【CMI】(カミンズ)〜安定配当。エンジンや発電機のリーディングカンパニー〜

ゆーたんです♪

エンジンや発電機などを製造するアメリカの大手メーカー、カミンズの銘柄分析です♪

目次

カミンズってどんな会社?

カミンズCummins Inc.、ティッカー:CMI)は、エンジンやエンジンまわりの部品、発電機・電源システムなどを製造・販売するグローバル企業です。ディーゼルエンジンで特に有名であり、数多くのトラックメーカーにエンジンを提供しています。

カミンズは1919年にインディアナ州コロンバスで設立されました。2022年の売上高は281億ドルで、7万人以上の従業員を擁し、190か国以上で事業を展開しています。

(Featured image by:Shutterstock)

カミンズの基本情報

セクター資本財(建設機械・重量輸送機器)
株価206.86
2023年予想PER10.4倍
EPS成長率(2018〜25)※23年〜は予想7.2%
配当$6.28(四半期あたり$1.57)
配当利回り3.04%
連続増配17年(1992年以降減配なし)
S&P格付けA+
※2023/5/31現在


カミンズの業績

売上高、営業利益、純利益

※グラフはIRデータより作成

売上高は増加傾向にあり、売上高増加率(2018〜22年平均)は+4.2%となっています。

トラック向けエンジンなどを提供する事業の性質上、景気変動の影響を少なからず受けます2020年は新型コロナウイルスの流行により16%の売り上げ減となりましたが、2022年は需要増により17%の売上増を達成しています。

なお、カミンズ最大の顧客はトラックメーカーのPACCAR社であり、売上高の16%を占めています。PACCAR社をはじめとする多くの大手トラックメーカーは、カミンズにエンジン生産などをOEM形式で委託しており、それがカミンズの競争力の源泉になっています(エンジン生産シェアでは2位以下に倍以上の差をつけています!)が、トラックメーカーが自社内でエンジンを開発しようとしたり、他社への切り替えを行ったりすることはリスク要因たりえます。

最大の顧客であるPACCAR社に対しては78年間もエンジンを供給しているので、そう関係が簡単に途切れるとは思いませんが(もちろんPACCAR社も一部のトラックでは、自社エンジンを使用しています)、上位4社で売上高の36%を占めているため、一部の顧客にやや売上高が集中しているリスクは意識しておきたいです。

営業利益率は10%を超える水準で安定的に推移しています。

カミンズの部門別売上高(2022年)

カミンズ最大の部門は、エンジン部門で31%を占めています。35%が大型トラック向け、32%が中型トラック・バス向け、16%が小型トラック向け、17%がオフハイウェイ車(舗装されていない道を走る能力を持つ)向けで、ディーゼルエンジンや天然ガスエンジンを提供しています。

コンポーネント部門は、エンジンメーカーやその他の顧客向けに、後処理システム、ターボチャージャー、燃料システム、フィルター、電子機器など、エンジンやパワーシステムまわりを補完する製品を提供しています。

ディストリビューション部門は、カミンズ製品の販売・サービス・サポートを提供しています。460以上の直営店、他社と提携したお店、独立系販売代理店がこの役割を担っています。

パワーシステム部門は、商業ビルやデータセンター、鉱業など、商業用や産業用の発電機や、統合電力システムを提供しています。

ニューパワー部門は、ほとんど収益を生み出していない状況ですが、2023年3月にAcceleraとして新ブランドが立ち上がりました。水素生産用の電解槽、電気バス用のバッテリーシステムや燃料電池などの開発が進められています。

カミンズの地域別売上高(2022年)

アメリカが55%を占めています。ついで中国が9%となっていますが、2020年は14%でしたので、その割合は低下傾向にあります。インドが5%となっていますが、2020年は3.4%でしたので、反対にその割合は増加傾向です。

なお、2022年のロシアによるウクライナ侵攻で、ロシア事業は無期限停止しており、1.1億ドルの費用を計上しています。



EPS、BPS、ROE

BPS(1株あたり純資産)は順調に伸びていることがわかりますね。2022年の長期債務は45億ドル、EBITDAは38億ドル、財務状況は良好であり、S&P信用格付けはA+と安定しています。

EPS(1株あたり純利益)はグラフからだとわかりにくいですが、5年平均成長率(2018~22)は+4.3%、10年平均成長率(2013〜22)は+8.5%となっています。

キャッシュフロー(CF)

営業CFが2019年以降右肩下がりになっています。売掛金や受取手形の金額、棚卸資産(在庫)が増加していることなどが要因になっています。稼ぐ力自体が衰えているというわけではありません。



カミンズの株主還元状況(配当・自社株買い)

配当、配当性向

2006年以降、連続増配となっています。業績悪化に伴い、1991年に四半期あたり55セントから5セントへの減配を発表していますが、それ以降、減配はありません。

配当性向は2017年まで上昇傾向でしたが、EPSの成長により、18年以降は50%を下回る水準で推移しています。

増配率

2017年以降は年5〜8%程度の増配が続いています。配当性向も安定していますから、しばらくはこのペースの増配が維持できるのではないでしょうか。

自社株買いを含めた株主還元状況

他の米国企業と同様に、自社株買いと配当金をバランスよく組み合わせています。株主還元も純利益を超えない水準でよくコントロールされている印象です。



カミンズの株価&トータルリターン

カミンズの株価推移

コロナショック前の高値は超えてきています。2022年に一時200ドルを割り込む水準まで売られましたが、足元では再びその水準に接近しています。

カミンズのトータルリターン(直近5年)

足元では差が詰まっていますが、直近5年のトータルリターンは、S&P 500(SPY)を上回ります。



まとめ・私の保有状況・所感

  • エンジンや発電機のリーディングカンパニーで、シェアでは競合他社に大差をつけている
  • カーボンニュートラルを目指して、2023年に新ブランドAcceleraを展開。バッテリーや水素生産、燃料電池などに投資している
  • 2006年以降連続増配で、配当利回りは3%近く、年5〜8%の増配実績。財務状況も良好
  • トラックのエンジンまわりを担うビジネスモデルの性質上、景気変動の影響を少なからず受ける
  • 顧客が一部のトラックメーカーに集中している。現状では可能性が低いものの、トラックメーカーがエンジンの外部委託を減らすことになどによる売上減のリスクがある
  • ディーゼルエンジンから電気・燃料電池エンジンに移行するなかで、カミンズの優位性が崩れる可能性

私はカミンズ(CMI)を保有しています。

2021年末にポジションを開始しました。当時、私が保有する資本財セクターは、航空宇宙産業の銘柄(ロッキード・マーティンやレイセオン・テクノロジーズ)に偏っていました。

そして、資本財セクターは配当利回り3%を超えるような株が少なく、高配当株ETFのSPYDにはあまり組み込まれていませんでした(2023年現在、複合企業のスリーエムや、大手輸送サービス企業のユナイテッド・パーセル・サービスなどが高配当株化していますが…)。航空宇宙産業だけでなく、多様化を図る意味でもカミンズを購入しました。

足元では株価は低迷気味ですが、記事執筆時点では他にも魅力的な株式が多いので、買い増しの優先度は多少下がります。とはいえ、ホルダーとして、新ブランドのAcceleraが軌道に乗り、新たな市場に進出していくこと、少しずつビジネスモデルを変化させていくことを期待しています✨

情報開示:この記事は私自身が書いたものであり、私の意見を表しています。私はこの記事から報酬を受け取っておらず、この記事で言及されている会社と直接のビジネス関係はありません。

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