ロシアのウクライナ侵攻で先行きが見えない…そんななかで保有株を売って現金比率を高めるべきか?

(Featured image by:Shutterstock)

ゆーたんです。

ロシアのウクライナ侵攻により、株式市場は不安定な状況が続いています。核戦争の危険性やさらなる戦線拡大を指摘する声も出てきました。一日も早く侵攻が終結し、さらなる犠牲者が出ないことを祈るばかりです。

資源や食料品の価格も値上がりしています。象徴的なのは、原油と小麦でしょうか。ロシアは世界有数の原油産出国ですし、小麦にいたっては、ウクライナ・ロシアの2か国で輸出量の30%弱を占めています。

今朝はNY原油先物価格(WTI)が一時1バレル=130ドル台と急騰しました。コロナショックのときは一時マイナスに転落した原油価格がここまで上がるなんて、誰も予想してなかったと思います💧

現時点では侵攻終結への道のりは険しく、コロナショックのときと同様に、先行きの見えない状況となっています。このような環境下では、「保有株を売って現金比率を高めよう」という選択肢が出てきても全く不思議ではありません。ただ、この戦略は上級者向けでリスクのある選択肢だと感じでいます。今日はその件について書きますね。

目次

そもそも米国企業にとってロシアの収益はそこまで大きくない

ロシアのウクライナ侵攻を受けて、AppleやMicrosoft、VisaやMastercard、ナイキなど、ロシア事業を停止する企業が増えてきました。

ロシア事業への依存度は企業によって異なりますが、収益ベースでは、一桁台半ばの割合となっている企業が多いようです(ちなみにVisaは約4%でした)

収益が下がる分、EPS(1株あたり利益)も同様に押し下げられることになりますので、その分、株価は押し下げられることになります。

とはいえ、4〜5%のマイナスは決して小さくはないですが、致命的な水準かといわれると、また違う気もしています。もちろん、侵攻が長期化し、米国企業がロシア事業から本格的に撤退することとなった場合は、それに伴う費用もかかりますので、一時的にはさらなる下振れをもたらしますが、それだけをもってして、企業の業績や見通しに重大な悪影響を与えるとは言い難いです。

むしろ怖いのは、ロシアのウクライナ侵攻が長期化し、ロシアで事業を続ける米国企業に対する批判の矛先が向かい、ブランド価値が毀損されることです。

既にその兆候はみられていて、今なおロシアでの事業を継続しているマクドナルドやコカ・コーラ、ペプシコなどへの批判が高まりつつあります。もっとも、これらの企業は、多くの実店舗を構えていたり、スーパー等至るところに製品が行き渡っていたりするので、AppleなどのIT企業のようにはいかないのは理解できますが…経営陣は難しい判断を迫られそうです。

戦争での下落幅はそこまで大きくない

今回はアメリカが当事国になっているわけではないので、単純には比べられませんが、1990年の湾岸戦争のときは、S&P 500は最大16.9%下落していて、2001年のアメリカ同時多発テロのときは最大11.6%下落しました。

なお、第二次世界大戦時のダウ平均株価は、1939〜41年と3年連続で下げましたが、1941年末の株価は38年比で28.4%のマイナスでした。しかし、その後株価は上昇に転じ、45年末の株価は38年比で逆に24.7%のプラスとなっています(20年のコロナショックは1か月少々で最大34%の下落でしたから、いかにコロナショックでの下げが異常だったかがよくわかると思います)。

3月4日時点の株価は、S&P 500の2月の高値から5.5%の下落となっています。ただ、当事国との距離が近いヨーロッパ市場では2月の高値から15.8%の下落になっていて、直近1週間(2/28〜3/4)でも10.5%下げています。ウクライナ侵攻の不確実性は織り込みつつあると感じます。

もちろん事態がもっと悪化して、最悪核戦争なんてことになったりすれば、株価もさらに下落するでしょうし、過去の結果が未来の結果を保証するわけではありませんが、過去の結果を知っておくことは役立つと思います。



株式を「持たざるリスク」もある

これは私がコロナショックでSPYDを一時的に手放したからこそわかるのですが、株式を持つことはもちろんリスクですが、それと同時に株式を持たないことにもリスクはあります

米国市場はまだしも、ヨーロッパ市場は短期的には大きく下げているので、何かのニュースをきっかけに大きく株式市場の巻き戻しが起こっても、不思議ではありません。

また、インフレ懸念が燻る状況では、株式を売却して現金比率を高めることにもリスクがあります。インフレが進めば、通貨の価値が目減りしていくためですね(金などの貴金属を保有するという手もありますが、保有しているだけでは金利を生み出さないことは意識しておきたいです)。

「有事の円買い」という言葉があるように、日本円はかつては資金の避難先となりやすく、「安全通貨」としての側面がありました。しかし、最近はその「安全通貨」としての側面は薄れています。ロシアのウクライナ侵攻という「有事」にもかかわらず、ドル円の為替レートは1ドル=115円前後で推移していて、「有事の円買い」という雰囲気は感じられません(流石にユーロでは円高が進んでいますが)。

それに、現金比率を高めて、より安値で投資するというのは、株式市場のタイミングを読む投資であり、難易度は高いです。今回、上手くいったとしても、次回もタイミング投資をして失敗したというケースは枚挙にいとまがありません。また配当株投資の場合は、保有している間に配当金が入ってきますので、配当を再投資に回すことができます。その分も考慮に入れなければなりません。

おわりに

この状況下では、積極的に買い増して現金比率を減らす状況ではありませんが、かといって現金比率を大きく増やすことは、機会損失につながる可能性もあり、上級者向けで難易度が高い投資手法のように思います。

コロナショックのときの記事でも書いた通り、株式に長期投資することは、明るい未来を描くことなんだって、私は思っています。だから、私は投資を続けていくし、株式を売って現金比率を高めることはまったく考えていません。

あいにく余力は全くないので、買い増しはできませんが、3月下旬にはSPYDからのまとまった配当金もありますし、給与所得もあります。その他、確定申告での還付金(外国税額控除)もあります。資金が入れば、躊躇なく買い増していきます✨

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