ゆーたんです♪
金融庁の令和5年度税制改正要望がまとまりました。その中には、メディアなどで報じられたNISA制度についても記述されています。
(Featured image by:Shutterstock)
今日はその点について記事を書きますね。
金融庁の要望とは?
(出典:金融庁)
一般投資家からの要望が高かった、投資可能期間の恒久化や非課税保有期間の延長、年間投資枠の拡大という部分は、もれなく要望のポイントに盛り込まれています。
また「簡素で分かりやすく、使い勝手のよい制度に」と言う箇所にも注目ですね。
現行のNISA制度や2024年開始予定の「新NISA」はお世辞にも分かりやすい制度であるとはいえません(私も「新NISA」については記事を書いています)。
資料にある通り、金融庁も2024年開始予定の「新NISA」は複雑な制度と認識しているようで、刷新を求めています。
個別株投資家にとっては残念な部分も
金融庁の税制改正要望、それ自体は素晴らしいのですが、個別株投資家の私にとっては残念な部分もあります。
それは、「長期・積立・分散投資によるつみたてNISA」を基本とするという部分です。
今日においては、S&P 500やNASDAQ、All Country World Index(ACWI、通称:オルカン)などの市場平均への連動を目指す投資信託やETFへの投資(パッシブ投資・インデックス投資)が主流です。
短期的な株価の変動こそあれ、長期にわたって投資を行い、購入時期を分散し(時間の分散)、こうした市場平均に投資する(銘柄の分散)ことで、世界経済の成長を享受でき、安定的に資産を増加させることができるという事実が多くの人々に共有されてきています。
そして、現時点の「つみたてNISA」で投資できる金融商品は、長期の積立・分散投資に適した株式の投資信託(一部、東証ETFもあります)に限定されており、個別株や海外ETFを購入することはできなくなっています。
私自身もパッシブ投資・インデックス投資が最適解と考えていますし、長期・積立・分散投資という投資手法にも共感していますが、安定的な資産形成を促進する観点という名目で、対象となる金融商品を投資信託に限定したり、スポット投資を制限したりするのは、率直に言って「うーん」と思ってしまいます。
証券会社は手数料で稼ぐビジネスモデルから、資産残高で稼ぐビジネスモデルへの移行を迫られています。市場平均に連動する投資信託の保有コストはかなり低く、証券会社(販売会社)の取り分は0.01%にも満たない状況です。
それでも国民の資産が投資信託に流れれば、いくら割合が低くても証券会社に入る金額は馬鹿にならないですし、保有しているだけでお金が入ってきますので、個別株の手数料よりもはるかに安定的な収益源になります。
結局、「国内の証券会社が運用する金融商品に誘導したいだけだよね」と勘繰ってしまいます。投資信託への投資を否定するわけではないのですが、投資信託ばかり優遇することは本当にやめて欲しいです💧
成長枠投資(仮称)を設けるくらいなら…
金融庁の税制改正要望では、「一般NISA」の機能を引き継ぐ「成長枠投資(仮称)」を導入すると書かれています。
「一般NISA」を活用している私にとってはありがたい話ですが、「新NISA」では毎年102万円、非課税投資枠は510万円分が従来通りのNISA枠として確保されていましたから、それよりも枠が少なければ、私にとっては「後退」そのものです。
それに「成長枠投資(仮称)」の導入は、要望のポイントにもある「簡素で分かりやすい」制度からは離れてしまうように思います。だったら、従来の「一般NISA」を拡充した制度を別に残して欲しいです。自由な選択肢を奪ってほしくない…💧
あとがき
消費税は現役世代だけでなく、高齢世代からも幅広く税金を徴収できますが、低所得者にとっては、収入に占める消費の割合が大きく、逆進性の問題が指摘されています。
どの税金にもメリットとデメリットがあり、想定以上の税負担を負う人、負わない人が出てくるからこそ、複数の税制が組み合わされて今日の税制度が成り立っているのですが、今日の日本の税制はあまりに複雑になっている感は否めません。
公平(経済力が同じ人には同じだけの税負担を求める、経済力のある人により多くの負担を求める)を追求することは大切だけれど、税制を構築することにも多大なコストをかけている。
そして税制が複雑になればなるほど、税金を徴収するためのコストもかかるし、納税者のコストも増大する。行政にとっては仕事が増えるからいいのかもしれないけど、大きな社会損失です。
そう考えると、別にNISAなんてなくてもよくて。金融所得課税を20%から10%に減税してもらったほうがはるかにいいんですよね…望みは薄いですけれど💧
それにNISA枠が拡大されると同時に、金融所得課税が増税されるかもという懸念も消えていません。
老後資金の2000万円分は用意できるように金融税制を優遇する。だけど、拡大されたNISA枠を超えて投資できる人は富裕層だから増税という方向にもっていきたいのかなって勘繰ってしまいます。
とはいえ税制に関しては一個人がとやかく言ったところでどうにかなるものではないので、自分には自分のできることを。とにかく少しでも資産形成のスピードを加速させていければと考えています😔