【MO】アルトリアの第4四半期決算振り返り~配当利回り7%は買いなのか?~

ゆーたんです♪

今週の米国株ですが、私が保有しているAltria(アルトリア、ティッカー:MO)の第4四半期決算が発表されました。第3四半期決算に引き続き、電子たばこを製造・販売するジュール(JUUL)への投資損失により赤字を計上、株価は4%を超える下落となりました💦

再び配当利回りは7%を超えていますが、果たして買いなのか、決算から紐解いていこうと思います。

目次

第4四半期決算ハイライト

アルトリアについては銘柄分析も書いています。昨年までの業績・配当・株価などのデータはこちらをご覧ください♪

(第4四半期決算)20192018前年比
収益$60.0億$61.1億-1.8%
営業利益率40.4%28.5%+11.9Pt
EPS$(1.00)$0.66(赤字転落)
調整後EPS$1.02$0.95+7.6%

収益は、コア事業であるマールボロなど、一般的なたばこ部門の収益が2.7%の減収だったこともあって、前年同期比で1.8%の減収です。

一般的なたばこの出荷量が前年同期比で8.4%減少というのが大きいですね。価格の上昇によってある程度は相殺しましたが、完全にカバーするまでには至りませんでした💦

他方、営業利益率が前年同期比で大幅に上昇しています。売上原価やマーケティング・研究費用だけでなく、資産の減損・撤退コストの抑制など全体的なコストカットが功を奏しました。そのかいあって、特殊要因を除いた調整後EPSも、前年同期比で7%超の成長をしています。

EPSは赤字になっています。第3四半期に引き続き、ジュールに対する訴訟が増加し続けていることを理由に、41億ドル分の評価損を計上しました。これでジュール(JUUL)の企業価値はわずか42億ドルとなってしまいました。

128億ドルで購入した株式の価値は、わずか3分の1になってしまいました。2期連続で減損処理をするというのは、予想外でした。ここまでくると、買収は失敗したといわざるを得ないでしょう。

ちなみに、ジュールは、FDA(アメリカ食品医薬品局)の規制上の問題に直面していて、FDAに対して今年5月までに電子たばこの販売継続の申請を出さなければならず、承認が下りなかった場合、アメリカでの販売継続が困難となります。

そうした事情もあって、アルトリアはジュールとの提携条件を見直すこととしました。FDAの承認を得るためのサポートに専念し、広告・マーケティングなど、その他の支援は2020年3月に終了するということです。

また、アルトリアは、2020~22年にかけての調整後EPS成長目標をこれまでの5~8%から4~7%に引き下げています。第3四半期は7~9%の見通しから引き下げているので、2期連続の下方修正ですね。こうした事情もあって、株価が大きく値下がりしました💦



配当支払いは大丈夫なの?

アルトリアの配当は年間3.28ドルです。ジュールの減損処理など特殊要因を除いた調整後EPSは4.22ドルですから、調整後EPSで見た配当性向は77.7%であり、危険水準ではありません。

アルトリアは調整後EPSの80%を配当にあてることを宣言しています。調整後EPSが年率4~7%ペースで成長していくのであれば、配当もそのくらいの伸びが期待できるのではないでしょうか。

キャッシュフロー(CF)でも見てみますね。

(2019年累計)20192018前年比
営業CF$78.4億$83.9億-9.3%
フリーCF*$75.9億$81.6億-7.0%
配当金支払い額$60.7億$54.2億+12.0%
配当金支払い額/フリーCF80.0%66.4%+13.6pt
自社株買い金額$8.5億$16.7億-50.5%
(配当金支払い額+自社株買い金額)/フリーCF91.1%86.8%+4.3pt
*営業CFから設備投資を除いた額

営業CFが前年同期比で10%近く減少しています。自社株買い金額こそ減らしていますが、配当金支払い額は増えており、去年よりもキャッシュフローは厳しめです。

長期債務は270億ドル(約2.9兆円)で第3四半期からほとんど変わっていません。そして、2019年は11億ドルの利息を支払っており、配当金や自社株買いを含めると、フリーCF以上の金額が流出していることになります。

たばこ産業なので、キャッシュフローは安定的かと思いますが、現状、フリーCFのほとんどが配当金支払いと利払い費で消えていることを考慮すると、結構綱渡りの状況だと思っています。自社株買いがゼロになってくるようだと危険信号ですね。



まとめ・所感

  1. たばこ出荷量の落ち込みが大きく、値上げとコスト削減でカバーしている状況
  2. 相次ぐ訴訟に直面しており、ジュールからの収益を期待するのは厳しい。現状では、買収は失敗だったといわざるを得ない
  3. フリーCFのほとんどが配当金支払いと利払い費で消えている。キャッシュフローが伸び悩むと減配の可能性も

第3四半期に引き続き、見た目の業績はそこまで悪くありませんが、たばこ出荷量の落ち込みが大きいことと、かつかつのキャッシュフローが心配ですね。

アルトリアは、アメリカにおけるたばこ産業の市場規模が2019年に5.5%縮小したと推定しています。思ったよりもたばこ離れが深刻ですね。

キャッシュフローについては、2019年第4四半期では5億ドルの自社株買いを行っているようなので、まだまだ大丈夫かと思いますが、自社株買いを行う余裕がなくなると危ないなと思っています。

配当利回り7%のアルトリアは買いか?

アルトリアの配当利回りは7.07%(1月末時点)です。かなり高水準であることには違いないのですが、昨年の配当利回り8%超の水準を経験している身としてはやや物足りなく感じます。実績PERは11.3倍です(1月末、調整後PERベース)。

たばこ株の保有が少ない場合は、株価が下がれば少しずつ買い増ししていく前提で、購入してもよい水準かなと思いますが、個人的には、ESG投資の潮流もあって、株価は上値の重い状態が続くと考えています。

今後数年で、業績が大幅に向上するイメージがなかなか持てないので、配当利回り8%まではいかなくても、このくらいの株価であれば、買えるチャンスはまたやって来るのかなって思っています。魅力的な水準ですが、その分リスクも高いので、深追いは禁物ですね。

私の場合、まだ含み益が出ていることや、保有割合がETF保有分含めてポートフォリオの3%と、ブリティッシュ・アメリカン・タバコに次ぐ水準なので無理に買い増しはしません。前回購入時の水準(40.85ドル)を下回るようなことがあれば、買いを検討していきたいです。

どうしてもホルダーなので厳しめに見てしまうところはあるのですが、株主還元意欲が高い会社であることには間違いありませんし、日本で大ヒットをもたらしたiQOS(アイコス)もアトランタとリッチモンドで商品化が始まっています。

個人的にはフィリップモリスとの合併を期待していますが…何とか一般的なたばこの落ち込みをカバーしてほしいところですね✨

Financial Statement_image

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