高配当株に投資するということ〜「何年も市場平均を下回るかもしれない」覚悟はできている?〜

ゆーたんです。

2022年に入り、アメリカのインフレ懸念による利上げペースの加速を懸念して、ハイテク株を中心に株価が大きく調整しました。追いうちをかけるように2月24日にはロシアのウクライナ侵攻が発生したことにより、S&P 500、ナスダックともに大きく下げています💧

特にナスダックは最高値からの下落幅が20%を超え、弱気相場入りとなりました。


※以下、チャートは3/8時点までのデータです

他方、高配当株(VYMSPYD)のリターンは堅調です。特にSPYDは年初来でもプラスを維持しており、強さが際立っています。そんなパフォーマンスの差を見て、「高配当株投資をしてみようかな?」と考えている投資家さんもいらっしゃるかもしれません。

私は高配当株投資をしているので、高配当株投資家さんが増えるのはとても嬉しいことです。ですが、パフォーマンスが(相対的に)良いときだからこそ、浮かれてはいけない、気をつけなければいけないとも考えていて…今日はその件について書いてみますね。

目次

直近のトータルリターンで、高配当株はS&P 500やナスダックに負けている

2022年だけの相場で見ると、「高配当株こそ最強!」というふうになってしまいますが、つい半年くらい前までは、そんな雰囲気は微塵も感じられませんでした。それもそのはず、下記チャートにあるように、直近のトータルリターンはボロ負けといっても過言ではないからです💧


※配当を再投資した場合のリターンです(ただし、税金や手数料は考慮していません)

ただ、期間の取り方を変えてみると、全然違った景色が見えてきます。

下のチャートは2015年〜18年末までのトータルリターンになりますが、高配当株とS&P 500のリターンにはそこまで大きな差がなく、SPYDはS&P 500のリターンを上回ってさえいました。

こちらは、2019年〜22年3月現在までのトータルリターンです。S&P 500は、2019年と21年は25%を超える上昇率、コロナショックに見舞われた2020年も15%を超える上昇率でした。この間、高配当株はS&P 500と比較して大きくリターンが劣ってしまっています。

このグラフで見ると、2022年の下落があってもなお、S&P 500と高配当株のトータルリターンの差は大きいです。

株式市場にもトレンドがあります。相場に身を置いていると、あたかもそのトレンドがしばらく続くかのように錯覚してしまいますが、むしろトレンドの移り変わりは早いです。

どうしても直近の相場の印象が強くなってしまいがちですが、S&P 500は2021年6月の水準に戻ったに過ぎず、1年前からは7%上昇しています。



高配当株投資は「何年も市場平均を下回るかもしれない」と言う覚悟が必要


(Featured image by:Shutterstock)

「なぜ高配当株投資なのか」で書いているように、私は高配当株投資を選択していますし、長期的にはS&P 500と遜色ない、あるいはそこまで大きく劣らないリターンを期待できると信じています✨

もっとも、今まで見てきたようにトータルリターンは期間の切り取り方次第で、大きく変わってしまうので、自分の投資期間で見れば、「S&P 500(市場平均)にボロ負けしてしまうかもしれない💦」という覚悟を持って投資しています。

S&P 500等、市場を代表する指数に投資する(パッシブ投資)であれば、大勝ちはできないけれど、確実に平均点を取ることができます。しかし、この平均点を取るのが簡単なようで難しいです。この記事で書いたように、10年単位ではS&P 500が82.5%のアクティブファンドより優れたパフォーマンスを上げたという事実を重く受け止めなければなりません。

市場平均から離れた投資を行うことには、リスクもあります。特に高配当株投資の場合は、基本的に割安な水準に据え置かれている株を購入していくことになりますので、短期で株価が急上昇することはあまり期待できません。数年単位で市場平均を下回る可能性があること」も受け入れなければなりません。「市場平均と比較して全然期待していたリターンが得られない可能性があること」も覚悟しなければなりません。



私はSPYDを2019年3月から保有しているので、SPYDを例に挙げますと、2019年は高配当株投資家にとっては厳しい年で、リターンはS&P 500を大きく下回りました。そして、20年3月のコロナショックの暴落でさらにその差は開きました。コロナショック当時は、「SPYDはボロ株の集まり」「高配当株投資はオワコン」などと散々な叩かれようでした💧

しかし、その後、SPYDはみるみる回復し、コロナショックの最安値からのトータルリターンでは、VYMだけでなく、S&P 500やNASDAQ 100をも上回っています。もちろん、コロナショック前から比較したらまだまだトータルリターンでは及ばないのですけれど、2021年は市場平均を上回るトータルリターンとなっていますし、22年も今のところは堅調な値動きとなっていて、「苦しい時でも保有していてよかった」と素直に思います。

高配当株投資に乗り換えたくなったときは「数年単位で市場平均を下回るリターンになるかもしれないけど、それでも受け入れられるか」を考えると良いのかなと思います。もちろん「市場平均を下回ろうが上回ろうが気にしない」心も大切ですね。

あとがき

2018年12月の世界同時株安(アメリカの利上げペース加速、米中貿易摩擦、アメリカ政治の不透明感の高まりが主な原因)、2020年3月のコロナショックのような急落はありましたが、停滞する相場という意味では、チャイナショックに、イギリスのEU離脱を決める国民投票があった、2015〜16年中頃の相場が思い出されます。

まだ高配当株投資家さんが増えてきているイメージはそれほど感じませんが、相場の低迷が長引くほど、投資スタイルの変更を考える投資家さんは増えていくと思います。

その人のリスク許容度などにより、それぞれ合う投資スタイルは違います。投資スタイルをコロコロと変えることは、下手もすれば大きく資産を失いかねません

もちろん時代の変化に応じて、それまで機能していた投資スタイルが機能しなくなることもあるため、投資スタイルを変えること自体は悪いことではありませんが、そのスタイル変更は慎重であるべきかな…と思っています💧

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