久々の土曜出勤(2か月ぶり、今年6回目)が憂鬱だったゆーたんです♪
会議なので休みたくても休めませんでした、そしてブログを書くのも遅くなりました💧
それにしても、最近の「高齢者はもっと働きたいんだ!」という風潮はすごいですね。安倍首相が10月4日の所信表明演説でこんなことを述べています。
六十五歳を超えて働きたい。八割の方がそう願っておられます。
年金や医療といった社会保障の給付額は、年2兆円程度のペースで増加しています。将来的にはさらなる負担増や給付水準の引き下げが必要になるでしょう。だからこそ、一人でも多くの高齢者に働いてもらって、社会保障の支え手になってもらわないと困るという事情は理解できます。
でも、8割が65歳を超えても働きたいというのは果たして本当でしょうか。今日はそのことについて、掘り下げて書いてみますね。
(Featured image by:Shutterstock)
「8割が65歳を超えても働きたい」根拠は?
安倍首相が述べた「8割が65歳を超えても働きたい」という部分ですが、その根拠を見てみますね。以下のグラフは、高齢者(ここでは60歳以上の人を指します)に対して「何歳まで働きたいか」を尋ねたものです。
このグラフを見ると、「働けるうちはいつまでも」「70~80歳くらいまで働きたい」と答えた人の合計が79.7%となるので、「8割が65歳を超えても働きたい」というのが事実であることがわかります。
お金のために働く高齢者が増えている
しかし、このグラフには、大事な点が2つ抜け落ちています。
一つ目は、「現在仕事をしている高齢者のみを対象としている」ということです。
このグラフは高齢社会白書から作成したものですが、もともとは「高齢者の日常生活に関する世論調査」から現在仕事をしている高齢者のみを抽出して再集計しているようです。「高齢者の日常生活に関する世論調査」には、仕事をしていない高齢者も含めた、すべての高齢者を対象としたデータがあります。改めて見てみると、以下のようになります。
このグラフを見ると、「働けるうちはいつまでも」「70~80歳くらいまで働きたい」と答えた人の合計が55.3%にまで下がります。そう考えると、8割というのはやや盛った数字であり、現実的に働きたいと考えている高齢者は5~6割にとどまっていることがわかります。
そして、二つ目は「そもそも高齢者が働きたいというのは、積極的な理由(やりがいや生きがいなど)ではなく、消極的な理由(お金を稼ぐため)からではないか」ということです。
「高齢者の日常生活に関する世論調査」には該当するデータがないので、内閣府の世論調査で毎年実施されている「国民生活に関する世論調査」のデータから、働く目的として「お金を得るために働く」と答えた高齢者の割合のグラフを作成してみました。
調査対象が60~69歳、70歳以上の各世代で、1,000~1,500人とそこまで多くないため、2000年代前半にかけて多少グラフの変動幅が大きくなっていますが、21世紀以降で見ると「お金を得るために働く」と答える高齢者の割合は増加傾向にあります。
ということは、働きたい高齢者といっても、その中には「お金が足りない」という理由から「働かざるを得ない高齢者」が相当数いて、しかもその数は増加傾向にあるということが読み取れると思います。
日本の高齢者は既に十分働いている
そして、日本の高齢者は世界の中でもかなりの働き者です。65~69歳の就業率を国際比較すると、G7の中では男女ともに日本が1位であり、男性に至っては半分以上が働いています。諸外国と比較しても、働かなければ生計を維持できないという日本の高齢者の姿が浮かび上がります。
(出典:データブック国際労働比較2018より作成)
まとめ
日本国憲法第27条には「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。」とあります。
憲法に規定されているからこそ、日本にはいまだに「働かざるもの食うべからず」「労働=美徳」という考え方が根強いのだと思います。だからこそ、高齢者になっても働き続けなければいけないし、働かないことが悪かのようにいわれるのでしょうね💦
今後、年金の受給額はますます減っていきます。消費税などの税金も上がることが予想され、生活のためにフルタイムで働くことを余儀なくされる高齢者がますます増えていくでしょう。
よく「今の高齢者は昔の高齢者と比べても元気だ!」とか「昔と比べて高齢者の体力は若返っている!」だとか言われてますが、そういった事実も私から言わせれば、高齢者をもっと働かせようとするための方便にしか聞こえません。
政府が「高齢者ももっと働きたいんだ!」といえば言うほど、改めて少しでも早く経済的自由を達成しなければと強く思う今日この頃です✨