ゆーたんです♪
今週の米国株ですが、私が保有しているAT&Tの第4四半期決算が発表されました。決算はまちまちで、株価は4%程度の下落となりました💦
(Image By:Adobe Stock)
第3四半期決算に引き続きのまとめになります。第4四半期の決算について、振り返ってみますね。
第4四半期決算ハイライト
AT&Tについては銘柄分析も書いています。昨年までの業績・配当・株価などのデータはこちらをご覧ください♪
(第4四半期決算) | 2019 | 2018 | 前年比 |
収益 | $468.2億 | $479.9億 | -2.4% |
営業利益率(調整後) | 19.6% | 19.6% | +0.0Pt |
調整後EPS | $0.89 | $0.86 | +3.5% |
収益は予想をやや下回り、調整後EPSはやや予想を上回るというまちまちの決算でした。
収益で見ると、主力のモビリティ事業(アメリカでの携帯電話事業など)は0.8%の増収となりました。携帯電話契約者数(後払い方式)が22.9万人増加し、予想を上回るなど堅調でした。
逆にエンターテイメント事業(DIRECTVなどの衛星放送サービスなど)は、-6.1%と大きく足を引っ張りました。有料のテレビ契約者数が94.5万人減少したのが痛かったようで、これを材料視して株価が大きく下落しました。
以前でしたら、衛星放送は娯楽の有力な選択肢の一つでしたが、今日では、娯楽の選択肢が増えていて、動画視聴など競合するサブスクリプション(定額制)サービスが多くあります。
事実、有料テレビ契約数は四半期決算のたびに契約者数を減らしていて、(2016年第2四半期以降までしかデータが遡れませんでしたが)、そこから15四半期連続の減少です。まだ1,947万人がAT&Tの有料テレビを契約しているので、数としては大きいのですが💦
また、買収したワーナーメディアの事業も振るわず、-3.3%とマイナスでした。ただし、これは動画配信サービス「HBOマックス」の開始(2020年5月予定)に備えて、番組や映画のライセンス提供をやめたことが主な要因であるということで、現時点では心配しなくてよさそうです。
その代表例としては、ネットフリックス(Netflix)の人気コンテンツだった『フレンズ』が挙げられるでしょうか。
ネットフリックスが独占配信していましたが、もともと制作したのはHBO(ワーナーメディアの傘下)ということもあって、HBOマックスの開始により、ネットフリックスからは姿を消すことが下記記事でも報じられています。
動画配信サービスは、アマゾン(Amazon)もプライムビデオを展開していますし、他にも、圧倒的なコンテンツ力をもつディズニー(Disney)や、スマートフォン大手のアップル(Apple)が参入するなど、競争が激化しています。
そこに、また競争力のあるコンテンツを多数有するワーナーメディアが参入するということで、どこまで収益を伸ばせるかに注目しています。
なお、ビジネスワイヤライン事業(法人向けサービスなど)は-1.7%、収益に占める割合は小さいですが、国外事業(メキシコでの携帯電話事業など)も-4.6%と全体的に冴えなかったです。広告事業のXandrは、前年同期比+7.2%と相変わらず好調ですが、収益に占める割合は1%強とわずかです。
参考までに2019年累計のデータも掲載しておきますね。
2019年累計 | 2019 | 2018 | 前年比 |
収益 | $1,811.9億 | $1,707.6億 | +6.1% |
営業利益率(調整後) | 21.3% | 20.6% | +0.7Pt |
調整後EPS | $3.57 | $3.52 | +1.4% |
収益は前年比でプラスになっていますが、ワーナーメディアの収益が完全に反映されるようになったのが2018年の途中だったからであるためで、それを除くとわずかに下落(ただし下落幅は1%未満)という状況です。特殊要因を取り除いた営業利益率と調整後EPSは緩やかな上昇となりました。
2020年の調整後EPS見通しは変わらず$3.60~3.70、22年についても同様に$4.50~4.80となっています。2020年の調整後EPSでみたPER(株価収益率)は10.5倍です。
配当は大丈夫なの?
米国株の高配当株投資家であれば、AT&Tを個別株で保有している人は多いと思います。配当の持続可能性は誰もが気にする点ではないでしょうか。
配当 | EPS | 配当性向 | 調整後EPS | 配当性向(調整後EPS) | |
2019年累計 | $2.04 | $1.89 | 107.9% | $3.57 | 57.1% |
配当性向は100%を超えていますが、合併関連費用など特殊要因を除いた調整後EPSで見ると、60%を切る水準となっています。
キャッシュフロー(CF)の面からも見てみようと思います。
(2019年累計) | 2019 | 2018 | 前年比 |
営業CF | $486.7億 | $436.0億 | +11.6% |
フリーCF* | $290.3億 | $223.5億 | +29.9% |
配当金支払い額 | $148.9億 | $134.1億 | +11.1% |
配当金支払い額/フリーCF | 51.3% | 60.0% | -8.7Pt |
2019年通期では、フリーCFの51.3%を配当金支払いに充てています。数値だけ見れば比較的余裕があるようにみえます。しかし、一方で、AT&Tは、利子(利息)を86.9億ドル支払っています。その分も考慮に入れると、フリーCFの80%超は配当金支払いと利払いに消えていることになり、そこまで余裕があるわけではありません。
今は世界的に低金利だからよいのですが、仮に金利が大きく上昇するようなことがあれば、利払い費が増加し、減配リスクも高まることは、念頭に置いておいたほうがよいかもしれません💦
まとめ
- 収益は減少も、調整後EPSはやや改善。携帯電話事業は堅調も、衛星放送サービスなどエンターテイメント事業が顧客離れで伸び悩む。
- キャッシュフローは前年比プラスで推移。配当金支払いには余裕がある。金利上昇による利払い費の増加がリスク。
- 今後の業績は、2020年5月開始の動画配信サービス「HBOマックス」が鍵を握る。
個人的な印象としては、第3四半期の決算の流れをそのまま受け継いだという感じでしょうか。依然として長期債務は1,500億ドルを超えていて、早めの圧縮が望まれることは言うまでもありません。
株価は下がりましたが、配当利回りは5%台で推移しています。6%台後半の水準に慣れきっている私からすると、もう少し下値を待ちたいところです。
AT&Tの長期負債は多いですが、携帯電話事業からの収益も安定しているので、さほど心配はしていません。配当利回りが6%台後半、7%台にまで高まってくるようなことがあれば、積極的に買い増しを検討していきたいですね✨