【VYM】~安定感はピカイチも…配当利回りの低下が顕著。コスト・銘柄分散に優れた、実績ある米国高配当株式ETF♪~

【更新情報】(2026/9/2)
2026年7月末までの最新データを反映し、構成銘柄・セクター比率・経費率・分配金・トータルリターンなどを全面的に見直しました。

ゆーたんです♪

2006年設定の歴史ある米国高配当株式ETF、VYM(Vanguard High Dividend Yield ETF、バンガード・米国高配当株式ETF)について分析します✨

VYMは高配当ETFのなかでも非常に有名な存在ですが、2024年に前回の記事を更新してから、中身はかなり変化しました。

2026年現在のVYMを一言で表すなら、配当利回りの高さより、低コスト・分散・値上がり益のバランスに優れた王道の高配当ETFだと思っています。

目次

VYMってどんなETF?

VYMは、アメリカ株式市場のうち、予想配当利回りが市場平均を上回る銘柄へ幅広く投資するETFです。

連動する指数はFTSE High Dividend Yield Index。米国の大型株を中心に、相対的に配当利回りの高い企業を組み入れています。なお、REIT(不動産投資信託)は原則として対象外です。

単純に利回りが高い順に買うETFではなく、時価総額を反映しながら数百銘柄へ広く分散しているのがVYMの大きな特徴です。

VYMの基本情報【2026年版】

銘柄数604銘柄
ETF純資産額816億ドル
実績PER20.6倍
配当利回り2.29%
経費率0.04%
売買回転率11.3%
設定日2006年11月10日
運用会社Vanguard
2026年7月末現在。経費率は2026年2月27日現在。出典:Vanguard

銘柄数は600超と高配当株式ETFにしては多めです。高配当といいながらも、実際には利回り0〜1%台の銘柄も多く組み入れられているので、市場平均よりも高い配当利回りで構成されているというのが適切でしょうか。歴史あるETFということもあり、総資産額も高配当株式ETFのなかでは1、2を争う水準です。

前回の2023年末のデータと比べると、変化がよく分かります。

項目2023年末2026年7月
銘柄数449604
ETF純資産額509億ドル816億ドル
配当利回り3.04%2.29%
経費率0.06%0.04%

銘柄数・資産規模とも大幅に拡大し、経費率はさらに低下しました。

特に驚いたのが経費率です。前回の記事では「0.06%あたりが限界でしょうか」と書いていましたが、2026年には0.04%まで引き下げられました。1,000万円投資した場合の年間コストは、単純計算でわずか4,000円です。

VYMの構成上位銘柄

順位ティッカー銘柄構成比率
1AVGOBroadcom7.34%
2JPMJPMorgan Chase3.81%
3XOMExxon Mobil2.62%
4JNJJohnson & Johnson2.50%
5CSCOCisco Systems1.86%
6ABBVAbbVie1.80%
7BACBank of America1.66%
8UNHUnitedHealth Group1.52%
9CATCaterpillar1.50%
10CVXChevron1.48%
2026年7月末現在。Vanguardより作成

最大の変化は、なんといってもBroadcom(ブロードコム、AVGO)です。

2023年末時点では構成比率3.4%で2位でしたが、2026年7月末には7.34%まで上昇し、VYM最大の構成銘柄になっています。

半導体・AI関連銘柄として株価が大きく上昇したBroadcomが、いまやVYMの値動きにも無視できない影響を与える存在になりました。Broadcomは前回の更新時も利回り1%台でした。株価の上昇に伴う配当利回り低下により、「さすがに外れるかな?」と思いましたが、なかなか外れませんね笑

VYMは固定された銘柄の詰め合わせではなく、市場環境と企業価値の変化に合わせて中身も変化していくETFということがよく分かります。

一方で、JPモルガンチェース(JPM)、エクソンモービル(XOM)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)、シスコシステムズ(CSCO)、アッヴィ(ABBV)など、収益性・成長性・財務基盤の三拍子揃った企業の銘柄(いわゆるブルーチップとも呼ばれます)がずらりと並んでいる点は従来のVYMらしさそのものです。

ただ、JPモルガンチェースも、ジョンソン・エンド・ジョンソンも、シスコシステムズも配当利回り1%台なんですよね。確かに以前は高配当株でしたが、もはや高配当株とはいえなくなっているのが現状です。

VYMのセクター比率

セクター構成比率
金融21.27%
資本財14.06%
情報技術13.95%
ヘルスケア12.47%
エネルギー9.40%
生活必需品8.41%
一般消費財7.74%
公益5.74%
電気通信4.04%
素材2.89%
2026年7月末現在。Vanguardのセクター分類による

最大セクターは金融で21%超。そのほか資本財、情報技術、ヘルスケア、エネルギー、生活必需品などへ比較的バランスよく分散されています。

以前は「VYMは情報技術の比率がかなり低い」という印象が強かったですが、Broadcomの上昇などもあり、情報技術は約14%まで増えています。

それでもS&P 500のように巨大テック株へ大きく依存する構造ではありません。

「米国高配当ETF」というより、米国の大型バリュー株を中心に幅広く保有するETFと考えると、VYMの性格を理解しやすいと思います。

一方で、金融セクターだけで2割を超えているため、景気悪化や金融危機時には金融株の下落が足を引っ張る可能性があります。



VYMの配当金(分配金)推移

配当金は、2007年から25年までの間で2.55倍になりました。2008年に起こったリーマン・ショックの影響から、2009・10年と2年連続で減配していますが、それ以降は右肩上がりになっています。2020年のコロナショックの時も配当金は増加しました。

ただ、ここ3年は増配率がほぼゼロ近辺となっているのが気がかりです。5年平均(2021〜25)の増配率は3.1%、10年平均(2016〜25)の増配率は5.3%となっています

もっとも2026年の配当金は増加の兆しをみせており、上期は1.8412ドル。2025年上期の1.7117ドルに対して、約7.6%増加しています

年4回の配当で、配当月は、3・6・9・12月の中旬~下旬ごろです。そのため、実際の支払いは翌月にずれ込むこともあります。

VYMの配当利回り推移〜配当利回り2.29%は「高配当」なのか?〜

リーマン・ショックの時は最高で6%台前半にまでなっています。2020年のコロナショックでも4%台前半でしたから、いかにリーマン・ショックが強烈だったかがよくわかりますね。

上記のグラフだと、通常時の変化がわかりにくいので、配当利回り3.5%を上限とした下記のグラフも用意しました。

「〇〇ショック」を除くと、VYMの配当利回りは2.4〜3.4%の間で推移していることが分かります。

VYMの配当利回りは平均すると3.0%程度です。配当利回りが3.0%を上回ったときは「買い時」になりますでしょうか。3.4%を超えてくるようなときは「強い買い」ですね。

ところが、2026年7月末現在のVYMの配当利回りは2.29%です。

High Dividend Yield ETFという名前なのに、2%台前半。2010年の2.4%の最低レンジを突き抜けてしまっています

私も、現在の配当収入を最大化することが目的なら、VYMはそこまで魅力的なETFではないと思っています。

ただし、VYMの魅力は配当利回りだけではありません。

  • 低い経費率
  • 600銘柄超への分散
  • 長期的な分配金成長
  • 大型優良株中心の構成
  • キャピタルゲインも狙える

この5つをまとめて取りにいくETFだと考えています。

利回りを欲張らないこと」が、むしろVYMの強みなのかもしれません。



VYMのトータルリターン

期間VYMVOO(S&P 500)
1年23.68%19.53%
3年16.84%19.29%
5年12.19%12.82%
10年11.61%15.04%
2026年7月末現在の平均年間リターン。出典:Vanguard

トータルリターンは期間の切り取り方でいかようにも変わりますので、参考程度にしていただけたらと思うのですが、直近1年ではVYMがS&P 500を上回っています。

一方、3年・5年・10年ではS&P 500が優勢で、特に10年間では差が大きくなっています。

理由はシンプルで、過去10年は巨大テック株が米国市場全体を強く牽引してきたからです。

Apple、Microsoft、NVIDIAなどへの比重が大きいS&P 500に対して、VYMはそうした低配当・高成長銘柄への投資が限定的です。

したがって、巨大グロース株が相場を牽引する局面では、VYMはS&P 500に負けやすいです。

ただ、これは逆にいうと、S&P 500とは異なる値動きが期待できるということでもあります。

VYMは下落相場で強い?

VYMを評価するとき、私は単純なトータルリターンだけで判断するのは少し違うと思っています。

象徴的だったのが2022年です。

2022年年間リターン
VYM▲0.4%
S&P 500▲18.1%

金利上昇によってグロース株が大きく売られた2022年、S&P 500が大幅安となった一方、VYMはほぼ横ばいで1年を終えました。

「上昇相場でどれだけ勝つか」だけではなく、「下落相場でどれだけ負けないか」もVYMの重要な価値だと思っています。

投資を長く続けるうえでは、最大リターンだけでなく、暴落時にも保有を続けられる値動きかどうかも重要です。

VYMと個別高配当株、どちらがいい?

私は米国の高配当・連続増配株を中心に、個別株でポートフォリオを組んでいます。

その立場からVYMを見ると、最大のメリットは圧倒的に手間がかからないことです。

個別株の場合、業績悪化や減配が発生するたびに、

  • 投資前提は崩れていないか
  • 配当は維持できるのか
  • 売却するべきか
  • ほかの銘柄へ乗り換えるべきか

などを考える必要があります。

604銘柄を持つVYMなら、こうした企業ごとの判断を指数にほぼ丸投げできます。

個別株を何十銘柄も持っている私が言うのもなんですが、VYMは本当に楽です(笑)

減配した株をどうするか、業績が悪化した株を切るか、もっといい銘柄に乗り換えるか。

私はこういうことを延々考えています。

VYMなら、その作業の大半を経費率0.04%で丸投げできます。

……自分は何をやっているんでしょうか(笑)

しかも経費率は0.04%。1,000万円投資してもわずか4,000円です。安すぎます。

ただVYMは高配当株投資をする人にとっては配当利回りが低くなりすぎてしまい、魅力的な投資先ではなくなっているとも感じます。そこで個別株投資の出番ですね

VYMが向いている人・向いていない人

VYMが向いている人

  • 米国高配当株へ幅広く分散投資したい
  • 個別企業を分析し続けるのは面倒
  • 配当だけでなく値上がり益も欲しい
  • S&P 500とは異なる値動きの資産も持ちたい
  • 低コストで長期間保有したい

VYMがあまり向いていない人

  • 現在の配当収入を最大化したい
  • 高成長の巨大テック株へ積極的に投資したい
  • S&P 500を上回るリターンだけを最優先したい

配当利回り2%台のため、「とにかく高い配当金が欲しい」という人には物足りないETFです。

逆に、配当・成長・分散のバランスを重視するのであれば、VYMはいまでも有力な選択肢でしょう。



まとめ

配当利回りが市場平均を上回る銘柄を組み入れている(ただし不動産セクターは含まない)。保有割合は時価総額に概ね比例している。

  • 経費率が最安(0.04%)で年平均増配率も3〜5%超と安定している
  • 銘柄数も600超と多く、分散度合いに優れる
  • セクターの偏りも小さいので、高配当株式ETFのなかでは癖が一番少なく、安心して長期保有できる
  • 配当利回りが0%台の銘柄も含まれているため、配当利回りが2%台前半とそこまで高くない

VYMは、配当利回りはそこまで高くありませんが、コストの低さや銘柄数の多さで優位性があるETFです。配当金収入のインカムゲインだけでなく、値上がり益のキャピタルゲインも狙えるETFになっています。

2022年初頭までは、S&P 500やNASDAQ100が絶好調でしたので、VYMはトータルリターンで大差をつけられていました。また高配当という観点でもより配当利回りが高いSPYDや、オプションプレミアムで利回り10%も狙えるQYLDが存在していたため、注目度は低下していたように思います。

ところが、2022年を通じて、S&P 500が大きく値を下げるなか、VYMはほぼ横ばいで推移したこともあり、安定感が再度注目され、再び脚光を浴びている感はあります。(ちなみにエネルギーセクターの割合が大きかったHDVは+7.0%のリターンを記録しています)。

2023年は高配当株がS&P 500に大きく遅れをとってしまいましたが、ジョンソン・エンド・ジョンソンやP&Gなど、歴史あるアメリカの超優良企業に投資できるETFとしての安定感はピカイチです。

ただ近年は配当利回りの低下が顕著です(S&P 500も低下していますが)。高配当というには物足りない。他方で配当を重視しないのであれば、よりトータルリターンが期待できるS&P 500でいい。かつてはVYMを保有するだけで配当利回り3%が得られていた時代と比べると、やや役割が中途半端になってきているのかもしれませんね。

情報開示:この記事は私自身が書いたものであり、私の意見を表しています。私はこの記事から報酬を受け取っておらず、この記事で言及されている会社と直接のビジネス関係はありません。

(Featured image by Adobe Stock)

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