【QYLD】 〜ボラティリティを友達に。利回り10%も狙える高配当ETF♪〜

ゆーたんです。

最近、高配当株投資家さんの人気を集めている、高利回りETFであるQYLDについて分析します♪

目次

QYLDってどんなETF?

NASDAQ100(ナスダック100)について、カバードコール戦略をとることで、下落リスクを軽減しながら、魅力的な収入を提供するETFです。カバードコール戦略については、後ほど説明します♪

提供しているのは、アメリカのGlobal X(グローバル X)社です。2008年設立と歴史の浅い企業です。2018年に、韓国の金融サービスを提供する企業である未来アセット(Mirae Asset)に買収されました。以前分析したSRETなど、高利回りのETFを数多く提供していますので、高配当株投資家さんにはなじみのある会社かもしれません✨

QYLDの基本情報

純資産額69.3億ドル(約8,385億円)
分配金(配当金)(TTM)2.850545ドル
分配金利回り(2021年の実績値ベース)13.71%
経費率0.60%
設定日2013/12/11
(出典:Global X HPより作成)

カバードコール戦略って何?

そもそもコールって?

まず初めに「コール」が何かについて説明する必要がありますね。ここでいう「コール」とは、「コールオプション」のことです。オプション取引とは、株などの金融商品を特定の日に特定の価格で買う(売る)権利を得る取引を指します。買う権利はコールオプション、売る権利はプットオプションと呼ばれます。

Apple株を例にして説明します。
価格は3/23現在165ドルですが、「5月末に170ドルで買う権利を得る」これこそがコールオプションのイメージです。5月末時点で株価が170ドルより下であれば、現物をそのまま購入すれば良いし、株価が170ドルを超えていれば、コールオプションを呼び出してApple株を買えば良いことになります。

この話だけ聞くと、コールオプションはいいところどりの制度に見えますが、もちろんそんなはずはなくて、実際にはオプションプレミアムという対価(手数料)を支払ってその権利を購入することになります。

このオプションプレミアムは権利行使価格の高低で変動します。先ほどのApple株の例で説明しますと、5月末に170ドルというのは到達可能性が低くないように思えますが、5月末に185ドルとなるとちょっと怪しくなってきますよね。このような時は、そもそも権利を行使される可能性が低いので、オプションプレミアムも低くなります。逆に権利を行使される可能性が高いと、オプションプレミアムも高くなります。

上記は「同じ金融商品」におけるオプションプレミアムの変動のお話でしたが、そもそも「異なる金融商品」であれば、オプションプレミアムも変動します。その大きな要素がボラティリティ(変動幅)なのですが、このお話はのちほど触れますね。

カバードコール戦略とは?

このコールオプションを売る側は、オプションプレミアムを得る代わりに、オプションの買い手の要求があれば、その金融商品を権利行使価格で提供する義務が生じます。そのため、その金融商品が予想を超えて値上がりしてしまった場合、売り手は大きな損失を被ります。それをカバーするのがカバードコール戦略です。

現物を保有して、コールオプションを売ることで、権利行使価格以上のキャピタルゲイン(値上がり益)を諦める代わりに、オプションプレミアムの確実な獲得を目指す戦略になります。

先ほどのApple株の例で説明しますね。
Apple株の権利行使価格($170)以上に値上がりして、$180となった場合、Apple株を$170で引き渡さなければならないので、$10の値上がり益は放棄することになりますが、オプションプレミアムは受け取ることができます。

逆に、$160になった場合、Apple株を引き渡すことはなく、Apple株を保有し続けます。株価は下がりますが、オプションプレミアムの分は受け取るため、下落分の一部を補填することができます。これがカバードコール戦略です✨



QYLDの分配金(配当金)推移

QYLD Distribution 2014-21
(出典:Global X HPより作成)

QYLDは毎月分配のETFとなっています。分配金は年によってバラツキがみられていますね。

毎月の分配金は、オプションプレミアムの半分、もしくはNAV(基準価格)の1%のうち、いずれか低い方となります。なので、理論上は分配金利回りの上限は(単純計算で)12%となりますね(オプションプレミアムの余剰分は再投資されます)。

また分配金には現物保有分からの配当も含まれます(ただし無配株が多いNASDAQ100なので、その額はそれほど大きくありません)。

なお、年末の分配金はキャピタルゲインを分配することがあるため、この限りではないそうで、実際に2021年末の分配金はこのキャピタルゲインが$0.499含まれています。結果的に21年の分配金を大きく押し上げています。

QYLDのオプションプレミアム推移

QYLD Option Premium 2019-21
(出典:Global X HPより作成)

分配金の原資となるオプションプレミアムの推移について見ていきます。2020年の3月のコロナショック時のオプションプレミアムがすごく高くなっていますね。このコロナショックの時は、値動きが不安定でボラティリティ(変動幅)が大きい時でした💦

上記はNASDAQ100のボラティリティ指数のチャートです。見ての通り、オプションプレミアムにほぼ似たような値動きをしていることがわかりますね。ボラティリティとはかなり連動しているといえそうです。

ボラティリティが高い時というのは、相場の急落局面であることが多いです。このときにオプションプレミアムが大きくなるということは、急落局面にはかなりの優位性を発揮すると思われます✨



QYLDの株価チャート

分配金利回りの高さゆえ仕方がないのかもしれませんが、株価は下落トレンドを形成しています。

QYLDの分配金ポリシーには、先ほど述べたように「NAV(基準価格)の1%以内」という事項があります。株価が下がれば、それだけ分配金は減ってしまうことになるのが、ちょっと気がかりですね。経費率が0.6%というのも影響しているでしょうか💧

QYLDのトータルリターン

※2013年12月31日~22年3月23日の配当を再投資した場合のリターン。税金や手数料は考慮しない

NASDAQ100に連動する指数であるQQQや、高配当株ETFの代表格であるVYMと比較してみました。2014〜20年までのトータルリターンはVYMとほぼ同等でした。配当にかかる税金や配当再投資の手数料を考慮すると、差が広がってしまうかと思いますが、この結果は意外でした。

特にコロナショックでVYMとのリターンが大きく縮まっています。コロナショックでNASDAQ100の下落幅が高配当株や市場平均と比べても大きくなかったこと、そしてカバードコール戦略のオプションプレミアムがリターンを底上げしたことが背景にあります。しかし、2021年の上げ相場にはついていくことができず、VYMとはやや差が開いています。

NASDAQ100に連動するQQQとは大差がついていますね。NASDAQ100への投資は、大きなキャピタルゲインを狙えますが、カバードコール戦略の性質上、そのキャピタルゲインを十分に享受することはできません。NASDAQ100が横ばい、マイナスで推移した時でないと、NASDAQ100のリターンに追随するのは難しそうですね。



まとめ・私の保有状況・所感

  • 分配金利回りは驚異の10%超。分配金の主な原資はオプションプレミアムで、配当とは本質的に異なる
  • オプションプレミアムはボラティリティが高いほど高くなる傾向。急落局面など弱気相場には強いが、値上がり益が制限されるため、強気相場には弱い
  • 経費率は0.60%とやや高め。株価は下落トレンドであり、この傾向が続けば分配金が減少する恐れも

私はQYLDを保有していません。

お恥ずかしながら、Twitterやブログに復帰するまで、このETFの存在を知りませんでした💧

何といっても10%を超える分配金利回りが魅力です。ただその主な原資はオプションプレミアムという一種の手数料であり、配当とは全く異なるものであることは把握しておきたいです。

現物から得られる配当もあるとはいえ、大部分はオプションプレミアムからなので、企業の利益が増加したからといって、QYLDの分配金が増えるという性質のものではありません。

NASDAQ100に投資しているETFではありますが、値上がり益が制限されることもあり、情報技術セクターの将来性を信じるなら、素直にNASDAQ100に連動するETFであるQQQを買ったほうがよいと思います。言い換えれば、世界経済の成長の果実を存分に享受したいのであれば、株式ETFを購入したほうがベストではないかと考えています💧

もっとも、株式から得られる値上がり益(キャピタルゲイン)や配当(インカムゲイン)だけでなく、収益源を多様化させたい場合には、とても意義のあるETFだと考えています。

コロナショックやリーマン・ショックなどの急落局面の到来で、株価が急落し、配当が削減されても、オプションプレミアムが分配金という形で支えてくれます。そういう意味ではNASDAQ100が弱気相場入りした現在は購入の機会なのかもしれません。

気がかりなのは、経費率(0.60%)ですね。特殊なETFの性質上、ある程度の経費率は仕方がないかもですが、1.000万投資していたら、単純計算で毎年6万円の費用がかかります。高配当株ETFの代表格であるVYMは毎年6,000円ですから、その差は大きいです。その点には注意ですね💧

情報開示:この記事は私自身が書いたものであり、私の意見を表しています。私はこの記事から報酬を受け取っておらず、この記事で言及されている会社と直接のビジネス関係はありません。

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