるものの、それ以上にドル買いが強くて(地理的にも離れているというのも大きいでしょうが)、1ドル=117円台をつけました。
リスク回避の局面でも、日本円が買われなくなってきていることから、「少しずつ日本円の「安全通貨」としての性質は失われてきているのかな」と感じます💧
日本円の価値は1970年代に逆戻り
私は長期的には(実質的に)円安が進むと考えていて、2019年8月の下記記事では「さらに円安が進む可能性がある」と書きました。

どうしても私たちは為替レートの見た目の数値(=名目値)に引っ張られてしまいますが、その数値は物価変動の影響を大きく受けています。
為替レートが1ドル=100円と仮定します。翌年の日本の物価上昇率が0%で、アメリカの物価上昇率が10%だった場合、アメリカではそれまで1ドルで買えたジュースも1.1ドル出さないと買えなくなります。翌年の為替レートが変わらず1ドル=100円のままでも、円の購買力は低下していることになります。
物価変動の影響を取り除き、対象となるすべての通貨と日本円との2か国間の為替レートを、貿易額などではかった相対的な重要度で重み付けして、算出したものが実質実効為替レートになります。実質実効為替レートは「真の通貨の実力」を表した指標といえます。
実質実効為替レートの1970〜2023年2月までのグラフを載せますね。

新型コロナウイルスの流行以降、円の価値が急速に下がっていることがよくわかります。日本円の価値は1970年代に逆戻りしてしまっていますね。
そのせいか、2021年に入って、「安い日本」をクローズアップした記事をよく見かけるようになりました。6月には日本経済新聞が特集も組んでいます。以前ならあまり見かけなかった実質実効為替レートのグラフもよく見かけるようになりました。

この実質実効為替レートですが、2022年1月には、2015年6月につけた最安値を突き抜けてしまいました(この水準は日本銀行の黒田総裁が「これ以上の円安はありそうもない」と牽制した水準です)。

実質実効為替レートの最低値は1970年8月の73.45です。一時期151円台まで円安が進んだ2022年10月は73.7となりましたが、記録更新はかろうじて免れました。しかし、依然として歴史的な「円安」水準であることに変わりはありません。
実際の需要から見ても円高は起こりにくくなっている?
「既にこれ以上の円安はありそうもない」という水準を突き抜けてしまった日本円ですが、円高要因がないわけではありません。それは金融政策の方針転換です。
米国やユーロ圏をはじめ、諸外国の中央銀行は少しずつ金融引き締めに動いていますが、日本銀行は2013年以降「物価上昇率2%」の目標を達成するため、黒田総裁のもと、大規模な金融緩和を続けてきました。
ただ23年に植田総裁が就任したことで、そう遠くないうちに、現状の金融政策は少しずつ修正されていくことになるでしょう。もっとも、持続的な円高が続くかどうかは、あくまで個人的な考えで恐縮ですが、かなり疑問です。
こちらは貿易・サービス収支のグラフになります。

かつての日本は貿易・サービス収支は黒字のことが多かったのですが(それで貿易摩擦が深刻化するほどでした)、2011年以降は、赤字になる年も増えてきています。日本における発電量の80%以上が火力となっていて、燃料費が重くのしかかっていることが主な要因です。22年は燃料費の高騰や歴史的な円安となり、貿易赤字は過去最大となりました。
貿易・サービス収支が赤字ということは、外貨を受け取るよりも支払うことが増えるので、円を外貨に変える動きが強まり、円安要因にもなります。第一次所得収支(海外投資で得た利子や配当金)は大幅な黒字となっていますが、これらは残念ながら円にも戻されることなく、海外で再投資されるケースが多いと思われます。
もちろん、為替変動は実際の需要だけで決まるものではありませんが、実際の需要から見ても、円高が起こりにくくなっているという事実は意識しておきたいです。
あとがき
(Featured image by:Shutterstock)
円安が進んだことで含み益も大きく膨らんでいますが、正直複雑で、むしろ私は「このまま円の価値がダラダラと下がっていくんじゃないか」って恐怖すら覚えます。その背景にあるのは、急速に進む人口減少と停滞する日本経済への危機感です。
2021年頭は1ドル=103円台で、この頃は含み益もほとんどありませんでしたが、むしろその頃のほうが、より多く円をドルに換えられたので、はるかに嬉しかったですね笑
私には、海外で働けるだけのスキルもなければ、勇気も度胸もありません。また、海外に移住することも考えていません。そのため、次善の策として、外貨の比率を極力増やしています(もちろん日本円で給与収入が入ってくることも大きいです)。
2022年は1ドル151円台まで円安が進みました。あらためて日本円だけで資産を持つことのリスクを強く意識した次第です。
特に日本はエネルギーや食料など、人々が生活していくうえで不可欠なものの多くを輸入に頼っています。急速な円安が進めば、これらの価格も大きく上昇し、生活もますます苦しくなってしまいます。もちろん円高になれば、外貨建ての資産は含み損にはなりますが、その場合は、エネルギーや食料の価格は低く抑えられることになります。
私のように外貨建て比率99%は極端ではありますが、リスクを回避するという意味でも、外貨建ての資産の比率を高めておくこと、例えば、S&P 500や全世界株式指数に連動する投資信託やETFに資産の一部を割り当てるなどの方法が有効ではないかと考えています✨