【SCHD】~高い配当利回りと高い増配率を両立したスーパースター。ついに日本からも投資信託で買える!〜

【更新情報】(2024/9/28)
基本情報のデータを更新、楽天SCHDに関する記述を追加。

ゆーたんです♪

高配当ETFの一つ、SCHD(Schwab U.S. Dividend Equity ETF、シュワブ米国配当株式ETF)について分析します♪

目次

SCHDってどんなETF?

SCHD少なくとも10年連続で配当金を支払っていて、時価総額や取引量が一定規模以上の米国株のうち、配当利回りが高めでファンダメンタルズ上位100社を投資対象とするETFです。Dow Jones U.S. Dividend 100 Indexをベンチマークにしています。

ファンダメンタルズとは、一般に企業の業績・財務状況を指しますが、ここでは、キャッシュフロー・総負債比率ROE株主資本利益率)、配当利回り過去5年間の配当成長率、以上四つの指標で測定しています。*

*この四つの指標に優劣はなく、総合順位で上位100位までの銘柄が選定されますが、配当利回りに関しては、「少なくとも10年連続で配当金を支払っていて、時価総額や取引量が一定規模以上の米国株」のうち、上位50%までが対象なので、低配当利回りの銘柄は選択されないようになっています。また、年1回のリバランスの際にはバッファールールが適用され、上位200社までに入っている限りは構成銘柄に残ります。

SCHDの基本情報

銘柄数 ※2024/9/27現在103
純資産額 ※2024/9/27現在612億ドル(約8.7兆円)
PER(株価収益率)※2024年8月末17.3倍
配当金(分配金)※2023年実績2.658ドル
配当利回り(過去30日)3.64%
増配率(5年平均、2019〜23)11.4%
増配率(10年平均、2014〜23)10.9%
トータルリターン(5年)※2024年6月末11.8% (S&P 500:15.1%)
トータルリターン(10年)※2024年6月末10.8% (S&P 500:12.8%)
経費率0.06%
設定日2011/10/20
※出典:Charles Schwab HPより。一部は独自で算出。

このETFを提供しているのは、米Charles Schwab(チャールズ・シュワプ)社で、3,590万もの証券口座、190万の銀行口座を有する、大手証券会社・銀行です。9兆ドルを超える顧客資産を預かっています(2024/8/31現在)。

銘柄数はインデックスの仕様上、高配当株式ETFのVYMよりは少ないものの、HDVSPYDよりは多くなっています。純資産額も600億ドルを超えていて、高配当株式ETFとしてはVYMを上回り、最大規模です。

配当利回りでみても、VYMは2.63%なので、SCHDが優れています。

そして、経費率は0.06%であり、VYMと全く同じです。配当利回りや経費率がVYMとほぼ同じであることから、VYMの大きなライバルともいうべき存在ですね。

日本の証券会社では買えないSCHD。でも投資信託なら買える!

SCHDは、米国株大手3社(SBI証券・楽天証券・マネックス証券)で取り扱っていません。もっというと、提供会社が日本の金融庁に届出をしていない関係もあり、日本の証券会社では原則として取り扱いがありません

しかしながら、2024年9月18日にSCHDに連動する投資信託、楽天・高配当株式・米国ファンド(四半期決算型)(いわゆる楽天SCHD)が設定されました。楽天証券では9月27日午前中より購入が可能です(NISA成長投資枠の対象でもあります)。

楽天SCHDの信託報酬は年0.132%(税込)、SCHD自体の経費率が年0.06%なので、実質的な信託報酬は年0.192%(税込)となります。

本来はSCHDを直接購入できることが望ましいですが、海外の証券会社で口座開設を行って、外貨送金を行って購入するなど、手続きが複雑で、外貨送金の手数料もかかります。そして、一般口座での取引となるため、税金の計算をすべて自分でしなければならず、確定申告も非常に手間のかかる作業になります。だからこそ楽天SCHDで気軽に購入できるようになったのは嬉しいですね✨

SCHDの構成上位銘柄

1HOME DEPOT INC(HD、ホームデポ)一般消費財・サービス4.3%
2VERIZON COMMUNICATIONS INCVZ、ベライゾン・コミュニケーションズ)コミュニケーション・サービス4.3%
3BLACKROCK INC(BLK、ブラックロック)金融4.2%
4CISCO SYSTEMS INCCSCO、シスコシステムズ)情報技術4.2%
5TEXAS INSTRUMENT INCTXN、テキサス・インスツルメンツ)情報技術4.1%
6PFIZER INCPFE、ファイザー)ヘルスケア4.0%
7LOCKHEED MARTIN CORP(LMT、ロッキード・マーティン)資本財・サービス4.0%
8BRISTOL MYERS SQUIBB(BMY、ブリストル・マイヤーズ・スクイブ)ヘルスケア4.0%
9CHEVRON CORPCVX、シェブロン)エネルギー4.0%
10COCA-COLAKO、コカ・コーラ)生活必需品3.9%
※2024/9/27現在(出典:Charles Schwab HPより作成)

米国を代表する「超優良銘柄」のオンパレードですね。

表にはありませんが、11位以下もABBV(アッヴィ)、UPS(ユナイテッド・パーセル・サービス)、AMGN(アムジェン)、PEP(ペプシコ)、MO(アルトリア)と優良銘柄のオンパレードで、ここまで構成割合は3.0%を超えています。上位15銘柄で構成割合の60%近くを占めている状況で、他の高配当株ETFと比べても少数精鋭となっています。

実はライバルのVYMと構成銘柄は大きく異なります。VYMの構成銘柄1〜5位であるAVGO(ブロードコム)、JPM(JPモルガン・チェース)、エクソンモービル(XOM)、P&G(PG)、ジョンソン・エンド・ジョンソン(JNJ)が含まれていません。

また配当利回りの高さは要素の一つではありますが、配当成長率の高さも要素として考慮されているため、例えば、高配当利回りの代表格である、通信大手のAT&TはSCHDには組み込まれていません。

構成銘柄は時価総額で重みを付けていますが、1銘柄の上限を4.0%としているため、超えている分は四半期ごとに調整が入ります。また毎日、銘柄の重み付けチェックが行われており、4.7%を超えている銘柄の合計割合が22%を超えている場合に調整が入ります。特定の1銘柄の影響力が大きくなりすぎないように工夫されています。

配当株投資で怖いのが減配リスクですが、大幅な減配や減益となった場合でも、指数運営会社(S&P Global)の判断のもと、四半期ごとのリバランスで削除されるようになっています。その点は安心ですね。



SCHDのセクター比率

※2024/9/27現在(出典:Charles Schwab HPより作成)

SCHDはリバランスのたびにセクターの構成割合が結構変わりますので、参考程度にしていただければと思います。例えば、前年と比較すると、金融、エネルギーの割合が増加している一方、情報技術、資本財・サービスの割合が減少しています。AVGO(ブロードコム)が株価上昇でリバランスで外れたためですね。

なお、高配当株が多い公益セクターはほとんど入っていません。配当利回りだけではなく、ROE(株主資本利益率)や配当成長率でスクリーニングされているからですね。

なお、セクターについても、一つのセクターだけで、保有割合が25%を超えないように制限がかかっており、過度に偏らないよう配慮されています。

SCHDの配当金(分配金)推移

他の高配当株式ETFと同様、年4回の配当で、配当月は3,6,9,12月の中旬~下旬になります。

設定されたのが2011年なので、リーマン・ショック後のデータにはなるのですが、素晴らしい増配率ですね。

5年平均増配率(2019〜23)は+11.4%、10年平均増配率(2014〜23)は+10.9%となっています。ただし2023年の増配率は+3.8%で過去最低となりました。構成銘柄を見る限り、以前のような2桁増配を期待することは現実的ではないかなと感じています。

SCHDのトータルリターン

VS S&P 500(SPY) 、VYM(2011/10~)

S&P 500との比較ですが、2018〜2021年ごろのグロース株(成長株)優位の相場では、少しリターンは劣後していたものの、22年のバリュー株優位の相場で再びS&P 500のリターンを上回ってきました。しかし、23年以降再びパフォーマンスが劣後してきています。

ライバルのVYMと比較すると、一貫して上回っています。しかしながら、24年の年初来パフォーマンス(9/28時点)はVYM+16.1%に対し、SCHD+12.9%と劣後している点に注意が必要ですね。VYMの構成銘柄上位である半導体のAVGO(+59.1%)、大手銀行のJPM(+22.3%)、エネルギーのXOM(+13.2%)、生活必需品のPG(+16.7%)あたりがSCHDには含まれていないのが影響しています。



SCHDのまとめ

配当利回りの高さだけでなく、キャッシュフロー・総負債比率、ROE(株主資本利益率)、過去5年間の配当成長率といったファンダメンタルズを考慮して銘柄を選別しているETF

  • 配当利回りは3%台中盤とライバルのVYMより高く、増配率も過去5年・10年平均は2桁
  • 過去5年、10年のトータルリターンはVYMを上回り、高配当株ETFのなかでは最高水準
  • 経費率は0.06%でVYMと同等。
  • 日本の証券会社では購入不可も、投資信託(楽天SCHD)で購入可能
  • 年1回のリバランスでセクターのバランスが変化する。
  • 2024年の年初来リターンはVYMより劣っている。上位15銘柄の構成割合が大きく、一つひとつの株価に左右されやすい。

VYMもSCHDもインデックス(指数)に則った運用という意味では同じですが、VYMは銘柄が400超で私たちがイメージするインデックス投資に近いものになっているのに対し、SCHDは銘柄が100程度と少なく、ファンダメンタルズに沿ってスクリーニングをしているため、銘柄自体は指標に沿って機械的に組み込まれるとはいえ、アクティブ色の濃いETFといえます。

過去10年以上にわたって、SCHDのリターンは素晴らしいものでした。しかし、近年はその素晴らしいリターンが揺らいでいるのも事実です。ファンダメンタルズ、銘柄の「品質」に沿ってスクリーニングされている点がリターンの源泉でしたが銘柄を絞り込んでいることによるマイナスの影響がちょっと目立っている感じがします

とはいえ、SCHDの構成銘柄上位の銘柄は売り込まれているものが多く、割安感が強いのも事実です。ちょっと近年のリターンは悪いですが、銘柄の品質に沿った「スクリーニング」もあるので、VYMやHDVなど他の高配当株ETFと比較して大きくリターンが劣るようなことにはならないと思います✨

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