「分散投資」について考える~Ver.1:株式以外の分散は必要なのか?~

【更新情報】(2023/3/19)
不動産セクターに関する部分など、一部記述を見直しました。

目次

「分散」にはいろんな種類がある

ゆーたんです♪

このブログでも折に触れて扱ってきた「分散投資」ですが、これにはさまざまな「分散」があります。今回はVer.1の部分に関する内容について書いてみますね♪

  • Ver.1:資産クラスの分散(株式、債券、金、不動産etc…)
  • Ver.2:地域の分散(米国株or世界株)※日本株と比較して米国株の優位性を示した記事はこちら
  • Ver.3:セクターの分散(情報技術セクター[VGTなど]への投資 or S&P 500への投資)
  • Ver.4:銘柄の分散(集中投資or分散投資)
  • 番外:証券会社・証券口座の分散

資産クラスの分散は必要?~「超」長期投資なら株式だけで十分♪~


(Featured image by:Shutterstock)

20年以上の「超」長期投資を前提とすれば、個人的には、株式だけの投資で十分だと考えています。

その理由を以下に書きますね。

長期トータルリターンは株式が圧倒的優位

Asset_Return_Chart
投資開始年を100としたときの指数。インフレを考慮した、配当再投資後のトータルリターン。

上記のグラフを見れば、株式のリターンが圧倒的に優位ですね。

ちなみに、根拠となる年率平均のリターンについては、210年間(1802~2012年)という「超」長期のもので、シーゲル教授の「Stocks for the Long Run 5/E」で算出されている数値をもととしています。

日本語訳では、第4版(緑の表紙)がありますが、原著は2014年に第5版が出版されています。英語なので読み進めるには骨が折れる部分もあるのですが、翻訳機能を駆使すれば、十分読み進められますし、本書に掲載されている図版を見るだけでも、参考になる部分があると思います。

私も買いましたので、少しずつ読み進めようと思っています✨

株式は17年以上保有すると最悪でも実質リターンがプラスになる

アメリカを代表する株価指数であるS&P 500は、基本的に右肩上がりで推移しているのですが、戦後1度だけ3年連続マイナスになったことがあります。

SP500_Chart_2000-03

そう、ちょうどITバブル崩壊(200002年)のときですね。2000年1月~2002年12月までの間にS&P 500の株価はおよそ38%も下がっています。

リーマン・ショック以降は、ずっと株価も右肩上がりなので、感覚が麻痺してしまっていますが、「2020年の株価をピークに、2022年ごろにかけて株価が下落していく…」という可能性もないわけではありません。

もっとも、高値圏で投資してしまったとしても安心できるデータがあります。「Stocks for the Long Run 5/E」において、210年間という経験則においては、株式を17年以上保有すると、最悪でも実質リターンがプラスになるという事実が紹介されています。

もちろん、ITバブル崩壊やリーマン・ショックのようなことがないとはいえないので、高齢世代が株式に資産を過度に振り分けることはリスクが大きいと感じますが、かといって、「損をしたくないから」という理由で、株式に投資しないのはあまりにももったいないような気がします。

平均寿命がどんどん伸びていき、70歳、さらにはその先まで働くことが想定される現代社会においては、高齢世代であっても、株式に投資する人とそうでない人との間で大きな格差が生じていくと思います。



債券を保有するメリットは?

とはいっても、債券を保有するメリットが全くないかということはそんなことはありません。

債券は、一般に株式よりも値動きは緩やかです。例えばアメリカの債券市場に投資するBNDはリーマンショックのときこそ、一時的に下げましたが、その後はすぐ値を戻しています。

ボラティリティ(値動きの幅)が小さいという点において、債券は株式よりも優位です。また、何らかのショックで株式市場が大きく下落したときに、債券を売って株式を購入するということもできます(ただし、2022年のように、株式市場も債券市場も大きく下落した年もあるので、過信は禁物です)。

株式投資において、一番やってはいけないことは、ボラティリティの高さに耐えられず、株式を全て売ってしまう、すなわち退場してしまうことです。

株式市場がイケイケドンドンのときは、誰しも想像しえませんが、いざ株式市場が下落トレンドに入ると、一気に悲観論が渦巻くことからも分かると思います。それを避けるという意味でも、債券を保有する意義はあると思います✨

不動産はどうなの?

「Stocks for the Long Run」においては、不動産に投資する金融商品であるREITの長期データが紹介されていません。それもそのはず、REITはアメリカで1960年に誕生した比較的新しい金融商品だからです。

不動産セクターに連動するETFであるVNQとS&P 500指数に連動するETFであるSPYのトータルリターン(2004年以降)を比較すると以下のようになります。

2017年頃まではS&P 500よりも優勢でしたが、それ以降はS&P 500のリターンを下回っているようです。また不動産セクターは、2008年の世界金融危機や20年のコロナショックのときは価格が大きく下落していることも読み取れます。

アメリカの不動産セクターについては、個別株は日本の証券会社で購入できず、投資信託や一部のETFでしか購入できません(ちなみにVanguardのVNQも投資不可です)。

また、S&P 500にも割合は少ないですが、不動産セクターの株が含まれています。不動産セクターに投資する投資信託やETFは、S&P 500などの市場平均に連動する投資信託・ETFよりもコストが高くなっていますので、無理して組み込む必要はないと考えています。

他方、不動産セクターには高配当株が多いので、配当株投資志向の場合は保有割合を増やすことも一考です。私は高配当株ETFのSPYDを通じて、不動産セクターの企業に投資しています。不動産セクターは相対的に高配当株が多いので、市場平均よりも多いエクスポージャーとなっています(ちなみにVYMは、不動産セクターの株は含まれていません)。

あとがき

ここまで、株式投資の優位性を紹介してきましたが、実際のリターンは、購入タイミングや保有期間によっても大きく左右されますそのため、米国株が高値圏にあるときに投資をしたけれど、その後、運悪く株価が低迷してしまえば、債券のリターンを下回ってしまう確率もゼロではありません。

とはいっても、過去200年を超える実績から、長期投資においては、債券など他の資産よりも、株式に優位性があることは事実です。場合によっては、あまり利益を得られないかもしれない。それでも「期待値の高いほうに賭ける」ことが、資産増加への近道なのかなと思っています✨

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