【VYM】~安定感はピカイチ!コスト・増配率・銘柄分散に優れた、実績ある米国高配当株式ETF♪~

【更新情報】(2024/2/11)
2023年データを反映、記述を見直しました。

ゆーたんです♪

2006年設定の歴史ある高配当株式ETF、VYM(Vanguard High Dividend Yield ETF、バンガード・米国高配当株式ETF)について分析します✨

目次

VYMってどんなETF?

VYMは、アメリカ株式市場のうち、予想配当利回りが市場平均を上回る銘柄を組み入れたETFです。提供しているのは、世界第2位の資産運用会社、米Vanguard(バンガード)社です♪

VYMの基本情報

銘柄数449
純資産額509億ドル(約7.2兆円)
実績PER16.0倍
EPS成長率(過去5年)10.8%
配当金(分配金)(2023年実績)3.48ドル
配当利回り(2024年1月末)3.04%
増配率(5年平均、2019〜23)5.2%
増配率(10年平均、2014〜23)6.9%
トータルリターン(5年)11.0% (S&P 500:15.7%)
トータルリターン(10年)9.4% (S&P 500:12.0%)
経費率0.06%
設定日2006/11/10
注記のないものは2023年12月末現在(出典:Vanguard HP、一部指標は独自で算出)

銘柄数は400超と高配当株式ETFにしては多めです。高配当といいながらも、実際には利回り1%台後半〜2%台前半の銘柄も多く組み入れられているので、市場平均よりも高い配当利回りで構成されているというのが適切でしょうか。歴史あるETFということもあり、総資産額も高配当株式ETFのなかでは1、2を争う水準です。

配当利回りは3%であり、米国市場の平均よりは高いですが、高配当というには微妙な水準かもしれません。

米国市場以外に目を向けると、VYMと同等、もしくはそれ以上の配当利回りを持つETFも存在します。例えば、2024年2月現在、米国株式市場以外に投資するVXUSの配当利回りは3.4%ですし、新興国市場に投資するVWOの配当利回りは3.6%にまでなっています。

VYMの構成上位銘柄

1JP Morgan Chase & Co.(JPモルガン・チェース)金融3.5%
2Broadcom Inc.(ブロードコム)情報技術3.4%
3Exxon Mobil Corp.(エクソンモービル)エネルギー2.9%
4Johnson & Johnson(ジョンソン・エンド・ジョンソン)ヘルスケア2.7%
5Home Depot Inc. (ホームデポ)一般消費財2.5%
6Procter & Gamble Co.(P&G)生活必需品2.4%
7Merck & Co. Inc.(メルク)ヘルスケア2.0%
8AbbVie Inc.(アッヴィ)ヘルスケア1.9%
9Chevron Corp.(シェブロン)エネルギー1.8%
10PepsiCo Inc.(ペプシコ)生活必需品1.7%
2023年12月末現在(出典:Vanguard HPより作成)、リンク先は銘柄分析記事に飛びます

収益性・成長性・財務基盤の三拍子揃った企業の銘柄(いわゆるブルーチップとも呼ばれます)がずらりと並びます。

米国・世界を代表し、かつ安定した配当・増配が期待できる「超優良企業」に一括して投資できるというのがVYMの最大の魅力です✨

昨年と比較すると、糖尿病薬のリーダーであるイーライ・リリーが株価上昇により外れました。現在、構成銘柄2位のブロードコムは配当利回りが1%台なので、次のリバランスで外れる可能性もありそうです。

VYMには含まれていない主な銘柄

VOO(S&P 500)の構成上位25銘柄と比較してみました。VYMの構成上位銘柄に入っていないのは、下記の16銘柄です。

金融Berkshire Hathaway(バークシャーハサウェイ)
情報技術Apple(アップル)、Microsoft(マイクロソフト)、Alphabet(アルファベット)、NVIDIA(エヌビディア)、Meta Platforms(メタ・プラットフォームズ)、Visa(ビザ)、Mastercard(マスターカード)、Adobe(アドビ)、salesforce(セールスフォース)、AMD(アドバンスド・マイクロ・デバイシズ)
ヘルスケアUnitedHealth(ユナイテッド・ヘルス)、LLY(イーライ・リリー)
生活必需品Costco(コストコ)
一般消費財Amazon(アマゾン)、Tesla(テスラ)
2023年1月末現在。セクター分類はICBベンチマークによるため、電気通信など、セクター分類が一部異なります。

情報技術の大半の銘柄がVYMには含まれていないことがわかります。ちなみにVYMの構成1位銘柄であるJPモルガン・チェースはS&P 500だと9番目になります。



VYMのセクター比率

2023年12月末現在。セクター分類はICBベンチマークによる(出典:Vanguard HPより作成)

パッと見た感じ、セクター間のバランスはとれているように思います。アメリカ株式市場に投資するVTIと比較すると、金融、生活必需品、エネルギー、公益の割合が高くなっています。逆に、情報技術の割合は大幅に低くなっています。

生活必需品や公益など、ディフェンシブなセクターの割合が多くなっていますが、景気に敏感に反応するセクターである金融セクターの割合が多い点には注意する必要があるかな…と思います。

特に情報技術セクターは、VYMには時価総額上位銘柄であるビッグテックが一切含まれていないこともあり、VTIとは構成割合に大きな差がついています。リーマン・ショック以降の株価上昇を牽引したセクターの比率が少ないことを「どう考えるか?」ですね

なお、不動産セクター(REIT)はVYMにはほぼ含まれていません。

VYMの経費率推移

VYM_Expense_2011-19r
(出典:Vanguard HPより作成)

2023年2月末現在、VYMの経費率は0.06%です。100万円投資しても1年間のコスト(費用)はわずか600円しかかかりません。

上記のグラフをみてもわかるように、経費率は断続的に引き下げられてきています(ただし、2019年以降は引き下げられておらず、この辺りが限界ということになりますでしょうか)。ちなみに、設定当初の経費率は0.25%でした。

経費率は何も値下げされるばかりではなく、値上げされることもあります。しかし、VYMのように、安定して資産が増加しているETFであれば、現在の経費率の水準は維持できると思いますし、さらなる値下げも十分期待できると思います✨



VYMの配当金(分配金)推移

配当金は、2007年から23年までの間で2.55倍になりました。2008年に起こったリーマン・ショックの影響から、2009・10年と2年連続で減配していますが、それ以降は右肩上がりになっています。2020年のコロナショックの時も配当金は増加しました。

年4回の配当で、配当月は、3・6・9・12月の中旬~下旬ごろです。そのため、実際の支払いは翌月にずれ込むこともあります。

増配率も素晴らしいですね。5年平均(2019〜23)で+5.2%、通算実績(2007〜23)も+6.1%となっています。

2022年の配当金は3.48ドルとなっており、前年比で7.0%の増配となっています✨

VYMの配当利回り推移

※Weekly Chart(次も同じ)

リーマン・ショックの時は最高で6%台前半にまでなっています。2020年のコロナショックでも4%台前半でしたから、いかにリーマン・ショックが強烈だったかがよくわかりますね。

上記のグラフだと、通常時の変化がわかりにくいので、配当利回り4%を上限とした下記のグラフも用意しました。

「〇〇ショック」を除くと、VYMの配当利回りは2.4〜3.4%の間で推移していることが分かります。

VYMの配当利回りは平均すると3.07%程度ですが、リーマン・ショックの異常値を除いて考えると3.0%程度になります。配当利回りが3.0%を上回ったときは「買い時」になりますでしょうか。3.4%を超えてくるようなときは「強い買い」ですね。

VYMのトータルリターン

VYM VS S&P 500(SPY)(2006/11〜)

2006年11月30日~24年2月8日の配当を再投資したリターン。取引手数料や税金は考慮しない

この16年余りでVYMは約3.8倍、同期間のS&P 500は約5.0倍になりました。設定来のトータルリターンは年率+8.1%です。

設定来からのトータルリターンは、2017年以降、ビッグテックが大きく株価を上昇するなかで、配当を出す成熟企業で構成されているVYMはS&P 500に差をつけられていましたが、2022年はS&P 500が-18.1%のリターンだったのに対しVYMは-0.4%と微減にとどまったことで、差が大きく詰まりました。

しかし、2023年はS&P 500が+26.3%と急伸する一方、VYMは+6.6%にとどまったことで再び差が広がっています。

VYM VS SPYD VS HDV(2015/10〜)

2015年10月末~24年2月8日の配当を再投資したリターン。取引手数料や税金は考慮しない

高配当株式ETFとして人気のあるSPYDHDVのトータルリターンとも比較してみました。

トータルリターンはVYMがSPYD、HDVよりも上回っていますね。SPYDやHDVよりも配当利回りは下回るものの、キャピタルゲインも狙える銘柄となっています。



まとめ

配当利回りが市場平均を上回る銘柄を組み入れている(ただし不動産セクターは含まない)。保有割合は時価総額に概ね比例している。

  • 経費率が最安(0.06%)で年平均増配率も5〜7%超と安定している
  • 銘柄数も400超と多く、分散度合いに優れる
  • セクターの偏りも小さいので、高配当株式ETFのなかでは癖が一番少なく、安心して長期保有できる
  • 配当利回りが1%台の銘柄も含まれているため、配当利回りが2%台後半〜3%台前半とそこまで高くない

VYMは、配当利回りはそこまで高くありませんが、コストの低さや銘柄数の多さ、増配率の高さで優位性があるETFです。配当金収入のインカムゲインだけでなく、値上がり益のキャピタルゲインも狙えるETFになっています。

2022年初頭までは、S&P 500やNASDAQ100が絶好調でしたので、VYMはトータルリターンで大差をつけられていました。また高配当という観点でもより配当利回りが高いSPYDや、オプションプレミアムで利回り10%も狙えるQYLDが存在していたため、注目度は低下していたように思います。

ところが、2022年を通じて、S&P 500が大きく値を下げるなか、VYMはほぼ横ばいで推移したこともあり、安定感が再度注目され、再び脚光を浴びている感はあります。(ちなみにエネルギーセクターの割合が大きかったHDVは+7.0%のリターンを記録しています)。

2023年は高配当株がS&P 500に大きく遅れをとってしまいましたが、ジョンソン・エンド・ジョンソンやP&Gなど、歴史あるアメリカの超優良企業に投資できるETFとしての安定感はピカイチです。これぞ、まさに「王道」の高配当株式ETFだと思っています✨

情報開示:この記事は私自身が書いたものであり、私の意見を表しています。私はこの記事から報酬を受け取っておらず、この記事で言及されている会社と直接のビジネス関係はありません。

(Featured image by Adobe Stock)

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