ゆーたんです♪
カジノをはじめとする統合型リゾートを運営するアメリカ企業、ラスベガス・サンズ(Las Vegas Sands)の銘柄分析です♪
ラスベガス・サンズってどんな会社?
ラスベガス・サンズ(Las Vegas Sands、ティッカー:LVS)は、1988年に設立された、ネバダ州ラスベガスに本社を置く、カジノをはじめとする統合型リゾートを運営している企業です。
2018年の収益は137.3億ドル(約1.5兆円)で、統合型リゾート運営企業としては世界最大の規模になります。
巨大船のオブジェが三つのタワーの上にそびえる高級リゾート「マリーナベイ・サンズ」(シンガポール)を開発・所有している企業でもあります✨

(Featured image by:Shutterstock)
なお、統合型リゾート というのは、カジノをはじめ、ホテルや商業施設、劇場や映画館などの娯楽施設、さらには各種イベントで使用される、国際会議場・国際展示場(MICE施設)など、さまざまな施設を併設した複合施設を指しています。英語ではIntegrated Resort、略称はIRです。
ちなみにMICEというのは、企業などが行う会議(Meeting)や、報奨・研修旅行(Incentive Travel)、国際機関や団体・学会などが行う国際会議(Convention)、展示会や見本市、各種イベント(Exhibition/Event)の頭文字をとった造語です。
カジノというのは、正直あまりいいイメージを持たれません。しかし、MICE施設として、国際会議等の会合などに使われば、リゾート自体のイメージアップも図れますし、収益の拡大も見込めます。MICEというのは、今後の事業を占うキーワードにもなりそうです✨
また現在、日本においても、IR整備に向けて準備が進められていますが、最大手のラスベガス・サンズも参入を目指す方針を表明しています。
ラスベガス・サンズの業績
※2019年は第3四半期までのデータ。グラフはIRデータより作成。
収益、営業利益、純利益

リーマン・ショック時が起こった2008年、翌09年は赤字転落となりましたが、それを乗り越えて、2014年までは右肩上がりの成長を続けてきました。シンガポールのランドマーク的な存在であるマリーナベイ・サンズが2010年に開業したことが大きかったでしょうか。
2014年以降、収益は横ばいで推移していますが、営業利益率は20%台で安定して推移しています✨
ラスベガス・サンズの部門別収益(2018年)

カジノ事業からの収益が7割を超えていますね。ここ数年、その割合に大きな変化は見られません。
ラスベガス・サンズの地域別収益(2018年)

4つの統合型リゾートを運営しているマカオからの収益が6割強と一番大きくなっています。
シンガポールにおいては、運営している統合型リゾートは、マリーナベイ・サンズの1つだけですが、2割強の収益をあげており、リゾート単体では、世界最大の統合型リゾート「ザ・ベネチアン・マカオ」に次ぐ、収益をあげています。
アメリカでは2つの統合型リゾートを運営していますが、収益に占める割合は16%となっており、それほど大きくはありません。これは、ペンシルベニア州にあった統合型リゾートを2018年に売却していることも影響しています。
EPS、BPS、ROEの推移

BPS(1株あたり純資産)は、負債が増えていることもあって減少傾向です。業績の停滞を反映して、EPS(1株あたり利益)は2013年以降横ばいとなっています。自社株買いも行ってはいますが、それほど規模は大きくありません。
キャッシュフロー(CF)

リーマン・ショックが起こった2008年、翌09年は、フリーキャッシュフローが大幅な赤字になっていますが、2011年以降は、黒字で推移しています。2019年はまだ第3四半期のデータまでしか出揃っていませんが、ちょっとキャッシュフローが悪化しているのが気がかりです💦
ラスベガス・サンズの配当

ラスベガス・サンズは2011年まで無配でした。2019年の配当は2.31ドルとなっていますが、最終的には3.08ドルとなる予定で、特別配当を除いて考えれば、8年連続増配となります。
もっとも、配当性向は年によって100%を上回るなど不安定な状況が続いています。そのあらわれか、2016年以降は増配ペースも鈍化しています。さらなる業績の向上がないと、大幅な増配を望むのは難しそうです💧
ラスベガス・サンズ(LVS)の株価チャート
S&P 500との比較(2004/12〜)

ラスベガス・サンズは2004年に上場しました。リーマン・ショック前には、LVSの株価は一時150ドルに迫るまで上昇しましたが、2008・09年は赤字に転落したこともあって、株価が暴落、2009年3月には何と株価は1ドル台前半まで下落してしまいました。最高値からの下落率は何と99%という強烈な下げっぷりです💦
記事執筆時点(2019/11/09)の株価は64.08ドル、配当利回りは4.81%となっています。株価は2013年以降、ほぼ横ばいで推移していて、S&P 500にも大きく水をあけられてしまっています。
まとめ・所感
ラスベガズ・サンズは統合型リゾートを運営する企業として、カジノに頼らず、ホテル・レストラン、商業施設など、併設している施設からも収益をあげようと尽力していますが、依然としてカジノ事業が収益の柱であることに変わりはありません。カジノのイメージは必ずしもいいとはいえず、「カジノ依存」からの脱却が求められているといえます。
そして、カジノというお金持ちをターゲットにした産業を展開していることもあり、リセッション(景気後退)に入れば、リーマン・ショック時のような下落とまではいかなくても、業績悪化、株価下落は避けられないかと思われます💦
配当利回りが4%を超えているので、インカム・ゲイン目当てで保有するという選択肢もあるかと思いますが、やっぱりリーマン・ショック時の強烈な下げっぷりを見ると、なかなか個別株での投資は怖いというのが、みなさん正直なところではないでしょうか。リセッション等で株価が大きく下落したタイミングで投資したい銘柄ですね。
ちなみに、ラスベガス・サンズは、2019年10月3日付でS&P 500の構成銘柄になっています。ということは、S&P 500に連動する投資信託・ETFを購入している投資家であれば、少額ながらも間接的に保有する形になるでしょうし、このままいけば、おそらく次回のリバランスで米国高配当株式ETFであるSPYDの構成銘柄になることと思います。
間接的にホルダーとなるであろう身としては、業績が好転し、さらなる増配を続けてくれることを願ってやみません✨









