【VEA】~日本の投資家には必要性が薄いかも?アメリカ以外の先進国市場をフォローするETF♪~

【更新情報】(2023/3/19)
2023年2月末の最新データを反映し、記述を少し見直しました。

ゆーたんです♪

アメリカ以外の先進国株式市場をフォローするVEAVanguard FTSE Developed Markets ETFバンガード・FTSE先進国市場(除く米国)ETF)について分析します♪

目次

VEAってどんなETF?


(Featured image by:Shutterstock)

世界第2位の資産運用会社である米Vanguardバンガード)社が提供している、アメリカ以外の先進国株式市場をカバーするインデックス(FTSE Developed All Cap ex US Index)に連動することをめざすETFです。

アメリカ株式市場に投資するVTIと組み合わせることで、世界の先進国市場への投資が可能になります。またアメリカ株式市場以外に投資するVXUSとは、新興国を含むか含まないかで違いがあります。

VTIやVXUSは、SBI証券(VTIのみ)楽天証券で日本の証券会社でも投資信託にした金融商品が販売されるようになってきています。しかし、VEAについては、まだリリースはされていないようですね。

VEAの基本情報

銘柄数4082
運用資産残高(AUM)1063億ドル
実績PER12.6倍
配当金(分配金)(直近12か月実績)1.2219ドル
配当利回り3.06%
経費率0.05%
設定日2007/7/20
2023年2月末現在(出典:Vanguard HPより作成)

銘柄数はアメリカ以外の先進国市場をカバーするという性質上、かなり多くなっています。

VEAは、日本人投資家にとってあまり人気がないETFではありますが、アメリカ以外の先進国市場への分散投資が可能、経費率も0.05%と低コスト(2019年に0.07%から引き下げられました♪)であり、運用資産残高は全ETFの中でも有数です。

特に高配当株を集めているわけではないのですが、株価が低迷していることもあって、配当利回りは3.06%と高配当ともいえる水準を超えてきています。

VEAの国別比率

2023年2月末現在(出典:Vanguard HPより作成)

アメリカ以外の先進国市場ということで24の国・地域に分散投資していて、日本が一番多くなっていますね。地域別に見ると、ヨーロッパ圏が54%、アジア圏が35%、北米が10%となっています。



VEAの構成上位銘柄

1Nestle SA(ネスレ)【スイス】生活必需品1.4%
2ASML Holding【オランダ】情報技術1.2%
3Samsung Electronics Co. Ltd.(サムスン)【韓国】情報技術1.1%
4Novo Nordisk(ノボノルディスク)【デンマーク】ヘルスケア1.0%
5Shell plc(シェル)【イギリス】エネルギー1.0%
6LVMH Moet Hennessy Louis Vuitton SE(エルブイエムアッシュ モエ・ヘネシー・ルイ・ヴィトン)【フランス】一般消費財1.0%
7Roche Holding AG(ロシュ)【スイス】ヘルスケア0.9%
8AstraZeneca plc(アストラゼネカ)【イギリス】ヘルスケア0.9%
9Novartis AG(ノバルティス)【スイス】ヘルスケア0.8%
10Toyota Motor Corp.(トヨタ自動車)【日本】一般消費財0.8%
2023年2月末現在(出典:Vanguard HPより作成)

改めて説明する必要のないほど、日本でも知名度の高い企業が並んでいます。

組み入れ割合1位のネスレは、世界最大級の飲料・食品会社です。コーヒーのネスカフェシリーズ、麦芽飲料のMILO(ミロ)や、チョコレート菓子のKitKat(キットカット)で有名ですね。

アメリカ以外の企業であっても、多くはADR(米国預託証券)として、米国株扱いで売買できるのですが、ネスレはADRとして上場していないため、日本の証券会社から直接買い付けるのは難しい面もあります。

組み入れ割合2位のASMLは、一般にはあまり知られていませんが、半導体の製造に必要な露光装置で圧倒的なシェアを誇る企業ですね。

組み入れ割合3位のサムスンは、スマートフォンやテレビ、冷蔵庫などの家電を製造・販売しています。日本でもたくさんの製品を見かけることができます。

組み入れ割合5位のシェルは私も保有していて、銘柄分析も書いています。

組み入れ割合10位には日本を代表する大企業、トヨタ自動車が入っています。

VEAのセクター比率

2023年2月末現在(出典:Vanguard HPより作成)

金融、一般消費財、資本財セクターの割合が高く、この3つで50%を超えています。逆に情報技術の割合が低くなっています。



VEAの配当金(分配金)推移

配当金はほぼ横ばいです。増配率(2007~22年平均)は+1.0%と寂しい限りですね。

配当金が横ばいとなっている背景には為替レートの変動もあるでしょうか。この15年間、円・ポンド・ユーロは対ドルで見ると弱くなっています。

VEAのトータルリターン(2007/7~)

VEA VS S&P 500

あまりにも大差がついてしまっていますね。設定来の年率リターンは2%程度。いくら高配当利回りといってもこれでは新規投資には躊躇してしまいます。ここまで差をまじまじと見せつけられると、「もうアメリカだけでいいんじゃない?」となってしまうのも頷けます。



まとめ

VEAについては、日本株の占める割合が一番高くなっています。VEAとVTIを組み合わせて先進国市場に投資するという選択肢もありますが、それならeMAXIS Slim 先進国株式インデックスなど、日本を除く先進国株式市場を対象とする投資信託*を買って、日本株は個別株で保有したほうがよさそうで、日本人投資家にとっては必要性が薄いETFかもしれません💧

eMAXIS Slim 先進国株式インデックスをはじめ、日本で販売されている先進国株式インデックスはMSCIコクサイ・インデックスをベンチマークとしているため、VEAやVTIのFTSEインデックスとベンチマークは異なります。

世界金融危機(2008)以後の株式市場は、アメリカが力強い上昇を遂げる一方、他国はそれほどではなく、ヨーロッパにいたっては世界金融危機以前の高値を超えることができていないなど、「アメリカ一人勝ち」の様相を呈しています。

アメリカにはGAFAM+Tをはじめとする世界をリードする企業が集まり、自社株買いにも積極的とあれば、期待を集めるのも当然であり、VTIの実績PERは19.1倍に達していている一方、VEAの実績PERは12.6倍で、配当利回りも3%を超えており、高配当化しています(2023年2月末現在)。

市場平均に連動するETFで利回りが3%を超えているというのは中々ない事態であり、割安感があることも事実です。ただ、VEAで8割弱もの大きな割合を占める日本とヨーロッパは既に成熟国であり、今後人口は横ばい、もしくは減少していくことが見込まれる点が気がかりです。

世界で活躍するグローバル企業も多くありますが、多くの企業(特に小売業やサービス業)は国内市場に軸足を置いたビジネスを展開しています。人口が減れば、人々の購買力も減少し、企業の収益にも悪影響をもたらす可能性が高く、どうしても投資には躊躇してしまいます💦

もちろん米国株以外であっても、高配当の魅力的な株式は購入していきたいですが、引き続き米国株に軸足を置いていくという点には変わりありません。

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