【NESN、NSRGY】(ネスレ)〜ペットケア事業が急成長中。世界最大の飲食料品メーカー♪〜

ゆーたんです♪

米国株ではありませんが、世界的には超有名。スイス株であるネスレの銘柄分析です✨

目次

ネスレ(Nestle)ってどんな会社?

ネスレNestle、ティッカー:NESNNSRGY)は、世界最大級の飲食料品メーカーで、生活必需品セクターに属する企業です。

コーヒーブランドのネスカフェ、大麦飲料のミロ、チョコレートのKitKat(キットカット)などで有名ですね。

そのルーツは1866年にまで遡ります。同年にアングロスイス・コンデンス・ミルクカンパニーが設立され、他方でアンリ・ネスレが67年にベビーフードを開発し、会社を設立。この二つの会社が1905年に合併し、現在のネスレ・グループが形成されていきました。


(Featured image by:Shutterstock)

2021年の売上高は約871億スイスフラン(約10.4兆円)となっており、飲食料品メーカーでは最大の売上高を誇っています。186もの国で製品が販売されており、27万人をこえる従業員がいます。

ネスレ株への投資はハードルが高い

しかし、これだけの大企業でありながら、日本の投資家がネスレ株に投資するのは困難を極めます。

同じ生活必需品セクターだと、例えばユニリーバはイギリスに本社を置いて、英国市場やオランダ市場に上場していますが、ADR(米国預託証券)として米国のNYSEに上場しているため、米国株として取引が可能です。しかし、ネスレはNYSEやNASDAQ市場に上場していないため、取引所を介した取引ができず、原則、大手ネット証券では取引ができません

もちろんスイス株としてNESNというティッカーで上場はしていますので、店舗型の大手証券会社でスイス市場の取り扱いがあるところであれば、取引は可能です。ただ、店舗型の大手証券会社は取引手数料が割高となっています。さらに追い討ちをかけるかのように、スイス株は源泉徴収税が35%かかります(租税条約上の税率は10%なので還付申請手続きをすることで還付はされますが、手続きは煩雑です)

他のスイス株を例にとると、医薬品大手のノバルティスはADRとしてNYSE市場に上場していますが、同じく医薬品大手のロシュはネスレと同様、NYSEやNASDAQ市場には上場していません。

代替案として、東証ETFでUBS ETF スイス株(1391)があります。構成銘柄の2割強がネスレ株となっていて、経費率も0.20%です。スイス株を幅広く購入するならこのETFがおすすめですが、出来高がかなり小さいので注意が必要です。

他には、iシェアーズグローバル生活必需品ETF(KXI)を購入する手もあります。こちらはグローバルの生活必需品セクターを集めていて、ネスレ株が8%程度含まれます。ただし経費率は0.40%とやや高くなっています。



ネスレ(Nestle)の業績

収益(売上高)、営業利益、純利益

NESN Sales 2011-21
グラフはIRデータより作成。通貨はスイスフラン建(以下同じ)


収益(売上高)は800〜900億スイスフランの範囲で横ばいで推移しています。営業利益率も15%程度をキープしています。安定しすぎていて怖いくらいですね。

部門別売上高(2021年)

NESN Segment Revenue 2021
Powdered and Liquid Beveragesは、粉末・液体飲料部門で、ネスカフェやミロなどが含まれます。売上高の28%を占めるネスレの主力事業です。またネスレ社はスターバックスとライセンス契約を結んでスターバックス社の商品をスターバックスの店舗以外で販売しており、その売り上げも入っています。営業利益率(一時的な要因を取り除き、会社独自で発表。以下同じ)も23.5%と高いです。

PetCareはペットに関する部門であり、ペットフードなどで構成されています。売上高に占める割合は18%で、7部門中、2017年以降毎年収益を伸ばしている、ネスレ社の成長事業です。営業利益率は21.1%です。

Nutrition and Health Scienceは栄養と健康科学に関する部門であり、ベヒーフードや栄養補助食品などで構成されています。営業利益率は17.5%です。

Prepared dishes and cooking aidsは食品に関する部門であり、調味料やパスタ、冷凍食品などで構成されています。コンソメやブイヨンのMaggiブランドは日本でもなじみがあります。営業利益率は16.8%です。

Milk products and Ice creamはその名の通り、乳製品・アイスクリーム部門です。日本ではあまりなじみのないブランドが多いのですが、営業利益率は25.3%で7部門中最大となっています。

Confectioneryは製菓部門でKitKatもここに含まれます。営業利益率は16.0%です。Waterはそのまんまですね。収益に占める割合も5%と低く、営業利益率も9.0%と全7部門中最低で、21年の売上高は17年比で45%減と縮小傾向が顕著です。

お恥ずかしながら、私はネスレ製品といえば、コーヒー以外はミロ、KitKatくらいのブランドしか知らなかったのですが、何とブランド数は2000以上あり、そのうち31ブランドが10億以上の売上高を誇っているとのことです。何気なく購入している飲食料品も元を辿れば、ネスレブランドだったなんていうこともありそうですね♪

地域別売上高(2021年)

NESN Area Revenue 2021


先進国市場の売上高が約6割、新興国市場が約4割となっていて、当たり前ではありますが、国単位で見ると、アメリカが約30%で最大の割合を占めています。

ちなみに日本の売上高が全体に占める割合は1.9%となっていて、本社のあるスイスは1.3%にとどまります。なお、ロシアは2.0%でしたが、22年のロシアによるウクライナ侵攻を受けて、大幅に事業を縮小し、ベビーフードや栄養食品など真の必需品のみ提供、利益は全て寄付することとしています

EPS

NESN EPS 2011-21


緩やかながら右肩上がりですね。一時的な要因を取り除いた、Underlying EPS(基礎的なEPS)は直近5年は年率5.6%、直近10年は3.5%で成長しています。

キャッシュフロー(CF)

NESN CF 2011-21r

こちらもほぼ横ばいで推移していますね。売上に対し、キャッシュをどれだけ稼いでいるかを示す指標である、営業キャッシュフローマージン(営業CF/売上)も15%前後で安定して推移しています。



ネスレ(Nestle)の株主還元状況

配当・配当性向の推移

NESN Dividend 2011-21

緩やかですが、配当は年々増加しています。1996年以降連続増配となっていて、少なくとも1959年以降減配はしていません(会社のHPから確認可能です)。

配当履歴を包み隠さず公開している会社は、株主還元意欲の高さの証であり、経営陣の自信を表していると考えます。配当性向もUnderlying EPSベースで見ると、60%台で安定的に推移しており、よくコントロールされています。

増配率の推移

NESN Dividend Increase 2011-21


増配率はここ2年は2%を下回り、やや物足りないですね。増配率は、直近5年では+4.5%、直近10年では+3.5%となっています。配当性向が60%台でコントロールされていることを鑑みると、EPSが増加しない限りは増配も厳しいものになっていくと思われます。

配当・自社株買い金額の推移

NESN Reduction 2014-21r

直近4年は配当金額と遜色ない金額の自社株買いを行っており、2017〜20年は利益以上の金額を株主に還元している状況となっています。



ネスレ(Nestle)のトータルリターン

VS S&P 500(1996〜)


1996年以降で見ると、S&P 500に2倍の差をつけていますね。直近5年のリターンで見ても、S&P 500は61%、ネスレ株は51%であり、大きく劣後しているわけではありません。

まとめ・私の保有状況・所感

  • 売上高は横ばいだが、ペットケア事業が急成長中。営業利益率は15%前後でビジネスモデルは安定的
  • EPS成長率は平均3〜5%程度だが、安定した業績を反映して、予想PERは22倍台。そこまでの割高感はないが、割安感もない。
  • 1996年以降連続増配の実績を持ち、少なくとも60年以上減配していないが、増配率は一桁台前半で緩やか。

私はネスレ株を保有していません。

生活必需品セクターの保有割合を増やしたいと考える中で、地域分散・銘柄分散の観点から改めてネスレ株に注目し、今回分析記事を書いてみました。

業績は極めて安定的ですが、EPS成長率は一桁台中盤とまずまずで、配当も2%台半ばとなっています。2022年の予想EPSは22.8倍で、以前ほどの割高感はありませんが、投資ハードルの高さや源泉徴収税を考慮すると、二の足を踏んでしまいます💧

ただ先ほどEPS成長率はまずまずと書きましたが、これはスイスフランの通貨としての強さが多分に影響しているものと考えています。

スイスフランは安全通貨としての地位を確立しています。通貨自体を保有しても良い(私も一時期外貨預金で保有していました)のですが、スイスフランは金利が低く保有していても価値を生まないので、せっかくならスイスに本拠地を置く企業の株を買いたい。個人的には配当利回りが3%近辺まで上昇してくることがあれば、買いを検討しても良いかなと思っています✨

情報開示:この記事は私自身が書いたものであり、私の意見を表しています。私はこの記事から報酬を受け取っておらず、この記事で言及されている会社と直接のビジネス関係はありません。

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