【LOW】(ロウズ)〜年2桁の成長率と増配率が魅力的なホームセンターチェーン〜

ゆーたんです。

大手ホームセンターチェーンである、ロウズの銘柄分析です♪

目次

ロウズってどんな会社?

ロウズLowe’s、ティッカー:LOW)は、ノーズカロライナ州のムーアズビルに本社を置くホームセンターチェーンです。インテリア装飾用品や建築資材、ガーデニングやアウトドア用品などを取り扱っています。

2022年の売上高は970億ドルとなっていて、約1,700か所のホームセンターを運営し、30万人もの従業員を雇用しています。

ホームセンターチェーンでは、ホームデポ(The Home Depot、ティッカー:HD)についで2番手です。ロウズは市場規模を最大1兆ドルと見積もっているため、その数字によれば10%程度のシェアになります(ホームデポは15%程度です)。

2社を足しても市場シェアは25%程度という計算ですが、3番手以下はかなり規模が小さいので、ホームデポとロウズの2強で寡占市場を形成しているといってよいと思います。

(Featured image by:Shutterstock)

ロウズが設立されたのは、1921年にさかのぼります。L.S.ロウが金物や建築材料、食料品を販売する小さな町のお店をオープンしたのが始まりです。61年に上場企業となり、79年にニューヨーク証券取引所で取引を開始しました。

国際事業として、2007年にカナダに進出し、10年にはメキシコにも進出しましたが、19年にメキシコの店舗を閉鎖し、23年にカナダの店舗を売却したため、現在はアメリカ国内でのみ事業を営んでいます。あとは店舗自体は展開していませんが、インドのベンガルールにもオフィスを構えていますね。

ロウズの基本情報

セクター一般消費財(ホームセンター小売)
株価199.43
PER(2024年予想EPSペース)14.8倍
EPS成長率(2018〜24)※24年は予想21.3%
配当$4.20(四半期あたり$1.05)
配当利回り2.11%
増配年数60年
増配率(2018〜22)20.1%
S&P格付けBBB+
2023/4/5現在


ロウズの業績

収益、営業利益、純利益

グラフはIRデータより作成(以下同じ)。事業年度は2〜1月。

収益は直近5年(2019〜23)は年平均8%ペースで成長しています。

2020年の新型コロナウイルスが流行した際には、ホームセンター業界は「巣ごもり需要」にわき、ロウズも漏れなく業績を伸ばしました。感染防止のための対策用品も数多く扱っていますし、お店自体もスペースが広く、ソーシャルディスタンスを保つうえでは最適となっていたこともプラスに働いたでしょうか。

しかし、新型コロナウイルスも収束に向かいつつあるなかで、人々はコロナ禍で控えていたレジャー・旅行・各種イベントなどへの支出を増やしつつあることから、足元の業績の伸びは鈍化しています。

2023年の収益(22年2月〜23年1月)はわずか0.8%増でした。23年の事業年度は53週、22年は52週でしたから、週間ベースで比較すると0.9%減です。なお収益の5%はカナダでの事業が占めていましたが、23年2月に売却しています。

もっとも経営陣は、ホームセンター業界の将来に強気です。アメリカは住宅供給が慢性的に不足しており、修繕を要する家の割合も増加してきています。そして、人口動態の動向として、ミレニアル世代が新たな家の買い手になること、リモートワークの普及率もコロナ前と比較して上昇していることも、追い風になると考えているようです。

営業利益率は10%をやや上回る程度です。最大のライバルであるHD(ホームデポ)は2023年の営業利益率は15.2%ですから、やや劣っていますね。ただ、営業利益率は上昇トレンドを描いています。

ロウズの顧客取引回数、平均購入金額

顧客取引回数(要するに買い物回数)は、2017年以降、緩やかに減少していましたが、20年の新型コロナウイルスの流行で前年比+13.6%と急増しました。しかし、その反動で21、22年は減少しており、22年の顧客取引回数は9.4億回と18年とほぼ同水準になっています。

他方で、平均取引金額は綺麗な右肩上がりとなっています。この数字の上昇がロウズの業績の伸びを牽引しているといえそうです。

ロウズの商品別収益(2023年)

Home Décorが37%と最大の割合を占めていて、装飾やキッチン・バス、フローリングなど、インテリア・リフォーム関係の商品です。

Building Productは、建築資材や木材、資材などの商品です。Hardlinesは、ガーデニングやアウトドア用品などの商品にあたります。

割合自体は大きな変化はありませんが、過去3年のトレンドとして、Building Productsが2ポイントほどシェアを増やす一方で、Hardlinesがシェアを3ポイントほど落としています。

ホームセンター市場は、大きく2つの市場に分かれています。消費者自身が作ったり、修繕したりするDIY(Do it Yourself)、もしくは自分で材料は買うが、作業自体は誰かにお願いするDIYM(Do It For Me)向けの市場と、プロ(職人)向けの市場です。

それぞれの半々のシェアがあるとされていますが、ロウズはプロ向けはわずか25%にとどまり、ライバルのホームデポと比較すると低い数字です。それゆえ、ロウズはプロ市場の強化を目指しています。

EPS

会社発表のAdjusted EPSで見てみると、「巣ごもり特需」があったとはいえ、5年平均(2019〜23年)で年率+28.2%と強烈です。2016〜20年の平均でも年率+14.9%となっています。

23年はカナダの小売事業を終了したことに伴うコスト計上でEPSとの間にギャップが生じています。

このグラフではBPS(1株あたり純資産)については触れていませんが、ロウズはここ2年自社株買いを推し進めたこともあり、純資産はマイナス、債務超過となっています。もっとも稼ぐ力があるので、全く心配はいらないかなと✨

キャッシュフロー(CF)

設備投資はそこまで多くありません。2023年は営業CFの80%がフリーCFに変換されています。



ロウズの株主還元状況(配当・自社株買い)

ロウズの配当・配当性向・増配率

ロウズは上場企業となった1961年の時点で配当を支払っていました。翌年以降、連続増配となっているので、その記録は61年にも達しており、配当王となっています。

HPでは1980年以降の配当履歴を全て公開していますし、年間報告書に至っては何と1961年以降のものが全て公開されています(驚きです…!)。

配当性向は40%以下の水準におさえられています。フリーCFベースで23年の配当性向を計算すると35%(22年は24%)であり、問題ない水準です。会社自体は配当性向35%をターゲットにしています。

ちなみに、ライバルのHDはフリーCFベースで74%(23年)、50%(22年)なので、HDよりは余裕があるといえそうです。

ロウズは例年5月下旬に増配を発表します。増配率は安定して10%以上を記録しています。新型コロナウイルスの直後こそ8%増配となりましたが、業績の続伸を背景に直近2年は30%を超えています。

ロウズの自社株買いを含めた株主還元状況

稼いだ以上の利益を株主に還元していることが分かりますね。

配当王銘柄ではありますが、伝統的に配当よりも自社株買いが多いようです。2022〜23年と自社株買いを130億ドル以上行っています。



ロウズの株価・トータルリターン

株価推移(直近5年)

コロナショックで半値付近になりましたが、そこからのリバウンドは凄まじく、コロナショックの底値からは3倍以上になっています。コロナショックの下落で買うべき株の一つでしたね。

もっとも直近1年の株価は横ばいで推移しています。新型コロナウイルスのパンデミックがひと段落し「踊り場」を迎えているといえそうです。

2022年は金利上昇が続きました。住宅ローンの金利も上昇するので、住宅建設や購入需要は減少し、その意味でロウズにとっては逆風ですが、かえって既存の住宅のメンテナンス需要は上昇することも考えられるので、そこまで悲観的になる必要はないかな…とは考えています。

トータルリターン(S&P500(SPY)、1993/1〜)

1993年以降のトータルリターンでは、S&P 500(SPY)を圧倒していますね。こういう数字を見せつけられると、正しく株を選べば、「S&P 500なんて簡単に上回れるんじゃない?」って思ってしまいそうです笑



まとめ・私の保有状況・所感

  • 業績はもともと堅調もコロナ禍で加速。現状は「踊り場」も、今後も住宅需要や修繕需要の増加が見込める。
  • 60年以上連続増配の実績。株主還元意欲も高く、自社株買いを含めると、利益以上の額を株主に還元している
  • 2023年予想PERは14倍台。過去のPERを見る限り、割安な水準になってきている
  • 小売業界ゆえ営業利益率は低い。人手不足の状況が深刻化すれば、人材確保にリスクも

私はロウズを保有しています。

配当利回りでいえば、ホームデポが優勢ですが、バリュエーションはロウズのほうが魅力的です。私は配当利回り2.5%以上をターゲットにして投資していますが、ロウズは例外的に投資している株ですね。

PERは割安な水準になってきていますが、私個人としては、ロウズがこれからも年率10%以上のEPS成長を遂げることができるのかどうか確信が持てずにいます(2024年はほぼ横ばいの成長が予想されています)。

23年のEPS成長は+14.7%となっていますが、業績の向上よりも自社株買いによるところも大きいと考えますので投資判断は悩ましいです。とはいえ、次の増配で配当利回りが2.5%を上回ってくるようなら買ってもいいかなと考えています。

小売業界はオンラインショッピングの脅威にさらされていますが、ホームセンターのような形態は、商品を手に取って購入したいというニーズもあるでしょうから、実店舗も残り続けると考えています。

それにアメリカは人口増加も続いていますし、世帯数も当分は増えていくでしょうから、アメリカの人口や世帯数が減少に転じないうちは大丈夫かなと✨

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