ゆーたんです♪
保有株の一つであるT(AT&T)がスピンオフされました。私の口座には本日付でWBD(ワーナー・ブラザーズ・ディスカバリー)が一般口座に入庫されています。
保有株のスピンオフがあると特定口座で保有していたとしても、一般口座に払い出されてしまうため、税金の扱いが複雑になります。
私は今までにスピンオフ関連の取引を3回経験していきました。製薬大手のPFE(ファイザー)、大手IT企業のIBMについては、スピンオフ前に売却して買い戻したのですが、製薬大手のMRK(メルク)は特定口座で保有していたために、一般口座への払い出しを経験することとなりました。
その時に税務署に税務相談を行い、スピンオフ関連の税金の扱いについても確認したので、今日はその件について書ければと思います。
以下の記述は私がMRK(メルク)のスピンオフの件で税務署に確認した内容になります。税制については、ご管轄の税務署やお住いの地方自治体などにて最新の情報を必ずご確認ください。
まずは結論から♪
【スピンオフ元株式の取得金額】
変更なし
【スピンオフされた株式の扱い】
・現地では非課税取引(10%の源泉徴収なし)
・国内ではみなし配当所得扱いで、分配金額全額に税金(20.315%)がかかる
【スピンオフされた株式の分配金額(取得金額)】
株式分配数×取引開始日前日の終値×取引開始日前日の為替レート(TTB)※小数点以下切り捨て
以下具体例で、詳しく解説していきますね。
MRKのスピンオフはどうだった?
2021年6月3日、MRKのスピンオフで、女性の健康などを扱う製薬会社、OGN(オルガノン)が誕生し、MRK10株に対して、OGN1株が分配されました。
私の場合は、MRKを60株保有していたので、OGNが6株付与されることになります。この場合の取得の計算方法は、次のようになります。
6×35.26(2021/6/2のOGNの終値)×108.65(2021/6/2の為替レート、TTB)=22,985.994
小数点以下は切り捨てなので、22,985円となります。この金額がスピンオフされた株式の取得金額になり、同時に課税対象となる税金額となります。
スピンオフ元株式の取得金額は?
先に書いたように、スピンオフされた株式は、みなし配当所得扱いで課税対象となるため、スピンオフ元の株式の取得金額には変更がありません。
ただし、スピンオフ元の株式が一般口座に払い出されてしまった場合、取得金額が0円になってしまうため、自分で取得金額をメモしておく必要が出てきます。
私の場合は、MRKを60株保有していて、取得金額は合計508,346円でした。1株あたりの取得金額は8,472.43円となります。
しかし、税法上の利益は、取得金額を切り上げて計算します。なので、私の場合ですと、1株あたりの取得金額は8,473円、つまり取得金額の合計は508,380円となります。
私が口座を解説している楽天証券ですと、一般口座に払い出された場合は、「特定口座払出通知書」が郵送で送られてきます。こうした書類はもちろんのこと、取引履歴のスクリーンショットやメモなどは保存しておくことをおすすめします。
取得金額がわからなくなってしまっても、みなしの取得金額を算出することが認められています。国税庁のサイトでは以下のように説明がされています。
譲渡した株式等が相続したものであるとか、購入した時期が古いなどのため取得費が分からない場合には、同一銘柄の株式等ごとに、取得費の額を売却代金の5パーセント相当額とすることも認められます。実際の取得費が売却代金の5パーセント相当額を下回る場合にも、同様に認められます。
国税庁HP
売却代金の5%ということは、例えば50万円で売却した株式の取得費は2.5万円ということになってしまいます。47.5万円分が利益扱いとなって税金がかかってしまうことから、必ず記録は残しておくようにしないとですね💦
(余談)私の税務相談記
私はMRK(メルク)がスピンオフされたことを踏まえ、税務署にアポイントをとって税務相談に赴きました。相談自体は無料で可能です✨
スピンオフの前後で根本的な企業価値が変化したわけではありません。スピンオフ元の株式は、スピンオフ後、スピンオフされたビジネスの価値の分だけ株価が下落することになります。
だから、私も初めは、MRKの取得金額(508,380円)を以下のように按分して計算すればよいのかな?と考えていました。
MRKの6/2時点の株価(75.87ドル)×保有数(60株)=4,552.2ドル
OGNの6/2時点の株価(35.26ドル)×保有株(6株)=211.56ドル
508,380×4552.2/(4552.2+211.56)=約485,803円
508,380×211.56/(4552.2+211.56)=約22,577円
実際に所轄税務署の担当者の方からも、最初はそのような説明を受けました。
しかし、色々と調べていく中で、大和証券のPFE(ファイザー)のスピンオフのプレスリリースにもあるように、「そもそもスピンオフされた株式は課税対象になるのではないか?」という疑問にたどり着き、その件も合わせてお話ししたところ、国税庁に確認しますとのことでした。
後ほど、国税庁からの照会結果として、分配金額はみなし配当所得扱いで課税対象となり、取得金額は株式分配数×取引開始日前日の終値×取引開始日前日の為替レート(TTB)※切り捨てになるとの説明を受けました。大和証券のプレスリリースと同じ内容になります。
AT&Tのスピンオフはどうなるの?
AT&Tの事例は、製薬大手PFE(ファイザー)がジェネリック部門を切り離して、マイランと合併してVTRS(ヴィアトリス)になったケースと類似しているので、同様に、スピンオフで分配された株式はみなし配当所得扱いで税金がかかるものと理解しています。
私の場合ですと、AT&T株式を160株保有していますので、分配金額(課税対象額)は以下のようになります。
株式分配数(1株あたり0.241917株)×
WBD取引開始日前営業日(2022/4/8)の終値(24.43ドル)×
取引開始日前営業日(2022/4/8)の為替レート(TTB)(122.79円)
=116,110円
取得金額の計算も同様になりますが、AT&Tのように分配株数が半端な場合は、実際の株式入庫の際に株式数の端数は売却されてしまうので、株式分配数は整数で計算する必要があります。
私の場合は113,990円となります(NISA口座でAT&Tを保有していたため、端数の売却益は無視して考えています)。
なお、為替レートは下記サイトで確認できます。
もっとも、私の場合はAT&TをNISA口座で保有していて、楽天証券の場合はスピンオフ後もNISA口座で継続保有になります。NISA口座の場合ですと、スピンオフされた株式に対する税金はかからないので、スピンオフされた株式の取得金額だけを意識すればよいことになります(AT&Tのスピンオフを見越して、AT&TをNISA口座で保有したという事情もあります)。
2022年度の確定申告も上記計算で済ませました。当面はスピンオフが発生した場合はMRKやAT&Tの前例に倣って税額を算出していく予定です。
あとがき〜スピンオフが決まっているJNJをどうする?〜
私の場合は米国株式を50銘柄超保有しているので、どうしてもスピンオフの問題から避けては通れません。
私の保有株では、まだ先の話ではありますが、2023〜24年頃に製薬大手のJNJ(ジョンソン・エンド・ジョンソン)の消費者部門切り離しが控えています。絆創膏のバンドエイドで有名ですよね(ちなみにバンドエイドは一般名詞っぽいですが、登録商標にあたります)。
このほかに、MMM(3M、スリーエム)やMDT(メドトロニック)もスピンオフを控えています。あくまで個人的な印象ですが、ヘルスケア銘柄はスピンオフが多い印象ですね。
現状の税制ですと、スピンオフされた株はみなし配当所得扱いとされ、課税対象になります。ということは、切り離されるビジネスが大規模であるほど、税金が重くのしかかることになります。
スピンオフ元の取得金額は変化しないので、見た目上の損益は悪化します。そのため、スピンオフ元の株式を売却して買い戻すことで相殺することも可能ですが、売買手数料もかさみますので、あまり望ましいことではないですよね💧
現在、私はJNJを特定口座で保有しています。一般口座の場合は売買益は自分で計算して申告する必要がありますので、スピンオフ前に売却、スピンオフ後に買い戻すのが一番面倒がありません。
ただ私の場合は、スピンオフされた消費者部門(Kenvue社)の株も配当次第にはなりますが、保有する方向で考えていますので、一般口座で保有し続けることも検討しています。一般口座に払い出されたとしても、配当は特定口座扱いとなり、特定口座の年間取引報告書にも記載されますので、売却しないのであれば、さほど気にはなりません。
幸いにして、まだ時間がありますので、株価の状況やスピンオフの概要を注視しつつ、決定できればと思っています✨
(Featured image by:Shutterstock)